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  • ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
  • anko3720 価値のある者、ならざる者

ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー

anko3720 価値のある者、ならざる者

最終更新:2011年08月30日 17:33

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『価値のある者、ならざる者』 28KB
考証 差別・格差 嫉妬 野良ゆ ゲス 希少種 現代 独自設定 流し読みして頂ければ幸いです



東から昇った陽の光が青白い世界を彩る、早朝の刻。
上下黒のジャージ姿をした男が、頬に滴る汗をタオルで拭いつつ公園のベンチに腰掛けていた。
日課のジョギングを済まし、乱れた呼吸を整えペットボトルのお茶を飲んでいる彼は、
明け方の静寂に浸り余韻を楽しんでいるらしく、眼を瞑んでは時折吹き込む夏の風に酔いしれている。
しかしそんな男のささやかな気晴らしを粉砕する叫びが、突如として公園内に響き渡った。

「ゆっくりしないでしんでね!!これはまりさとおちびちゃんのかたきだよ!!ばつをうけてね!!!」
「ゆっくちちないでちぬのじぇ!!おとーしゃんといもうちょをころころしたげすはちぬのじぇ!!」

それはゆっくりの声、黄色い声をキャアキャアと撒き散らし2匹が茂みの影で跳ねている。
男は明らかに不機嫌な顔を貼り付けて、後頭部を掻き弄りながら膝を立たせ目障りなその音源を断ち切ろうと歩き出す。
使い古したスニーカーを叩き、土煙を巻き上げつつそこに向かうと、
花壇の脇で成体のゆっくりれいむとその子供と思しき子まりさが緑色をした球体に体当たりを繰り返している最中だった。
よくよく眼を凝らせば、その緑色の球体が獣耳を付けた胴無しのゆっくりゆうかにゃんであるのに気付いて男は目蓋を見開いた。

「うおっ!珍しい!!ゆうかにゃんじゃないか!!」

男の興奮した声に反応しれいむと子まりさが「ゆっ!?」と擬音を漏らし唇を捻って人間の影に注目する。
その後ろでぐったりと前のめりに倒れこんだゆうかにゃん、傷だらけの姿を見て慌てた彼が、
硬直しているれいむを蹴っ飛ばし道を抉じ開けるとジャージの裾が汚れるのも気にせず大事そうにゆうかにゃんを抱きかかえた。
吹っ飛ばされたれいむは、近くの芝生に投げ出され頭から身体を倒して転がった。

「ゆぎゅぇっ、ゆぎぎっ!な、なにずるのぉおお!!!」
「おかーしゃん!!まりしゃのおかーしゃんになにしゅるのじぇ!!まりしゃおこりゅのじぇ!!ぷっきゅぅううぅ!!」

「いかん、傷が深いな……自販機は、たしかあっちだったか」

男は余程ゆうかにゃんが大切なのか、頬を膨らませる2匹の存在をまるで無視し自販機を目当てに走り出す。
むっくりと起き上がったれいむはわなわなと小刻みに身体を震わせ奮い立ち、滾る激情をその小麦粉で模った身体いっぱいに表し、
揉み上げをぶるんと振って男に抗議しようと試みるも、れいむの存在が眼中に無い彼は足早に遠ざかって行った。
れいむは涙目になりながら、怒りの矛先を見失わないように必死に跳ねて後を追う、
遅れてよちよち歩きの子まりさも母の逆立った後姿に追従し這う様にあんよを滑らせる。

「待ってろ、今直ぐ傷を治してやるからな」

「ま、まってねっ!!れいむおこってるんだよぉお!!!おはなしをきいてねぇ!!!」
「ゆえぇえーん、まりしゃをおいちぇいかないじぇぇええ!!!」

自販機が吐き出したアルミ缶を男は乱暴に取り上げると手早く蓋を開けた、
そしてゆうかにゃんのぱっくりと開いた背中にオレンジジュースを注いでいく。
傷口から溢れ出て肌を伝う蜂蜜を男は親指で丁寧に押し戻す、
暫くすれば昏睡状態を思わせるぐったりと小さく揺れた身体が落ち着きを取り戻していくのが分かった。
だが受けた傷はかなり深い様で、背中の裂傷が塞がったにも関わらず意識を覚醒させる気配を見せない。
目覚めぬゆうかにゃんではあるものの辛くも峠は越えられた、ゆっくりに対して知識があった男はそう確信し胸を撫で下ろした。

「よかった……なんとか間に合ったみたいだな」

男はペットボトルとタオルを投げ出したままにした木作りのベンチに向かう。
抱きかかえたゆうかにゃんに衝撃が走らないよう細心の注意を払いながら腰掛け、寝息を立てているゆうかにゃんの頭を優しく撫でた。

と、そこに大小の球体が息を切らせて男の足元に転がり込んで来る。先程のれいむと子まりさだ。
今まで存在を無視してきた、というよりもゆうかにゃんを優先し過ぎて失念していた男であったが、
ギリギリと歯軋りを立てて憤怒の感情を、顔面の肉を波打たせ表現する2匹の目障りな姿を前にして不愉快そうに溜め息を吐いた。
対するれいむ親子も、どういう目的であったか定かではないがゆうかにゃん殺しを邪魔立てされた事に相当立腹しているらしく、
ボスンボスンと跳ねたり頬に空気を溜め込んで膨れ上がったり、男の足元で威嚇行為を繰り返している。

男は2匹を早急に潰して黙らせようと思ったがゆうかにゃんの身体を第一に考え躊躇し、鬱陶しさに眉を顰めながらも無視を決め込んだ。
すると母親の方のれいむが腰掛けた男の足の稼動範囲を見越し、その小麦粉の肌に触れない程度の距離を保って彼の頭部を見上げた。

「にんげんのおにーさんっ!そのおみみのついたゆうかをかえしてね!!れいむはふくしゅうしないといけないんだよ!!」

れいむの必死さとは裏腹に、どういう経緯があったのか男にはまるで興味が無い、
しかしゆうかにゃんの目覚めまで凡そ10分と推察し、身動きが取れないことも確かだった。
その間だけ暇潰しに野良ゆっくりの言葉に耳を傾けてやるのも悪くないと思ったのか、
はたまたゆうかにゃんが目覚めた瞬間に彼らを叩き潰すためこの場に引き止めようと思ったのか、
彼はわざとらしく肩を竦めながら口を開いてれいむに尋ね始めた。

「復讐ってどういうことだ?」
「ゆっ!きいてねっ!!そのゆうかはとってもわるいゆっくりなんだよ!」

報復という粗暴な言葉の重みに反して、れいむはゆっくりらしい間の抜けた声を紡いで語り始める。

「ゆうかがとつぜんれいむのおうちにやってきて、まりさとたいっせつっなおちびちゃんをえいえんっにゆっくりさせっちゃったんだよ!!
 れいむたちががめざわりだからって、いきなりおうちにはいってきて……まりざを……おちびじゃんを……!
 くいぢぎっちゃったんだよ……!ゆうかはひどいげすだよ……!だからね、れいむはね、ふくしゅうをちかったんだよ……!!」
「どうせお前たちもゆうかにゃんが育ててた公園の花壇の花を同じ様に食い千切ったんじゃないのか?」

大方、ゆうかにゃんの縄張りの花壇に進入した見返りに手痛い反撃を喰らったのだろうと男は決め付けていた。
れいむたちを自分たちの非を棚に上げて被害者面する、見てくれ通りの良くありがちな『野良』のゆっくりなのだろうと、
下らない理由を原動力として火がついた復讐なら聞く価値もない筈だったが、男の予想は覆される。

「ちがうよ!れいむもまりさもしってたよ!ゆうかがこうえんのかだんさんのおはなをたいっせつっにしてるって!
 おはなさんはごちそうだよ、でもゆうかがだいじにしてるものをうばっちゃうのはゆっくりできないってわかってたよ!
 だかられいむも、まりさも、おちびちゃんも……かだんさんのおはなにはおててをだしてないよ!
 それなのに……ぞれなのに……まりさもおちびちゃんもきをつかってたんだよ!!なのにゆうがが……!!」

ポロポロと頬に雫で線をなぞってれいむが俯いた。
男は内心で微かに唸る、れいむの訴えにゆっくりらしからぬ意外性が含まれていたからだ。

ゆうかがだいじにしてるものをうばっちゃうのはゆっくりできない――。

たった今耳にした発言が嘘偽りなく本心から来たものであれば、少なくともれいむは、
他ゆんの視点で物を捉えられる事が出来る『賢い』ゆっくりに当たるのかもしれない。
基本ゆっくりは他者の精神的な苦痛を理解できない、
故に身体的弱者やお飾りの欠けた劣る相手を罵り蔑視し一切の躊躇なく傷をつけようとする。
しかし、れいむから漏れた言葉はそれこそ排他的なゆっくりとは正反対の境地から導き出されたものだ。

無論それが本意であればの話だが、れいむの様子に男を騙そうとする気配は無い。
安らかに寝息を立てているゆうかにゃんを男の手から強奪するための嘘という訳でもなさそうだ。
彼は思った、自称被害者だけの意見を聞くのは公平ではない、だがれいむの訴えんとする意気には芯に響くものがある。
ゆうかにゃんにも事情があったのかもしれない、或いはれいむが気付いていないだけでゆうかにゃんの逆鱗に触れてしまっただけなのかもしれない、
それを確認するにはゆうかにゃんの目覚めを待つ必要があるため、男は建前だけれいむの話を3割ほど信用に値するものだと判断した。
3割と言えばそれでも過少な数値かもしれないが、存在其の物を否定される野良のゆっくりからすれば十分すぎる程の譲歩と言えるだろう。

「俺には比較的温厚な種のゆうかにゃんが突然そんな凶行に及ぶってのは考えられないな、
 一つ聞きたいんだが、何かゆうかにゃんに対して悪いことをした心当たりは無いのか?
 どんな些細なことでもいいから思い出してみなよ」
「ゆー……な、ないとおもうよ!だってゆうかはれいむたちよりもとってもつよいんだよ!
 だからなるべくゆうかのおめめにはいらないようにしてたんだよ!ほとんどかかわってなんかないんだよ!!」

ほう、と男は頷いて感嘆の声を漏らす、やはりれいむは他の野良とは毛色が違うらしい。
強者の視界に入らないという敗者の思考は自分たちの立場を明確に捉えている証拠に他ならない。
無駄に自尊心が高く負けず嫌いなゆっくりに有るまじき姿勢、だが脆弱な個の存続の為には重要な思想だ。
それらが欠ける故に大半のゆっくりは歩く死亡フラグなどと揶揄され蔑まれる。

男は片手で顎鬚を擦りつつれいむへの評価を改めていると、
一向にゆうかにゃんを明け渡そうとしない彼に業を煮やしたれいむが、
ぐずぐずと声を掠れ震わせながらも更に強い口調で家族の仇の引渡しを要求した。

「にんげんのおにーざんっ、いいけがんにゆうかをわだじでねっ!!
 まだたいようさんがおそらにいない、ゆっぐりできないじがんをえらんでわざわざゆうかのねこみをおそったれいむのくろうにきづいてね!!
 ゆうかがおきちゃったら、れいむのふくしゅうがかなわなくなっちゃうでしょぉっ!!
 このままじゃゆうかにえいえんにゆっくりさせられちゃったまりさとおちびちゃんがむくわれないよ!!」
「残念だがそれは出来ない」

きっぱりと彼は断言する、わざわざオレンジジュースを買い治療を施すくらいなのだから男にもそれなりの思惑があった。
地面を揉み上げで叩いて砂を舞い上がらせたれいむが、焦燥をよりその顔に表せて懇願を重ねるが男は頑なにそれを拒むばかり、
ついには涙声を張り上げながらその場で跳ね始めた。まるで幼子が癇癪を起こしている姿にそっくりだ。

「どおじでなのっ!?にんげんざんっはいっづもぞうだよぉおおっ!!!
 どおじでゆうがみだいな『きしょうしゅ』ばっかりゆうぐうずるのぉおっ!?」
「……いつも?」

いつも、と漏らした言葉に男は僅かながら引っ掛かりを感じ、反射的に尋ね返してしまった。

「ぞうでしょぉっ!いつもいっづもっ!!にんげんざんにがわれでかわいがられでるゆっぐりは『きしょうしゅ』ばっかりだよっ!!
 このまえこうえんにきたかいゆっぐりのうどんげが、れいぶだちをごみだっでいってげらげらわらってたよっ!!
 どうじでぞんなふうにいわれなきゃいげないのっ!?みもじらないれいぶだちをゆびざしでごみさんといっしょにするなんで
 ひどいことだよっ!!れいむはぜったいにぞんなかなじいごとじないのにっ……!!
 きしょうしゅならなんでもゆるざれるのっ!?うどんげもそのゆうがもげすだよっ!!
 げずなのににんげんざんっにゆっぐりざぜでもらえるなんで、ふこーへいだよっ!!!」

れいむには何か溜まっていたものがあったらしい。
鼻水を啜る真似事の様な仕草を繰り返して嗚咽を漏らし続けている。

ふむ、と頷いた男はれいむの主張を耳にしつつ彼女の言う希少種優遇の背景に訳があるのを思い返した。

ここ数年で飼いゆっくり産業は通常種のブランド性が著しく低下した事で、その基盤が大きく揺れ動いていた。
その大きな理由は人間に対する背信行為、勝手に野良を招きいれ子供を作ったり、
裕福さを我が物とし人間を奴隷と見下したり、度重なる逆心がついに人の不信を買ってしまった。
今ではすっかり通常種産業は廃頽し、飼いゆっくりなら希少種とする常識が一般化する程になった。
更に拍車を掛けたのは加工所の技術力の発展、難題とされていた希少種の安価な量産を可能にしたのもその一因で、
街を行けば人の手に繋がれて歩いている胴付きや綺麗なスィーに乗った胴無しの希少種を見るのが大半だ、
かつて栄華を極めた金銀バッジ付きの人に飼われた通常種は最早殆ど見掛けなくなっていた。

完全にその存在を忌み嫌われるモノとして、惨めな一生を送る事が通常種の定めとなった現在では、
れいむたち野良ゆっくりは狩られる側の対象でしかない。しかし、それを当ゆんたちが理解するのは無理な話だろう。

「不公平……か……」
「ふこーへいじゃないっていうならなんなのっ!?おにーさんっ、れいむたちにもねっ、たしかにひどいげすはいるよ!
 かってにおうちをうばっちゃうゆっくりできないゆっくりもいるよ!でもねっ、でもとってもゆっくりしてるゆっくりだっているんだよぉっ!!
 きいてねっ!!れいむのおともだちのありすはね、とってもやさしいゆっくりだったんだよ!!
 でもありすのだんなさんのまりさがにんげんさんのすぃーにつぶされちゃったんだよ、
 ありすはちいさいおちびちゃんをやしなわなくちゃいけなかったんだよ!!でもそれってとってもたいっへんっなんだよ!!
 だからにんげんさんに……にんげんさんにかいゆっくりにしてもらおうってゆっしょうけんめいゆっくりできることをあぴーるしてたんだよ!!
 なのに、なのににんげんざんはっ……ありずのことばにおみみをかさないでけってつぶしてえいえんにゆっぐりさせちゃったよ……!!
 ありずは、げすなんかじゃなかったよ……!!れいむだちがおちびちゃんをつくってたいっへんっだったときに、
 ごはんさんをわけてくれたとってもたゆんおもいなゆっぐりだったんだよ……!!
 ぞれなのにっ……!!どおじで、どおじでにんげんざんはっ、れいむだちを『さべつ』するのぉおおっ!?
 どおじでれいむだちのなかみをみてはんだんじでぐれないのぉおおおっ!?そんなのぜったいにおかじいよっ!!」

己の内に秘めた激情を乗せて長々と台詞を吐き続けるれいむを他所に、男が抱いた感情は意外にも『哀れ』みだった。
このれいむは賢い、だがその賢さは自身の置かれた状況を明確に認識してしまう。それは酷な事だ。

希少種が自分たち通常種よりも優遇されている実情に、それが決して覆らない物だとれいむは薄々勘付いている、
勘付いているからこそ、人に絶望しているからこそ、今日まで薄暗い公園の裏手でひっそりと生き伸びて来れた、
だがゆっくり特有の希望的観測で物を捉える本能が足掻き邪魔をする故に、最後に残った望みを捨てきれない、
中身でさえ判断してくれれば希少種に勝てると、あんな奴らに負けたくないとする対抗意識も極僅かながら垣間見える。

他の頭が足りない通常種ならば自分たちが劣っていると気付かない、或いは気付こうとさえしない。
飼いゆっくりになれないのは人間に見る目がないから、希少種が飼われているのはたまたまだから、
そうして真実を隠蔽しいつまでもいつまでも、その命が消えるまで鳴き声を上げ続けるしかない。

今日のことを切っ掛けにれいむの我慢していた部分が露呈してしまったのだろうか、
現実が背中を突き立てる不条理さに押さえ込んでいた感情を爆発させたれいむは泣き崩れる様に倒れ込んだ。

男はそんな様のれいむを見下ろし、思う、可哀相に、と――。

「……れいむ、俺たち人間は何もお前たちを差別している訳じゃないんだ」
「な、なにいっでるのっ……!!じゃあどおじでれいむだちをにんげんざんはえらんでぐれないのっ!?」
「そうだなぁ……例えばれいむ、お前は自分の子供にご飯を与えるとしたら雑草か甘いチョコレート、どっちがいいと思う?」
「ゆっ!?それはちょこれーとさんにきまってるよ!!あまあまさんはとってもゆっくりできるんだよ!!」
「じゃあお家は?公園の土を掘って作った穴倉か、真新しいダンボールか」
「だんぼーるさんはゆっくりできるよ!!あなさんのなかはじめじめしてあんまりゆっくりできないよ!!」

「そうだ、つまりはそういうことだ」

短と切るように男は真顔のまま言い放った。
対するれいむの表情には困惑と疑念を織り交ぜたゆっくりらしからぬ小難しい顔を浮かべている。

「俺たちがお前たちゆっくりを別け隔てているが、あくまでそれは『区別』に過ぎない」
「くべつ……?」
「あぁ、お前たちが食料や住処に序列を作ったように、人間も己の価値でゆっくりを格付けた」
「じょれつ……?かくづけ……?」
「平たく言えば、『価値のあるモノ』と『価値のないモノ』に分けた、ということ」
「ゆっ、れいむにはわからないよ!?それがさべつとどうちがうの!?いっしょにしかきこえないよっ!!」
「差別は不当な扱いをしたり、見下したり、侮蔑の感情が含まれている事を指すんだ、
 れいむ、お前は草とチョコレートを見比べて劣っている草を馬鹿にしたことはあったか?」
「もちろんそんなことないよ!……じ、じゃあにんげんさんもっ、れいむたちをばかにしたことないっていうの?」
「無論ないとは断言できないが、少なくともお前たちを最初に希少種と通常種と差異を設けた時、
 そこに不当性はなかった、あくまで良く目にするモノとそうでないモノを分け隔てただけだからね」

男はゆうかにゃんの頭を撫でながら話を続けた。
時折、膝に乗せられたゆうかにゃんの猫耳がひょこひょこと揺れている。

「じゃあどうしてにんげんさんはかってにれいむたちをぶんっべつっするのっ!?
 れいむたちはくささんじゃないし、あまあまさんでもないよ!いきてるんだよぉおおっ!!
 れいむたちのかちはれいむたちがきめるべきだよ!それすらゆるしてくれないのっ?にんげんさんはごうっまんっだよ!」

ふう、と一息吐いた男は徐に人差し指を立てて花壇の方角を指差した。
そこにはひらひらと羽を揺らして舞っているアゲハチョウの姿。

「あの蝶々、それに蚯蚓や芋虫……生き物だな?」
「ゆっ?」
「これらは野良ゆっくりの主食みたいなものだ、だが決して食物じゃない、
 種を進化させるべく、次世代へ命を繋げるべく、生の枷を持った生き物だ。
 お前は俺たちを傲慢だと揶揄したが、お前たちだって俺たちとなんら変わらない、
 虫の命を蹂躙し己の糧とし存続を図る、それなりの業があるだろう?」
「ゆゆっ……た、たしかにそうかもしれないよ……で、でも……」

れいむはの表情が一瞬濁った。
確かに男の言う様に劣った生き物を捕食することでここまで生き長らえてきた。
しかし例えそうであるとしても、人がゆっくりに身勝手な価値を押し付ける理由にはならないとれいむは信じていた。
自分たちが虫を食すのは生きる為であって真っ当な理由がそこに存在していたから、しかし人間にはそれが無い、
だからこそれいむは反論の声を上げようとしたが、それよりも先に男の見解が遮った。

「だがそれは間違いじゃない、強者には弱者を虐げる権利がある」

開いた右手をれいむの頭上に翳した男は、力強く拳を握り締めた。
そんな男の姿を見てれいむは言葉を失う、ベンチに鎮座した人間が口にするそれには底知れぬ説得力があった。
男は僅かに笑った様に見えた、れいむにはそれが本意での笑顔なのか嘲笑なのか見極める術を知らない。

「れいむ、お前の思考にある根本的な間違いを一つ訂正してやる」
「ゆっ……れ、れいむはなにもまちがってないはずだよ!!れいむのいってることはとってもただしいはずだよ!!」
「いいや、間違ってるね。お前は俺たち人間とゆっくりを『同列』だと考えている。そもそものはき違いはそこだ、
 この街で人間の排出したゴミをお零れとして漁り生きている自覚があるれいむなら、薄っすら勘付いているはずだ、
 俺たち人間はお前たちゆっくりと異なる次元の、遥か格上の存在だってね。
 それに『主従』の関係を築きたいんだろ?じゃあどちらが上でどちらが下か、賢いお前なら分かるよな?」
「そ、ぞんなのいわれなぐっだっでわがっでるよっ……!!にんげんざんはどっでもづよいよ……!
 でもっ、でもっ、れいむたちだってしあわせーっになりたいんだよっ……!!
 だかられいむはにんげんさんにうったえてるんでしょっ!?れいむたちをちゃんとみてねって!!」
「まだ理解出来ないのか?お前はどうして強者たる人間に意見が通ると思う程、対等な立場に自分を置いているんだ?」
「ゆ、ゆぅ……?」
「お前たちが食い殺してきた虫が必死になって逃げ惑う様を何度も見てきただろ?その度に踏み躙ってきたよな?
 生きたいとか死にたくないとか、言葉は出なくても抗いを見せたよな?それでれいむは?
 一度でもいいから『強者』のお前が『弱者』の言葉に耳を傾けたことはあったか?
 俺たちに耳を傾けろと訴えるお前は、それを実行したことが一度でもあったか?ほら、よく思い出してごらん」

言葉を紡ごうとしてれいむの喉が詰まる、男が冷たく言い放った横暴は的を得ていた。
指摘された様に何気なく食料として捕食してきた虫たちを思い返しれいむは息を呑む、
そこには少なくとも一方的な殺生があった、対話さえ許さない暴力の押し付け、
生きるためだからと理由付けたのはあくまでれいむの都合でしかない、虫には虫の弱者の主張があったのかもしれない。

それは初めてれいむが、自分が人間にとって『ゆっくりから見た虫の存在』と大差ない事実と、
弱者の視点から見た世界が確かに存在し、自身にもそれが当て嵌まる事に気付かされた瞬間だった。

ぶるぶると左右に頭を振って唸っているれいむを見下ろした男は、甚く感服していた。
所詮はゆっくりに過ぎない彼女だが、思考を止めず、主義主張だけで捻じ伏せようとはしないその姿勢に驚きを禁じ得ない。
酷く青白い顔をしているのは、きっと立場を自覚した表れなのだろうと彼は思った。
れいむは間違いなく聡明だ、他の無能ならばここまで対話が成立していないだろう、
もしかしたら彼女の遠い祖先がかつて金や銀の記章を纏った飼いゆっくりだったのかもしれない。
そんなことを思いれいむの行動を観察していた男の膝の上で、ついに眠り姫が覚醒の時を迎えた。

「ふにゃぁぁぁっ……」

大きな欠伸と共にゆっくりと目蓋を開いたゆうかにゃんが、東の空に浮かび上がった太陽を視界に入れて眼を細めた。
遥か頭上でふわりと浮いた尻尾を駆使し目蓋を擦っているゆうかにゃんを見上げ、れいむの瞳に涙が込み上げる。
捕食種たるゆうかにゃんへの決死の不意打ちが失敗に終わった、もう復讐が果たされる事はない。

「め、めざめじゃっだよっ……ゆ、ゆうかがっ、ゆぅううぅうっ……!!まりざっ……!おちびぢゃんっ……!!」

れいむはその場でゆんゆんと嗚咽を漏らし泣き崩れた。
一方で頭上に乗せられた厚い手の存在に気付いたゆうかにゃんは、くるっと膝の上で回ったかと思えば、
丁重に労わる様に自分を撫でている男の存在を知り小首を傾げた。

「わからにゃいわー、おにーさんいったいだれなの?」
「傷を負っていた君を手当てしたんだが、自覚はないかい?」
「んーそういえばめざわりにゃゆっくりにふいうちをうけたんだったわー、おにーさんがたすけてくれたのね」

暢気に微笑んでお礼を述べるゆうかにゃんに男は小さく微笑みを返すと、ゆうかにゃんの頭を持って半回転させ、
ベンチの下で蹲った砂塗れの薄汚れたれいむを彼女の視界に入れると男はそっと質問を繰り出した。

「あのれいむはゆうかにゃんを襲ったゆっくりかな?」
「にゅー、そうだわ、ゆうかがねむねむしてるときにおそってきたのよ」
「それが復讐らしいんだ、ゆうかにゃんがあいつの番と子供を食い千切ったって聞いたんだけど何か訳があったのかい?」

念のため男は確認の意を込めて尋ねた、するとゆうかにゃんはクスっと小さく笑い眼下で跪くれいむを見下し答えた。

「わけなんてにゃいわー、しいていうならいつもゆうかにおびえててびくびくしてたからめざわりだったのよ。
 なのにゆうかのおはなをうらめしそうにみてるの、それがうっとうしかったからえいえんにゆっくりさせてあげたわ、
 じぶんたちはよわむしですってせんでんしてるようなゆっくりだったんですもの、
 ころしちゃったほうがこのさきくるしまなくてすむとおもったの、きっとほんゆんたちもしあわせよ、
 だからゆうかがぜんいでつぶしたの、ゆうかとってもやさしいでしょ?」

小悪魔的なやや含みのある嘲笑染みた笑顔を作ると、特段悪びれた様子もなくゆうかにゃんがきっぱりと言い放った、
そのゆうかにゃんの言葉を耳にして、れいむが鬼の首を取ったが如く活力を見出し立ち上がると、わなわなと震えながら声を張り上げた。

「にんげんのおにーさんっ!!きいたでしょっ!?そのおみみがあるゆうかはまちがいなくげすだよ!!
 れいむたちにわるいところはなかったよ、みがってなりゆうでまりさとおちびちゃんをごろじだんだよ!!
 ねぇ、にんげんさんっ!!わかったでしょ?ゆうかはにんげんさんたちがいちっばんっきらいな『げす』なんだよ!!」

荒々しく息を吐いて、れいむが訴える。
だが、男は表情を一切変える事無くゆうかにゃんの頭を撫で続けている。

「そうだな、少し意外だったがどうやらゲスの気質が垣間見えるな」
「そ、そうだなって……そうじゃないでしょ?せいっさいっされてもしかたないでしょ?ね、ねぇにんげんのおにーさんっ?
 どうしてそんなにおちついてるの?ゆうかはげすなんだよ!!ゆっくりできないゆっくりなんだよ!!」

「だから?」

冷淡に男が呟く。
男の意図がまるで読み取れず、れいむは困惑するしかない。

「確かにゆうかにゃんは性格に難があるかもしれない、だがそれだけが彼女の存在意義の成否になり得ない、
 その容姿と希少性は性分の悪さを差し引いても人の充足感を満たすだけの十分な価値がある、
 例えるならゆうかにゃんは生まれながらの『チョコレート』だ、多少熱で溶けて味が落ちようとも、決して食べられない訳じゃない」
「ち、ちょこれーと!?そのゆうかがちょこれーとさんだっていうのっ!?」
「そう、そしてお前たち通常種は『雑草』だ、醜く泥臭い顔、幾らでも替わりのある過多性、そこに性格の善し悪しが加味されようとも、
 所詮草は草……綺麗に伸びたか折れ曲がったかの違いに過ぎない、そうなればただ刈られるだけの存在でしかない」
「ど……どおじ……どおおじでぇえぞんなごどいうのぉおおおっ!?れいぶだちのがんばりはぜんぶむだだっでいうのぉおおっ!?
 れいぶだちはぜっだいにひていされるのに、ゆ、ゆうがはゆるざれるのっ!?りふじんだよっ!!おかしいよっ!!」
「残念だけどね、それにこれはれいむが悪い訳じゃない、お前たちの祖先が積み重ねた罪が継承されてきた結果も含んでいる」

1匹話題に取り残されているゆうかにゃんは、頭に疑問符を浮かべて男のれいむの口論を聞いている。
時折欠伸をしては眠たそうに尻尾で頬を掻いていた。

「人がこうやってゆっくりを区別する理由は、お前たちが他の生物と違い区別せざるを得ないまでの多様性を見せたからだろうね、
 でも人間は、れいむが主張する性格の差を一個一個を注視できるほど視野が広くは無い、
 だから効率を考え大雑把に情報を整理する為の基準を作り上げた、
 それが希少種や通常種もしくは野生だったり野良だったり飼いゆっくりな訳だ」

ゆうかにゃんの頭を撫でていた男の動きが止まった、少し目を伏せ溜め息混じりに男は言葉を紡ぎだす。

「いいかれいむ……区別は差別よりも残酷だよ、お前たちが害獣だという共通の認識が広がった以上、駆除される対象でしかない、
 通常種はもう人と共存を見限られた存在なんだ、そう取り決められたら覆りはしない、それこそ区別を押し付けた人間を打倒しなければね……
 もし差別だけならば、それは一部の人間の意識でしかない、一昔前は愛護団体も多く活躍していたし救いはあっただろう、
 しかし区別は違う、全人類の大半がそうだと決め付けている、お前たちはそういう領域にまで達してしまったんだ……」
「ゆぅううっ……でもっ、れいぶだぢだっでどりょくずれば……にんげんざんにみどめでもらえるんでしょっ!?
 だっで、にんげんのおにーざんっは、れいぶのおはなじぎいでぐれだよ!!むしじなかっだよっ!!ぜんぶがぜんぶってわけじゃないよ!!」
「そうだな……」

男との会話が続く中、れいむの子供である子まりさは一匹、男のスニーカーに向けて体当たりを繰り返していた。

「まりしゃのすーぴゃーだいれくちょあたっくをうけちぇしぬのじぇ!!ゆっくちしないでゆうかをわたすのじぇ!!
 まりしゃさまがじきっじきっにころころしゅるのじぇ!!おとーしゃんといもうちょのかたきはまりしゃがとるのじぇ!!」

ぺちんぺちんと何度も身体をぶつけ、その度に小麦粉の一部を散らしている。
そんな子まりさを見下ろして男が唇を噛んだ、れいむは男の瞳が酷く冷え切っているのに気付いて子まりさに離れるように指示を出すも、
子まりさは忠告を聞かず、ついには男が振りかざしたスニーカーの厚底が子まりさの背中から尻を覆い隠すように圧力を加え始めた。
身動きが取れなくなってようやく危機を察知した子まりさは、下腹部から湧き上がる餡子の波に抗い頬を真っ赤にしてお下げを振り回した。

「ゆびゅびゅぅううっ、ま、まりしゃの、あ、ぁ、あんこしゃん、もれ、もれちゅっ、ちゅぶぶっ!!」
「ゆぎゃぁあぁあっ!!れいむのおちびちゃんがっ!!!やめてよぉおおっ!!!おちびちゃんがつぶれちゃうよぉおおおっ!!!
 どおしてごんなごどずるのっ!?おにーざんっはわるいにんげんざんじゃないんでしょぉっ!?
 おでがいだよぉおおっ、やべでよぉおおっ!!おちびちゃんはれいぶにのこざれださいごのきぼうなんだよぉおぉおっ!!!」
「そうだ、世の中には俺みたいな……いかに通常種とはいえ知慮深いゆっくりを潰すのを惜しいと思ってる中途半端な奴だってまだいるだろう、
 そんな例外中の例外、極僅かな奇跡を期待し縋らないように……最後に俺がしっかりと人に『絶望』出来るように教えてやる」

そう答えて男は無表情のまま脚部の筋肉を撓らせた、徐々に押される力に屈し子まりさは内臓物を吐き出しボタボタと黒い染みを地面に落とした。
たった1匹残された愛娘が圧縮されていく光景を目の当たりにしたれいむの絶叫が公園内に響き渡る。
一部始終を高みから見ていたゆうかにゃんはニヤニヤとほくそ笑んで、れいむの泣きっ面を嘲笑っていた。

「たじゅげっ、ぶぶるぶりゅぅううっ、じぇげっ、びゅぅうっぶぶっ、じゅぶぶぶぶっ!」
「おねがいじまずうぅううっ!!おちびぢゃんだげはっ!おちびぢゃんだげはだずげでぐだざいっ!!
 れいむがまぢがっでまじだっ!!ゆうがにふくじゅうしようだなんでおこがまじがっだんでずぅううっ!!
 だがらっ!!ごろずなられいぶをごろじでぐだざいっ!!おちびちゃんだげは、ゆるじであげでぐだざいぃいっ!!」
「分かってくれたか?」
「ゆ”っ!?」

押さえ付けていたスニーカーが徐々に子まりさが離れていった、尻の部分がナメクジの様に伸びきった子まりさだがまだ息はある。
許された、れいむがホッと胸を撫で下ろした、その瞬間――。

ドンッ――。

「ゆびぇ!!」

再び振り下ろされた鉄槌が、子まりさを見事に粉砕した。

「ゆぅぁぁあ”あぁぁぁあ”あ”あ”ぁあっ!!あ”ぁあ”ぁああ”……おち、おちびぢゃんっ……どおじでなのぉおおぉっ!?」

れいむの嗚咽を耳に入れつつ、男は大事そうにゆうかにゃんを抱えて立ち上がった。
そうして喉が潰れるのではと思えるほどの泣き声を背に男は公園の出口に向かって歩き出す。

もうあのれいむは区別の理不尽さを受け入れるしかない事を知っただろう。
この先れいむの中に希望はなくても野良ゆっくりとしての生涯を達成し得るのかもしれない。
それが彼女にとっての幸せかどうか男には計り知れないが、
区別という枠組みの中で生を永らえさせる可能性を掴んだのは少なくともれいむにとって悪い事と思えなかった。
彼は思う、ゆっくりの価値とは酷く理不尽だと、この手に持ったゆうかにゃんは生まれながらにして全てを掴む権利を持っている。
片や一方で、どれほど努力しようとも覆らず見えない壁に押さえ付けられた種もいる。
しがらみを感じつつも、男はポケットから携帯電話と取り出すとゆうかにゃんの全身を内臓された写真機能を使って写し取った。

「わからにゃいわー?おにーさんはゆうかをかいゆっくりにしたいの?だったらすてきなかだんさんをよういしてほしいわー!」
「いや、俺は飼わないよ」
「にゃん?」

携帯電話の画面にゆっくり用のオークションサイトが表示される、
そこに男のマイページが記載され、たった今写し取ったゆうかにゃんの画像が添付されている。
男は液晶を素早く叩くと、希少種、元野良、更にゲスの気質有り、と追記してチェックを入れ出品を選択した。
オークションサイトの専用ページにゆうかにゃんの写真が踊る、
男はそれを確認しながらゆうかにゃんのエメラルドグリーンの髪を梳いた。

「素敵な花壇や豪華なお家を用意してくれる飼い主を見つけてやるよ、それまでの間だけ俺の家でゆっくりすればいい」
「そういうことならわかるにゃーん、ゆうかはいっぱいぜいたくしたいわー、たくさんのおはなにかこまれてしあわせにくらすの!」
「させて貰えると思うよ、高い金積み上げて『買』ってくれるんだからね」

再び男は視線を携帯電話に落とした、既に何件かの入札があったようでスタート金額を大きく振りあがっている。
希少種の量産が可能になった今でも、このゆうかにゃんの様にゆっくりちぇんと絡めたハイブリットの希少亜種は入手が困難とされる。
それ故に多少傷物だろうと価値が跳ねる、希少性はブランドを生み、人の欲望を巻き込んで膨れ上がる。
携帯の画面越しに溢れんばかりの欲が滲み出ているのを見て男は僅かに笑った。
その微笑が自身に対する自虐を込めた嘲笑なのか、それとも無形の価値に踊らされた人を指したものなのか判然としない。


彼には、ゆっくりの価値がそれに見合うものなのかどうか分かりはしなかった。



おわり

作:おおかみねこあき


挿絵:車田あき

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おおかみねこあき 挿絵
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