ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4168 ゆっくり食べようえだまりちゃ
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『ゆっくり食べようえだまりちゃ』 22KB
虐待 観察 姉妹 赤ゆ 虐待人間 ネタかぶってたらごめんなさい
虐待 観察 姉妹 赤ゆ 虐待人間 ネタかぶってたらごめんなさい
[ゆっくり食べようえだまりちゃ]
ゆっくり加工所駆除課で働いている俺と、同じく研究課に勤めている鬼山は、大学の同期であり友人だ。
「かこうじょ」と一言に言っても、ゆっくりの加工ばかりが仕事ではない。駆除課は日夜っくりによる害と戦っているし、研究課は品種改良をはじめとした技術を盛んに追究している。
新人が集まった飲み会でたまたま同席した結果、同じ大学の同期だったことが分かり意気投合。
互いに接する機会のあまりない課ではあるものの、今でも時間があればよく飲みに出かけたりする間柄である。
「かこうじょ」と一言に言っても、ゆっくりの加工ばかりが仕事ではない。駆除課は日夜っくりによる害と戦っているし、研究課は品種改良をはじめとした技術を盛んに追究している。
新人が集まった飲み会でたまたま同席した結果、同じ大学の同期だったことが分かり意気投合。
互いに接する機会のあまりない課ではあるものの、今でも時間があればよく飲みに出かけたりする間柄である。
「まりちゃをぷーしゅぷーしゅしにゃいでぇぇ! ちーくちーくしゃんはゆっくちできにゃいのじぇぇ!!」
「いやにゃのじぇ……まりちゃ、ゆっくちしちゃいのじぇぇ……こっちこにゃいでぇぇ……」
「ゆひっ、ゆひぃぃ……ゆっきゅりにげりゅのじぇ、しょろーり……しょろーり……ゆピィィッ!!」
「まりちゃのいもーちょがぁ! ゆんやぁぁ!!」
「来たぞー」
「あ、いらっしゃい」
「いやにゃのじぇ……まりちゃ、ゆっくちしちゃいのじぇぇ……こっちこにゃいでぇぇ……」
「ゆひっ、ゆひぃぃ……ゆっきゅりにげりゅのじぇ、しょろーり……しょろーり……ゆピィィッ!!」
「まりちゃのいもーちょがぁ! ゆんやぁぁ!!」
「来たぞー」
「あ、いらっしゃい」
その鬼山に呼ばれて、久しぶりに彼のマンションに顔を出してみることになった。
書類に一部を占領されながらも整理のされたこの部屋は、壁の防音が良く赤ゆっくりの声程度であれば通らない。虐待鬼居惨御用達の良物件だ。
テーブルで何やらペンを動かしていたようだが、反対側には爪楊枝を持っている。その先には底が深めの透明な皿があり、赤まりさのものらしき悲鳴はその中から上がっていた。
鬼山が考えごとをするときの癖だ。
以前まりちゃをペンでつつきながらあれこれ考えていた時に、突然良いアイデアが浮かんできたことがあるらしく、それ以来自宅で考えごとをするときはいつもこうだとか。
書類に一部を占領されながらも整理のされたこの部屋は、壁の防音が良く赤ゆっくりの声程度であれば通らない。虐待鬼居惨御用達の良物件だ。
テーブルで何やらペンを動かしていたようだが、反対側には爪楊枝を持っている。その先には底が深めの透明な皿があり、赤まりさのものらしき悲鳴はその中から上がっていた。
鬼山が考えごとをするときの癖だ。
以前まりちゃをペンでつつきながらあれこれ考えていた時に、突然良いアイデアが浮かんできたことがあるらしく、それ以来自宅で考えごとをするときはいつもこうだとか。
「たしゅけちぇよぉぉぉ! おとーしゃぁぁん! おきゃーしゃぁぁん!!」
「ぴえぇぇぇぇん!! ぴえぇぇぇぇん!!」
「ぴえぇぇぇぇん!! ぴえぇぇぇぇん!!」
とぴーぴーきーきー甲高い泣き声が、本人いわくちょうどいい刺激になるらしい。
何となくわかる。
何となくわかる。
「まりちゃの声だ。よし潰そう」
「それは後でな。まあそのへん座ってよ」
「それは後でな。まあそのへん座ってよ」
鬼山はそう言って、菓子皿を取りに台所へ立った。
まりちゃたちはしばらくそのまま怯え続け、ゆんやゆんや泣き叫ぶ声だけが聞こえてきた。
しかし少しすると、爪楊枝がなくなったことに気づいたらしく声色が変わる。
まりちゃたちはしばらくそのまま怯え続け、ゆんやゆんや泣き叫ぶ声だけが聞こえてきた。
しかし少しすると、爪楊枝がなくなったことに気づいたらしく声色が変わる。
「ゆひー、ゆひー……ゆっ? ぷーしゅぷーしゅしゃん、いなくなっちゃのじぇ?」
「ゆゆっ! くしょにんげんをやっちゅけちゃよ! まりちゃは、ゆんせいのしょうりしゃっなのじぇ!」
「たしゅかったのじぇ、にげりゅのじぇぇっ……しょろーり、しょろーり……ゆゆーん! こーろこーろ! こーろこーろしゅるよ!」
「こーろこーろしゅるよ! ……ゆっぴゃぁぁぁぁん! どーちてのぼれにゃいのぉぉ!?」
「ゆゆっ! くしょにんげんをやっちゅけちゃよ! まりちゃは、ゆんせいのしょうりしゃっなのじぇ!」
「たしゅかったのじぇ、にげりゅのじぇぇっ……しょろーり、しょろーり……ゆゆーん! こーろこーろ! こーろこーろしゅるよ!」
「こーろこーろしゅるよ! ……ゆっぴゃぁぁぁぁん! どーちてのぼれにゃいのぉぉ!?」
皿の中が見えなくとも、わざわざ実況してくれるので大変分かりやすくて結構。
ニヤニヤしながら聞いていると、鬼山がスナック菓子とグラスを手に戻ってきた。
袋を破って中身をいくつか取り出すと、電気スタンドから糸でぶら下げた。
皿の中のまりちゃたちからはそれが見える。
ニヤニヤしながら聞いていると、鬼山がスナック菓子とグラスを手に戻ってきた。
袋を破って中身をいくつか取り出すと、電気スタンドから糸でぶら下げた。
皿の中のまりちゃたちからはそれが見える。
「ゆっ? ゆっくちできりゅにおいがしゅるよ……ゆゆっ!! あれは、ぽてちしゃん!」
「ゆゆーん! ぽてちしゃんはじぇんぶ、まりちゃがむーちゃむーちゃしゅるのじぇ! ……どーちてとどかにゃいのぉぉぉ!?」
「にょーびにょーび! にょーびにょーび! ……ゆんやぁぁ! ぽてちしゃんおりてきちぇぇ!」
「くしょにんげん! まりちゃにぽてちしゃんをむーちゃむーちゃさせりゅのじぇぇぇ!」
「くじゅくじゅしてるんじゃにゃいのじぇぇぇ! しゃっしゃとしにゃいと、せいっしゃいしゅるのじぇぇぇ!!」
「ゆゆーん! ぽてちしゃんはじぇんぶ、まりちゃがむーちゃむーちゃしゅるのじぇ! ……どーちてとどかにゃいのぉぉぉ!?」
「にょーびにょーび! にょーびにょーび! ……ゆんやぁぁ! ぽてちしゃんおりてきちぇぇ!」
「くしょにんげん! まりちゃにぽてちしゃんをむーちゃむーちゃさせりゅのじぇぇぇ!」
「くじゅくじゅしてるんじゃにゃいのじぇぇぇ! しゃっしゃとしにゃいと、せいっしゃいしゅるのじぇぇぇ!!」
誕生直後なのか拐ってきて日が浅いのか知らないが、なかなか元気なまりちゃたちだ。
こいつらが不幸だと明日からも頑張ろう、という気持ちになってくるからゆっくりは不思議な生き物である。
こいつらが不幸だと明日からも頑張ろう、という気持ちになってくるからゆっくりは不思議な生き物である。
「『ぴえーんぴえーん』がゆっくりできるよな」
「残念こっちは『ゆんやー』派だ。毎日癒されるよ」
「で、どうしたんだよ。仕事でトラブル、って感じでもなさそーだけど」
「ああ。……お前、夕飯とかは済たか? 車で来てないよな?」
「夕飯は済ませたし、徒歩でたかが数分のこの場所に車はないだろ」
「残念こっちは『ゆんやー』派だ。毎日癒されるよ」
「で、どうしたんだよ。仕事でトラブル、って感じでもなさそーだけど」
「ああ。……お前、夕飯とかは済たか? 車で来てないよな?」
「夕飯は済ませたし、徒歩でたかが数分のこの場所に車はないだろ」
鬼山はそれを聞くと、よし、と頷いた。
そして冷蔵庫からビールやら日本酒やらを持ってきて、机の上にででんと並べ、
そして冷蔵庫からビールやら日本酒やらを持ってきて、机の上にででんと並べ、
「飲もう」
と宣言する。
「そりゃいいけど……」
「いいけど、何だよ。明日予定あるのか? だったら早めに終わってもいいけど」
「いや、鬼山が何も無しに酒に誘うのが珍しい気がした」
「そうだっけ? ……まあ、何もないって事もないんだけど」
「いいけど、何だよ。明日予定あるのか? だったら早めに終わってもいいけど」
「いや、鬼山が何も無しに酒に誘うのが珍しい気がした」
「そうだっけ? ……まあ、何もないって事もないんだけど」
鬼山はふっと立ち上がって、例のまりちゃ入りの皿を持ち上げた。
途端に、中からする声がさらにかん高くなる。
途端に、中からする声がさらにかん高くなる。
「ゆっぴゃぁぁぁ! じめんしゃんがうごいちぇるよぉぉ!」
「きょわいのじぇぇ! ゆっくちできにゃいのじぇぇぇ!!」
「なにしゅるのじぇぇ! やめりゅのじぇぇぇ!」
「もうやぢゃぁぁ! まりちゃ、さやしゃんにきゃえりちゃいよぉぉぉ!!」
「きょわいのじぇぇ! ゆっくちできにゃいのじぇぇぇ!!」
「なにしゅるのじぇぇ! やめりゅのじぇぇぇ!」
「もうやぢゃぁぁ! まりちゃ、さやしゃんにきゃえりちゃいよぉぉぉ!!」
悲鳴のひとつを聞き取って、ん? と俺は声を漏らした。
見上げてみると、鬼山は悪戯がバレたときのような、なんとも言えない笑みを浮かべている。
見上げてみると、鬼山は悪戯がバレたときのような、なんとも言えない笑みを浮かべている。
「ゆわぁぁん! まりちゃもぉ! まりちゃもさやしゃんに……ゆ? まりちゃのさやしゃん、どこにゃのじぇ?」
「ゆえぇぇん! ゆっくちできりゅまりちゃのさやしゃん、どこにゃのじぇぇ?!」
「まりちゃの、さやしゃん……ゆっくちできりゅ、まりちゃのさやしゃぁぁん!! でてきちぇにゃのじぇぇ!!」
「ゆえぇぇん! ゆっくちできりゅまりちゃのさやしゃん、どこにゃのじぇぇ?!」
「まりちゃの、さやしゃん……ゆっくちできりゅ、まりちゃのさやしゃぁぁん!! でてきちぇにゃのじぇぇ!!」
よく聞くと、どれもこれも定番の「おうちかえる!」とは微妙に違う。
「ゆっくりできるおうち」はゆっくりがゆっくりするのに欠かせないもののひとつだ。
だからゆっくりたちは、人間の広くて快適な家に入り込み奪おうとしては例外なく潰される。それだけゆん生に占めるウェイトが重いのだ。
なのに皿の中のまりちゃたちからは、その単語がひとつも聞こえてこない。
「ゆっくりできるおうち」はゆっくりがゆっくりするのに欠かせないもののひとつだ。
だからゆっくりたちは、人間の広くて快適な家に入り込み奪おうとしては例外なく潰される。それだけゆん生に占めるウェイトが重いのだ。
なのに皿の中のまりちゃたちからは、その単語がひとつも聞こえてこない。
「なぁ、なんで『おうちかえる』じゃないんだ? さやがどうとか言ってるけど……あ、ひょっとしてさくやか?」
「聞き間違いじゃないよ。こいつらが探してるのは、正真正銘自分のさやさ」
「なんじゃそりゃ? さや……鞘? さやえんどうとかのアレか?」
「正解」
「聞き間違いじゃないよ。こいつらが探してるのは、正真正銘自分のさやさ」
「なんじゃそりゃ? さや……鞘? さやえんどうとかのアレか?」
「正解」
鬼山はまりちゃたちの皿とは別に、もうひとつ袋を取り出して机の上にでんと置いた。
親指の爪ほどの体をした、ミニミニサイズのまりちゃたちがいる。おかさりの帽子はそれ以上に丈がなく、先端が寝ていてへにょりとしていた。
そして隣の袋には、植物型にんっしんで生えてくるゆっくりの茎が入っていた。
ただそこにぶら下がっていたのは実ゆっくりではなかった。
皿の中のまりちゃたちの同類とおぼしき、黒ずんだ小さな死体ゆっくりがなければ、俺はきっとそれがゆっくりの茎だと分からなかっただろう。
茎には、たしかに鞘があった。
枝豆それと区別のつかない、青々としたさやが。
親指の爪ほどの体をした、ミニミニサイズのまりちゃたちがいる。おかさりの帽子はそれ以上に丈がなく、先端が寝ていてへにょりとしていた。
そして隣の袋には、植物型にんっしんで生えてくるゆっくりの茎が入っていた。
ただそこにぶら下がっていたのは実ゆっくりではなかった。
皿の中のまりちゃたちの同類とおぼしき、黒ずんだ小さな死体ゆっくりがなければ、俺はきっとそれがゆっくりの茎だと分からなかっただろう。
茎には、たしかに鞘があった。
枝豆それと区別のつかない、青々としたさやが。
もともと、まりさ種から突然で生まれた亜種らしい。
研究用に捕まえてきた野生ゆっくりの記憶餡に、豆さんはゆっくりできるという考えがあったのか。はたまた完全に突然変異なのか、本当のところはよくわからない。とにかく、自然界でのゆっくりの世帯を研究するため、加工所で放牧していたところそれは起こった。ありすを夫としたつがいの、ゆっくりまりさに、普通と異なる植物型にんっしんがなされたのだ。
茎にぶら下がった、豆のそれと同じさや。
そこからぽんぽんと飛び出て誕生してくる、普通よりの小さな赤ゆっくりたち。
不思議と生まれてくるのはまりさ種のみで、枝豆にちなんで「えだまりさ」、あるいは赤ゆっくりなら「えだまりちゃ」と名づけたこと。
そしてその名付け親が自分であることを、鬼山はビールを片手に、はしゃいだ子供のように語った。
研究用に捕まえてきた野生ゆっくりの記憶餡に、豆さんはゆっくりできるという考えがあったのか。はたまた完全に突然変異なのか、本当のところはよくわからない。とにかく、自然界でのゆっくりの世帯を研究するため、加工所で放牧していたところそれは起こった。ありすを夫としたつがいの、ゆっくりまりさに、普通と異なる植物型にんっしんがなされたのだ。
茎にぶら下がった、豆のそれと同じさや。
そこからぽんぽんと飛び出て誕生してくる、普通よりの小さな赤ゆっくりたち。
不思議と生まれてくるのはまりさ種のみで、枝豆にちなんで「えだまりさ」、あるいは赤ゆっくりなら「えだまりちゃ」と名づけたこと。
そしてその名付け親が自分であることを、鬼山はビールを片手に、はしゃいだ子供のように語った。
「ゆっぴぃぃ、どーちてちくちくしゃんがもどっちぇるのじぇぇ!!」
「ゆんやぁぁ……もうやめちぇぇ……ゆっくちできにゃい……ゆ゛っピィィィ!!」
「本当、まりちゃの悲鳴聞くと酒がうまい」
「全くだよ。成体になるとイラつくだけなのに……ほら、ちゃんと声出してくれないと」
「ぴゃああん! やめるのじぇぇ! まりちゃのあんよしゃん、つっつかにゃいでぇぇ!!」
「ゆんやぁぁ……もうやめちぇぇ……ゆっくちできにゃい……ゆ゛っピィィィ!!」
「本当、まりちゃの悲鳴聞くと酒がうまい」
「全くだよ。成体になるとイラつくだけなのに……ほら、ちゃんと声出してくれないと」
「ぴゃああん! やめるのじぇぇ! まりちゃのあんよしゃん、つっつかにゃいでぇぇ!!」
その「えだまりちゃ」たちをフォークで追い回しながら。
「しっかしこいつら、本当に鞘の中に入ってたのかねぇ。信じられないわ」
と言いながら柿ピーをぽりぽり食べる。
実際問題として不思議な話ではあった。
植物型にんっしんに代表されるように、ゆっくりには確かに植物の要素があるのは事実だ。
さらにいえばれいむとまりさの中身は餡子であり、餡子の主原料は小豆。つまり豆だ。枝豆は大豆であり小豆でないが、そう考えると共通点はある。
ついでにれいむのこしあんと違い、まりさの餡子はつぶあんだ。まりさ種にこういう変化が起こったのも、後付けならばそういう理解はできなくもない。
しかし、これはあまりにも。
ゆっくりにあらゆる意味で常識は通用しないと思っていても、そうそう納得できる話ではない。
実際問題として不思議な話ではあった。
植物型にんっしんに代表されるように、ゆっくりには確かに植物の要素があるのは事実だ。
さらにいえばれいむとまりさの中身は餡子であり、餡子の主原料は小豆。つまり豆だ。枝豆は大豆であり小豆でないが、そう考えると共通点はある。
ついでにれいむのこしあんと違い、まりさの餡子はつぶあんだ。まりさ種にこういう変化が起こったのも、後付けならばそういう理解はできなくもない。
しかし、これはあまりにも。
ゆっくりにあらゆる意味で常識は通用しないと思っていても、そうそう納得できる話ではない。
「まぁ気持ちは分かるよ……なら、とりあえずこいつらに鞘与えてみようか」
そう言って鬼山は、皿の中身を引っくり返す。
「ゆゆっ! こーろこーろ……おしょらをとんでりゅみちゃーい!」
「まりちゃ、おしょらのてんししゃん! ……ゆぴ!」
「ゆべっ! いちゃいのじぇぇ! ゆっくちできにゃぁぁい!」
「まりちゃ、おしょらのてんししゃん! ……ゆぴ!」
「ゆべっ! いちゃいのじぇぇ! ゆっくちできにゃぁぁい!」
10匹を超える「えだまりちゃ」とやらが転がり出た。
一応「おそらを飛んでるみたい」は言うらしい。自由落下でテーブルに落ち、ゆぴーゆぴーと元気に泣いている。
そこから少し離して、袋の中にとってあった鞘を置いた。何度見ても枝豆そのものだ。何も言わずに出されたら間違えるに違いない。
一応「おそらを飛んでるみたい」は言うらしい。自由落下でテーブルに落ち、ゆぴーゆぴーと元気に泣いている。
そこから少し離して、袋の中にとってあった鞘を置いた。何度見ても枝豆そのものだ。何も言わずに出されたら間違えるに違いない。
「ゆゆっ! さやしゃん! まりちゃのさやしゃん、おきゃえりーにゃのじぇ!」
「さやしゃんだぁぁ! さやしゃんのなかはゆっくちできりゅよ! ……ゆぴっ!」
「まりちゃのいもーちょ! にゃにしゅるのじぇぇ!! ……ゆぴぃ!」
「ゆっゆーん! まりちゃがしゃきなのじぇ! あのさやしゃんは、きゃわいいまりちゃがつかってあげりゅのじぇー!」
「さやしゃんだぁぁ! さやしゃんのなかはゆっくちできりゅよ! ……ゆぴっ!」
「まりちゃのいもーちょ! にゃにしゅるのじぇぇ!! ……ゆぴぃ!」
「ゆっゆーん! まりちゃがしゃきなのじぇ! あのさやしゃんは、きゃわいいまりちゃがつかってあげりゅのじぇー!」
異様な群がり方だった。
先ゆくゆっくりを邪魔しようと体当たりをしかけるもの、疲労のためぴょんぴょんができず、ずーりずーりと這って向かうもの。
やり方はそれぞれだが、小粒のえだまりちゃたちは一直線に、我先にと近づいていく。見えているはずの人間の姿には目もくれないようだ。
先ゆくゆっくりを邪魔しようと体当たりをしかけるもの、疲労のためぴょんぴょんができず、ずーりずーりと這って向かうもの。
やり方はそれぞれだが、小粒のえだまりちゃたちは一直線に、我先にと近づいていく。見えているはずの人間の姿には目もくれないようだ。
「こいつらは出生には少し早い段階でさやから出した個体でさ。こうやってさやを置いてやると、帰巣本能みたいなものが働くらしい」
「へぇ……これでもか?」
「へぇ……これでもか?」
俺はさやから少し離れたところに、つまみに用意したポテトチップスを1かけらと、チョコレートクッキーを置いてみた。
「さやしゃん! さやしゃぁぁん! ただいまーにゃのじぇー!」
「まりちゃのあんよしゃん、しぇかいいちっ! にゃのじぇ!」
「ゆぷぷ、のりょまなゆっくりはあっちにいっちぇね!」
「ゆやぁぁん! そのさやしゃんは、まりちゃとまりちゃのいもーちょのさやしゃんにゃのにぃぃ!!」
「まりちゃのあんよしゃん、しぇかいいちっ! にゃのじぇ!」
「ゆぷぷ、のりょまなゆっくりはあっちにいっちぇね!」
「ゆやぁぁん! そのさやしゃんは、まりちゃとまりちゃのいもーちょのさやしゃんにゃのにぃぃ!!」
しかしそれを一顧だにせず、えだまりちゃたちはさやへと突っ込んでいく。
これには驚いた。ゆっくりたちが持つ菓子への執着は、親子や姉妹のつながりすら簡単に壊せるほど強烈なはずなのに。
俺が怪訝そうな顔をするのを、鬼山はふふん、と満足そうな顔をして見ている。予想通りだと言わんばかりの表情だった。
その目の前で、仲間のえだまりちゃを押しのけ押しのけ、やがて3匹がさやの前にたどり着く。
そしてケツをふりふりあにゃるをぷりぷり、さやの中に潜ろうとうぞうぞもがく。
これには驚いた。ゆっくりたちが持つ菓子への執着は、親子や姉妹のつながりすら簡単に壊せるほど強烈なはずなのに。
俺が怪訝そうな顔をするのを、鬼山はふふん、と満足そうな顔をして見ている。予想通りだと言わんばかりの表情だった。
その目の前で、仲間のえだまりちゃを押しのけ押しのけ、やがて3匹がさやの前にたどり着く。
そしてケツをふりふりあにゃるをぷりぷり、さやの中に潜ろうとうぞうぞもがく。
「ゆっくち! ゆっくち! さやしゃん、ゆっくちいれりゅのじぇー!」
「ゆーん、ゆーん! ゆぁーん、はいれにゃいよぉぉ! ゆっくちできにゃいのじぇぇ!」
「もーじょもーじょ! もーじょもーじょ! ……ぴぇーん! ゆっくちいれちぇね! いれちぇね!」
「ゆーん、ゆーん! ゆぁーん、はいれにゃいよぉぉ! ゆっくちできにゃいのじぇぇ!」
「もーじょもーじょ! もーじょもーじょ! ……ぴぇーん! ゆっくちいれちぇね! いれちぇね!」
ふりふり。ぷりぷり。ぷりぷりぷりん。
「「「ピュえんッ!!!」」」
鬼山が「かまわんやれ」の目をしていたので、実行。
三匹そろって綺麗に潰れた。まりちゃが潰れるとなんだか落ち着く気がする。
三匹そろって綺麗に潰れた。まりちゃが潰れるとなんだか落ち着く気がする。
「ゆ? ゆゆ? ……あのまりちゃたちは、どきょにいっちゃのじぇ?」
「ゆ、ゆわあああああ!! どーちてまりちゃたちがちゅぶれてるのじぇぇぇ!?」
「ゆゆう!? ゆっくちちてにゃいじじいがいりゅのじぇ! ましゃか……まりちゃ、おしょらをてにいれちゃのじぇ!」
「ゆわわわ……ゆっくちにげりゅのじぇ……しょーろ、しょーろ……まりちゃ、とりしゃん!」
「ゆ、ゆわあああああ!! どーちてまりちゃたちがちゅぶれてるのじぇぇぇ!?」
「ゆゆう!? ゆっくちちてにゃいじじいがいりゅのじぇ! ましゃか……まりちゃ、おしょらをてにいれちゃのじぇ!」
「ゆわわわ……ゆっくちにげりゅのじぇ……しょーろ、しょーろ……まりちゃ、とりしゃん!」
騒ぎだしたまりちゃたちは話をするのに邪魔と判断されたのか。鬼山の手でひょいひょいひょいと回収され、再び深皿の中へと戻された。
「ふぅ。……ん? 中身はこれ、餡子じゃないのか」
「普通の豆と同じだよ。煮てもないし水気もない、単なる豆だ」
「普通の豆と同じだよ。煮てもないし水気もない、単なる豆だ」
単なる豆って。
もうやだこのなまもの。
もうやだこのなまもの。
「ちょうどいい。刈り取った茎だけ持ってきたんだ。砂糖水につけてある」
「豆が……砂糖水で育つのかよ……」
「諦めて認めようよ。ってか、今日はこいつらで一杯やろうって思ってたんだが」
「虐待的な意味で? ……それとも、酒のつまみ的な意味か?」
「いや、両方だ」
「豆が……砂糖水で育つのかよ……」
「諦めて認めようよ。ってか、今日はこいつらで一杯やろうって思ってたんだが」
「虐待的な意味で? ……それとも、酒のつまみ的な意味か?」
「いや、両方だ」
トン、と鬼山が小皿を取り出して机に置く。
つやのある深緑色のさや付き豆……ならぬさや付きえだまりちゃと思しきモノが一房、その中に収まっていた。
つやのある深緑色のさや付き豆……ならぬさや付きえだまりちゃと思しきモノが一房、その中に収まっていた。
(ゆゆーん……まりちゃたちのさやしゃん、ゆっくちできりゅのじぇー……ふーわふーわの、あったかーなのじぇ……)
ちょうどその中では、出生直前のまりちゃがいる。
さやの中はえだまりちゃたちにとって、さいっこうのゆっくりプレイスだ。
えだまりちゃたちは実ゆっくりの間、茎から流れてくる親の餡子を――途中からは砂糖水を吸って、すくすくと健康に育っていた。
さやの中はえだまりちゃたちにとって、さいっこうのゆっくりプレイスだ。
えだまりちゃたちは実ゆっくりの間、茎から流れてくる親の餡子を――途中からは砂糖水を吸って、すくすくと健康に育っていた。
ぽこぽことさやが膨らんでいて、えだまりちゃの数は外側から確認しやすい。今回は1つのさやに3匹が詰まっていた。
えだまりちゃたちはひとつの鞘で実ゆっくりの時期を過ごすが、その途中で意識が芽生え、お互いの存在を認識するようになるらしい。
同じさやで育った姉妹たちは、ときには両親とのそれに匹敵する絆で結ばれることもあるらしい。
つまり、ひとつのあまあまを巡った殺し合いがたまに起こる程度。
えだまりちゃたちはひとつの鞘で実ゆっくりの時期を過ごすが、その途中で意識が芽生え、お互いの存在を認識するようになるらしい。
同じさやで育った姉妹たちは、ときには両親とのそれに匹敵する絆で結ばれることもあるらしい。
つまり、ひとつのあまあまを巡った殺し合いがたまに起こる程度。
(ゆー……ゆー……ゆゆ?)
そこに、外からの圧迫感が生じる。
長女のまりちゃはそれを、たんっじょう! の瞬間と認識した。ぷるぷると震えはじめ、姉妹にその時が来たことを本能レベルで伝える。
実際には鞘をつまみ、中身を外に出そうと、鬼山の指が圧迫しているのだが。
長女のまりちゃはそれを、たんっじょう! の瞬間と認識した。ぷるぷると震えはじめ、姉妹にその時が来たことを本能レベルで伝える。
実際には鞘をつまみ、中身を外に出そうと、鬼山の指が圧迫しているのだが。
(まりちゃ、ゆっくちうまれるのじぇ……! せかいじゅうのゆっくちが、まりちゃをうぇるかむっ! してるのじぇー!)
(まりちゃはまりちゃなのじぇ! まりちゃはおしょとで、あみゃあみゃしゃんをむーちゃむーちゃしゅるよ!)
(ゆっゆーん! まりちゃはゆっくちしゅるよ! それがせかいの、しぇんったくなのじぇー!)
(まりちゃはまりちゃなのじぇ! まりちゃはおしょとで、あみゃあみゃしゃんをむーちゃむーちゃしゅるよ!)
(ゆっゆーん! まりちゃはゆっくちしゅるよ! それがせかいの、しぇんったくなのじぇー!)
実際にじゅうぶん育っており、いつ誕生できてもおかしくない状態だったえだまりちゃたちは、疑問さえ浮かべずにそれを受け入れていた。
「さやしゃん……さよならにゃのじぇ! いままで、ゆっくちありがとーなのじぇ……!」
「まりちゃたち、ゆっくちおしょとにでびゅーしゅるよ!」
「まりちゃたちはさやしゃんを、ゆっくちそつっぎょう! しましゅ!」
「「そつっぎょう! しましゅ!」」
「まりちゃたち、ゆっくちおしょとにでびゅーしゅるよ!」
「まりちゃたちはさやしゃんを、ゆっくちそつっぎょう! しましゅ!」
「「そつっぎょう! しましゅ!」」
出生を控えて、まりちゃたちも声を出すようになってきた。俺や鬼山にも聞こえるボリュームの声で、そつっぎょう! せんげんが飛んできた。
えだまりちゃはしばらくさやをベッドにする生態がある、と鬼山は後で教えてくれた。
しかしそれでも、今までのようにさやの中で一緒にずっと過ごすことはない。
いつの間にかさやさんから、長女まりちゃの顔がこんにちはしている。
その顔はせき! べつ! の時を前に、名残惜しさを感じてぷるぷると震えていた。
姉妹とともに心に描いた、まりちゃたちを待っている、ゆっくりできる未来を想像しているのだろう。
優しいおとうさんとおかあさんに囲まれて、世界中のあまあまを与えられて、ゆっくりできないことなど何も無く過ごすのだ。
えだまりちゃはしばらくさやをベッドにする生態がある、と鬼山は後で教えてくれた。
しかしそれでも、今までのようにさやの中で一緒にずっと過ごすことはない。
いつの間にかさやさんから、長女まりちゃの顔がこんにちはしている。
その顔はせき! べつ! の時を前に、名残惜しさを感じてぷるぷると震えていた。
姉妹とともに心に描いた、まりちゃたちを待っている、ゆっくりできる未来を想像しているのだろう。
優しいおとうさんとおかあさんに囲まれて、世界中のあまあまを与えられて、ゆっくりできないことなど何も無く過ごすのだ。
「しゅっぽーん! まりちゃ、すぺーすしゃとるしゃん!」
鬼山の指がさやからまりちゃを押しだすと、お決まりのセリフとともに勢いよく飛び出した。
「きゃわいいまりちゃが、ゆっきゅりうまれちゃよ! しぇかいがしゅくふくしちぇるのじぇー!」
「ゆっくちー! まりちゃが、おしょとにとびたちゅのじぇ!」
「ゆっくちー! まりちゃが、おしょとにとびたちゅのじぇ!」
続いてぺしょぺしょっ、と妹たちが続く。落ちたのは俺の手の中だ。うまくキャッチできた。
この世にいらっしゃい。
そしてさようなら。
この世にいらっしゃい。
そしてさようなら。
「まりちゃのいもーちょ! いーち、にーい……ゆゆーん! みんにゃいるのじぇ!」
「ゆーん! ……ゆ? おきゃーしゃん、どこにいりゅの? はやくまりちゃを、ゆっくちしゃしぇりゅのじぇ!」
「ゆっゆーん! まじゅはおきゃーしゃんをさがしゅのじぇ! まりちゃ、ゆっくちれんじゃーしゃんなのじぇー!」
「しょのまえに、みんにゃでごあいしゃつっ! しようにぇ! しぇーのっ、」
「「「ゆっくりちていっ……」」」
「ゆっくりなんてできないよ。君たちは今から彼のごはんになるんだよ。ぐちゃぐちゃにすり潰して殺されるから理解してね」
「本当に美味いのかね……まぁいいや。そこのまりちゃたち、今からお前たちをむーしゃむーしゃするから泣いて苦しんでね」
「ゆ?」
「ゆ!?」
「ゆゆっ!?」
「ゆーん! ……ゆ? おきゃーしゃん、どこにいりゅの? はやくまりちゃを、ゆっくちしゃしぇりゅのじぇ!」
「ゆっゆーん! まじゅはおきゃーしゃんをさがしゅのじぇ! まりちゃ、ゆっくちれんじゃーしゃんなのじぇー!」
「しょのまえに、みんにゃでごあいしゃつっ! しようにぇ! しぇーのっ、」
「「「ゆっくりちていっ……」」」
「ゆっくりなんてできないよ。君たちは今から彼のごはんになるんだよ。ぐちゃぐちゃにすり潰して殺されるから理解してね」
「本当に美味いのかね……まぁいいや。そこのまりちゃたち、今からお前たちをむーしゃむーしゃするから泣いて苦しんでね」
「ゆ?」
「ゆ!?」
「ゆゆっ!?」
ぱくん。ころころ。
「ゆーん! こーりょこーりょすりゅよ! ……ゆぅぅっ!? どーちてまっくらなのぉぉ!?」
「ゆっくちできにゃいのじぇぇ!! だしぇー! だしぇー! くしょじじぃぃ!」
「ゆぴぃぃ! まりちゃたち、ごひゃんじゃにゃいのじぇー! にゃにしゅるのじぇー!」
「ゆっくちできにゃいのじぇぇ!! だしぇー! だしぇー! くしょじじぃぃ!」
「ゆぴぃぃ! まりちゃたち、ごひゃんじゃにゃいのじぇー! にゃにしゅるのじぇー!」
ゆっくりにしては皮がつるんとしている感じだ。これもやっぱり枝豆準拠なのだろうか。
そういえば生で食べる場合どうなのか知らんが、枝豆には豆のまわりに薄皮があったっけ。
そう思って試しに舌で転がし、上下の歯で挟んでみる。
ちゅるん、と皮がむけた。ちょうどいいので皮だけ噛んでみたが、あんまり味がせん。塩をふってないからか。
そういえば生で食べる場合どうなのか知らんが、枝豆には豆のまわりに薄皮があったっけ。
そう思って試しに舌で転がし、上下の歯で挟んでみる。
ちゅるん、と皮がむけた。ちょうどいいので皮だけ噛んでみたが、あんまり味がせん。塩をふってないからか。
「ぴっ! ……びええええええええん!! いちゃい! いちゃいいちゃいいちゃいのじぇええええええ!!!」
「いもーちょのかわしゃんがぁぁぁ!! どーちてこんにゃことぉぉぉ!!」
「おねーしゃぁぁあん! きょわいのじぇぇ! まりちゃ、さやしゃんにきゃえるのじぇえええ!!」
「いもーちょのかわしゃんがぁぁぁ!! どーちてこんにゃことぉぉぉ!!」
「おねーしゃぁぁあん! きょわいのじぇぇ! まりちゃ、さやしゃんにきゃえるのじぇえええ!!」
口の中で恐慌が起こるのは、まぁ赤ゆっくりを食べていればよくあること。
どうやら同じさやから生まれたものは、姉妹と認識するらしい。
希望通り泣き叫んでくれているので満足だ。噛んじゃおう。
どうやら同じさやから生まれたものは、姉妹と認識するらしい。
希望通り泣き叫んでくれているので満足だ。噛んじゃおう。
「しゅみましぇんしゅみましぇん! まりちゃがわりゅかったでしゅううう!! ……ぴゅギ!」
「やぢゃやぢゃやぢゃぁぁ!! まりちゃはこんにゃところでちぬゆっくちじゃにゃびい゛ッ!」
「ぴゅええええん!! ぴゅええええええん!!! どーちてこんにゃことしゅるのじィッ!!」
「やぢゃやぢゃやぢゃぁぁ!! まりちゃはこんにゃところでちぬゆっくちじゃにゃびい゛ッ!」
「ぴゅええええん!! ぴゅええええええん!!! どーちてこんにゃことしゅるのじィッ!!」
もぐもぐ。もぐもぐ。姉妹は成す術なくすりつぶされて、混ざり合って消えて行った。
「ぴ…………ぴぃ……ど……ぢて……………………」
「…………ゃ……ぢゃ……おきゃ……しゃ……………………」
「……っちょ……ゅっぐ……ぴっ! ……………………」
「…………ゃ……ぢゃ……おきゃ……しゃ……………………」
「……っちょ……ゅっぐ……ぴっ! ……………………」
歯ごたえは生だからか少々固め。
生の豆を食べたことがないから比較はできないが、甘味が少々強すぎる。あんまり好みではないかもしれない。
と思ったら鬼山が、茹であがったえだまりちゃを持って来てくれた。まぁ先程のえだまりちゃたちで分かったが、あまり生で食べたものではない。
手の上に実を押しだすと、苦痛と絶望で醜く歪んだまりちゃの良い顔が出てきた。
まずその顔を肴に、ぐいっとビールをあおる。
生の豆を食べたことがないから比較はできないが、甘味が少々強すぎる。あんまり好みではないかもしれない。
と思ったら鬼山が、茹であがったえだまりちゃを持って来てくれた。まぁ先程のえだまりちゃたちで分かったが、あまり生で食べたものではない。
手の上に実を押しだすと、苦痛と絶望で醜く歪んだまりちゃの良い顔が出てきた。
まずその顔を肴に、ぐいっとビールをあおる。
「……っかぁー! まりちゃの絶望で酒がうまい!」
「そいつはよかった。酒に合うゆっくり、ってコンセプトで商品化出来ないかって思っててさ」
「そいつはよかった。酒に合うゆっくり、ってコンセプトで商品化出来ないかって思っててさ」
なるほどな。これなら一粒で二度美味しい。
ゆ虐家にはたまらない一品だ。まりちゃの顔や声を酒の肴にしてもよし、そのまま食べても酒のツマミになる。
目の前で姉妹を食べてしまい、残されたまりちゃの泣き叫ぶ顔は実に食欲をそそりそうだ。
そのスジの人向けとはいえ、安定した売れ筋を確保できるだろう。ただ……
ゆ虐家にはたまらない一品だ。まりちゃの顔や声を酒の肴にしてもよし、そのまま食べても酒のツマミになる。
目の前で姉妹を食べてしまい、残されたまりちゃの泣き叫ぶ顔は実に食欲をそそりそうだ。
そのスジの人向けとはいえ、安定した売れ筋を確保できるだろう。ただ……
「……やっぱり甘味がちょっと強すぎるかな。これはこれで良くもあるんだろうけど、もう少し抑えた方が俺は好きだ」
「なるほどなぁ。これでも結構塩をふった方なんだけど……あ、つける用に持ってきたよ」
「サンキュ。そのへんは今後の品種改良の課題かな……あとはなんていうか、味がちょっと豆っぽくないっていうか……」
「植物っぽくない?」
「なるほどなぁ。これでも結構塩をふった方なんだけど……あ、つける用に持ってきたよ」
「サンキュ。そのへんは今後の品種改良の課題かな……あとはなんていうか、味がちょっと豆っぽくないっていうか……」
「植物っぽくない?」
そうそう。とうなずく。
鬼山はそれを見て、やっぱりか。という風な顔をして唸った。
鬼山はそれを見て、やっぱりか。という風な顔をして唸った。
「実はさ、研究メンバーで一度試食してみたんだ。その時にも、一部から同じ声が上がってな」
鬼山も懸念していたのだろう。開発段階で味に対するコメントが相次いでいたらしい。
確かに味は悪くない。歯触りも良く、食べた感触はゆっくりよりもしっかりしている。
ただ少々バランスが良くなかった。もともとがゆっくりだからか、いかんせん甘味が強い。
豆の甘味というには、少々風味が薄すぎた。もうちょっと豆の味というか、それに準ずる植物的な何かが味に欠けているように思える。
確かに味は悪くない。歯触りも良く、食べた感触はゆっくりよりもしっかりしている。
ただ少々バランスが良くなかった。もともとがゆっくりだからか、いかんせん甘味が強い。
豆の甘味というには、少々風味が薄すぎた。もうちょっと豆の味というか、それに準ずる植物的な何かが味に欠けているように思える。
「まぁ頑張れ。せっかく出来た新種だし、うまく活かしたいのは分かるけど。あんまり焦らない方がいいぞ」
「それもそうか。……まぁ、貴重な御意見ありがとな」
「対価は今日のこれを奢りということでいいよ。優しくってごめんね」
「ワリカンだ馬鹿」
「それもそうか。……まぁ、貴重な御意見ありがとな」
「対価は今日のこれを奢りということでいいよ。優しくってごめんね」
「ワリカンだ馬鹿」
課題が既にはっきりしているからか、鬼山はため息を吐きながらも、どこか清々したような顔を浮かべてまりちゃをフォークで刺した。
ぴっ! と声を上げる間もなく、くりんと手首を回転する。抵抗を感じさせず、ちゅるんと目玉が抜きとれた。
深い皿からは悲鳴が上がる。鬼山はそれをしばし眺めてから、ぐぐっとビールをあおった。そこに俺も、
ぴっ! と声を上げる間もなく、くりんと手首を回転する。抵抗を感じさせず、ちゅるんと目玉が抜きとれた。
深い皿からは悲鳴が上がる。鬼山はそれをしばし眺めてから、ぐぐっとビールをあおった。そこに俺も、
「……あ、そういえばさ。こっちはどうなんだ?」
「こっち?」
「いや、これ」
「こっち?」
「いや、これ」
まりちゃたちの抜けがらとなった、空っぽのさやをつまみあげた。
ふつう枝豆を食べるときは捨ててしまう部分だが、しかし今回はモノがゆっくりである。食べられないとも限らないと思ったのだ。
ついでに言うとゆっくりから伸びた蔓も食用がきく。
赤ゆっくりが最初に食べるものであるだけに、生でもみずみずしくてほのかな甘みがある。
湯にさっと通してもおいしく食べられるし、胡麻で合えても甘口の味がぴったりマッチする万能食材だ。加工所で作られるゆっくり加工食品のうち、巷ではちょっとした人気商品でもあった。
その茎から生えてきたものだ。食えないわけがない。
ふつう枝豆を食べるときは捨ててしまう部分だが、しかし今回はモノがゆっくりである。食べられないとも限らないと思ったのだ。
ついでに言うとゆっくりから伸びた蔓も食用がきく。
赤ゆっくりが最初に食べるものであるだけに、生でもみずみずしくてほのかな甘みがある。
湯にさっと通してもおいしく食べられるし、胡麻で合えても甘口の味がぴったりマッチする万能食材だ。加工所で作られるゆっくり加工食品のうち、巷ではちょっとした人気商品でもあった。
その茎から生えてきたものだ。食えないわけがない。
「えだまりちゃだか何だかぶっちゃけもう何でもいいけど、さやもひょっとしたら甘いのか?」
「……そ」
「そ?」
「その発想は無かった! ちょっと待っててくれ! 追加で煮て持ってくる!」
「……そ」
「そ?」
「その発想は無かった! ちょっと待っててくれ! 追加で煮て持ってくる!」
さやを食べるという着想が意外だったのか。鬼山はがたっと席を立ち、台所へと行ってしまった。
「枝豆のさやは捨てる」という固定観念にとらわれていたのだろうか。これがひょっとして突破口になるのかと思うと。あいつのためにも来てよかったと思う。
つまんでいたえだまりちゃのさやを、手持無沙汰のほんのちょっとかじってみる。
甘味は本当に控えめで、植物的なほろ苦さとうま味が舌に乗った。
「枝豆のさやは捨てる」という固定観念にとらわれていたのだろうか。これがひょっとして突破口になるのかと思うと。あいつのためにも来てよかったと思う。
つまんでいたえだまりちゃのさやを、手持無沙汰のほんのちょっとかじってみる。
甘味は本当に控えめで、植物的なほろ苦さとうま味が舌に乗った。
「お、意外とイケる。ビールビール、っと……」
ぐびぐびぐびと飲み干す。塩気が少々足りないが、その他の要素はなかなか良いセンに達しているように思えた。ゆっくりの茎を食べたことがあるが、あれをさらに濃くした感じで独特の味だ。
となると、自然と試してみたくなる。
台所にいる鬼山に、今ここにあるさやとえだまりちゃたちを勝手に食べていいかと聞いてみた。GOサインの声だけが聞こえてきたので、さっそくいただくことにしよう。
塩の小ビンを片手に、先程から深皿に入ったままのえだまりちゃたちを振り返る。
どれもこれも涙とおそろちーちーを流し、恐怖に歪んだ、美味そうな顔をしていた。
となると、自然と試してみたくなる。
台所にいる鬼山に、今ここにあるさやとえだまりちゃたちを勝手に食べていいかと聞いてみた。GOサインの声だけが聞こえてきたので、さっそくいただくことにしよう。
塩の小ビンを片手に、先程から深皿に入ったままのえだまりちゃたちを振り返る。
どれもこれも涙とおそろちーちーを流し、恐怖に歪んだ、美味そうな顔をしていた。
「ゆわぁぁ……いやにゃのじぇ……まりちゃを、まりちゃをたべにゃいでぇぇ!!」
「いもーちょはまりちゃがまもりゅのじぇー! ぷっきゅぅぅぅ!」
「よーじよーじ! よーじよーじ……ゆひっ! い、いやぢゃぁぁ!! こっちきゅるにゃぁぁ!!」
「いもーちょはまりちゃがまもりゅのじぇー! ぷっきゅぅぅぅ!」
「よーじよーじ! よーじよーじ……ゆひっ! い、いやぢゃぁぁ!! こっちきゅるにゃぁぁ!!」
今までの光景を全部見ていたらしい。えだまりちゃたちは先程まで以上に泣き叫び、皿から出ようともがく。
そんなにさやに帰りたいなら、望みどおりにしてあげようじゃないか。
俺はえだまりちゃたちをさやにつめて塩をふると、そのまま口の中に放り込んだ。
名付けて、さや付きえだまりちゃ。さやえんどうのスナックみたいな。
そんなにさやに帰りたいなら、望みどおりにしてあげようじゃないか。
俺はえだまりちゃたちをさやにつめて塩をふると、そのまま口の中に放り込んだ。
名付けて、さや付きえだまりちゃ。さやえんどうのスナックみたいな。
「ゆ゛んやあ! ゆんや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ブヂュルッ!!」
「ぴいいいいい!! ぴいいいいいいい!! ぴ……ぃゅ゛ん!!!」
「お……うまい! こりゃいけるんじゃないか?」
「おーい! こっち手伝ってくれ! 親まりさから鞘をむしるのに手が足りん!」
「何だその楽しそうな農作業! 俺にもやらせろ!」
「ぴいいいいい!! ぴいいいいいいい!! ぴ……ぃゅ゛ん!!!」
「お……うまい! こりゃいけるんじゃないか?」
「おーい! こっち手伝ってくれ! 親まりさから鞘をむしるのに手が足りん!」
「何だその楽しそうな農作業! 俺にもやらせろ!」
こうして夜は更けていった。まりちゃたちにとっては絶望の、俺たちにとっては至福の夜だ。
口の中に響く悲鳴。皿に残ったまりちゃたちの絶望の表情。徐々に台所から漂い始めた、えだまりちゃたちが煮られていくいい香り。
口の中に響く悲鳴。皿に残ったまりちゃたちの絶望の表情。徐々に台所から漂い始めた、えだまりちゃたちが煮られていくいい香り。
「ぐっぐっ……う、ウマい! いくらでも飲める!」
「ごっごっごっ……っぷはぁぁ!! うめえ!!」
「塩とさやの苦味とまりちゃの甘味! いつまででも飲めそうだ! いやぁ、お前呼んで良かった! ありがとう!」
「礼なんか要るか! このまま朝までいくぞオラぁ!」
「ゆぇぇん……ゆぇぇぇん…………」
「どぼちで……ごんなごぢょ……もう、もうやめちぇよぉぉ……」
「ごっごっごっ……っぷはぁぁ!! うめえ!!」
「塩とさやの苦味とまりちゃの甘味! いつまででも飲めそうだ! いやぁ、お前呼んで良かった! ありがとう!」
「礼なんか要るか! このまま朝までいくぞオラぁ!」
「ゆぇぇん……ゆぇぇぇん…………」
「どぼちで……ごんなごぢょ……もう、もうやめちぇよぉぉ……」
どうしてこんなことをするかって?
その問いに対する答えは、俺たちの中でとっくに決まっているのだ。
その問いに対する答えは、俺たちの中でとっくに決まっているのだ。
「「美味いからやめないよ! ゆっくり食べられてね!!」」
「「ゆ……ゆ、ゆんやああああ!!!」」
「「ゆ……ゆ、ゆんやああああ!!!」」
>おしまい<
枝豆おいしいです
新参なので過去作と被ってたらごめんね
あと書いた端から消してくのもズルい気がしたので今度から消さないことにします
管理人さん今までごめんなさい
管理人さん今までごめんなさい

挿絵: