ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4186 ばかじゃないもん
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『ばかじゃないもん』 13KB
小ネタ 希少種 思いつき小ネタです、ほとんど愛でのぬるいぢめ
小ネタ 希少種 思いつき小ネタです、ほとんど愛でのぬるいぢめ
「あっちぃ~」
ノースリーブに半ズボン、襟をガバッとひっぱって中に団扇で風を入れてもなお暑い。
季節は連日猛暑日の夏真っ盛り、両親はそろって出張で俺は夏休み、まさにパラダイス!と思いきや現実はそううまくいかないものだ。
こう暑いと何もする気がまったくといっていいほど起きない。
ベッドから起き上がって時計を見たときは、すでに時計の針がてっぺんを越えて傾き始めていた。
夏休みといえば怠惰な生活、怠惰な生活といえば夜更かし昼起き、そして起き抜けのアイスと俺の中では相場が決まっている。
俺は部屋を出て一直線に冷蔵庫へ向かう。
冷凍庫の扉に手をかけたとき、俺はある異変に気がついた。
「・・・!・・・!」
中から何か物音が聞こえ、時々冷凍庫のドアが内側から押されたように動いている。
「ま、まさか俺の家の冷蔵庫に異次元トンネルがッ!?地球はクリーチャーの侵略を受けてしまうのか!!?」
…なんて仰々しい独り言を叫びながら、俺は軽く冷凍庫のドアをひいた。
「し、しんりゃくだって!?あたいこわい!」
その瞬間、中から飛び出してきた青饅頭が俺の顔面に飛びつく。
「冷たいなおい!」
俺はそれを引っぺがして無造作に放り投げた。
しかしそれはくるくると回ってぴたりと空中で停止し、ふよふよと漂ったままきょろきょろとあたりを見回す。
学校で習った万有引力とは、一体なんだったのかと目を疑ってしまいたくなるような光景だ。
「ゆっ!ゆっ!しんりゃくしゃめ!かかってこい!」
少し透き通った羽のような何かをぶんぶんと振り回しながら意気込んでいるこいつは、ゆっくりちるの。
数日前、近所の神社のお祭りを散策していたとき、カキ氷屋の親父に店から叩き出されてべそかいていたところを、
俺が発見したのが出会いだった。
なんでもどこからかやってきて商売道具の氷に噛り付いていたらしい、それは怒られて当然だろう。
めそめそしているちるのに俺がカキ氷を買って餌付けしてやったところ、すっかり一方的に仲良し認定されてしまい、
今ではこいつの中で俺はマブダチのにーちゃんという位置づけだそうだ。
家に一人という若干の寂しさと、昔縁日ですくってどんどんデカくなった巨大金魚のキンちゃんが、
享年12歳で先日大往生したこともあり、俺はこいつを家にお持ち帰りすることにした。
冷凍庫に閉じ込めて可哀想だという意見もあるかもしれないが、俺以上に暑さに弱いちるのはそこのほうが快適らしい。
事実パソコン通信でゴーグル大先生にご教示いただいた知識である、本人も今のところは文句はないので、恐らく大丈夫ではないだろうか。
「にーちゃん!しんりゃくしゃどこ!?」
ゆっくりなんてどれも低脳ではあるが、このちるのは特におつむが残念らしく、
よく言えば無邪気、悪く言えば考えなしで、人のいうことを素直に言葉通り受け取る実によい子だ。
「嘘だよ馬鹿」
「あたいばかじゃないもんっ!」
流石に馬鹿という言葉の意味くらいは知っているらしく、馬鹿にするとすぐ怒る、そこがまた可愛い。
冷凍庫に手を突っ込んで、奥に入っていたソーダバーを二本取り出し、無造作にあける。
それの一本を咥え、空いた手でちるのを固定し、喚く口にアイスをぶち込んでやった。
「ふぶっ!もごっごごっ!つめたい!あまあまうまい!」
どうやら満足したようだ、この程度で堕ちるなんてチョロイもんよ。
そのまま俺はちるのを抱え、ソファーにドカリと腰を下ろして、
ティッシュを目の前のテーブルに一枚置いてからテレビをつける。
ニュースをつければいつものように暗い話題や誰かの不幸話、
バラエティはベテラン司会者の淡々とした進行とやたらがなるゲスト達、今日も平和だ。
ちるのは胡坐をかく俺の足の間で、せっせとアイスを舐めている。
器用なもので手もないのに、ちるのはアイスの棒を咥えたまま舐め、決して離さない。
顔面生物の匠の技と言ったところだろうか。
ちるのを拾ってきてよかったことは、なんといってもこの体温。
ゆっくりちるのの特徴で、普通の生き物と比べてずっと体温が低いのだ。
たとえるならぬるくならない水袋という感じで、抱えているとひんやり心地いい。
おかげで今のところ俺一人ならクーラーを使わないですむから、
我が家の電気代事情は実に助かっているに違いない、エコなやつだ。
「うまかった!」
声高らかに宣言し、口をすぼめてプッとアイスの棒を飛ばすちるの。
アイスの棒は敷いてあったティッシュの上に着地した。
「お下品!」
絶対やるだろうと思って事前にティッシュを敷いて置いて正解だった。
何度言っても三秒で忘れるちるのだが、躾は躾、むにむにと頬をこね回してやると、
ちるのは遊んでもらっていると勘違いしてきゃっきゃとはしゃぐ。
「ゆははっ!くすぐったい!」
「そうだねー楽しいねー、でもアイスの棒そのへんにぺってしちゃだめだっていつもいつも言ってるでしょおおおおお!!?」
「ゆぶぶぶぶっぶぶぶ!!」
両頬を交互に連続でペチペチと高速連打、流石のちるのちゃんもこれには参ったでしょう…と思った俺が馬鹿だったようだ。
手首がつかれたので停止すると、後ろにもたれてこちらを見上げてくる。
その輝く瞳には、もっとやってくれという色がありありと浮かんでいた。
「たのしい!」
「そいつぁよござんしたね」
ノースリーブに半ズボン、襟をガバッとひっぱって中に団扇で風を入れてもなお暑い。
季節は連日猛暑日の夏真っ盛り、両親はそろって出張で俺は夏休み、まさにパラダイス!と思いきや現実はそううまくいかないものだ。
こう暑いと何もする気がまったくといっていいほど起きない。
ベッドから起き上がって時計を見たときは、すでに時計の針がてっぺんを越えて傾き始めていた。
夏休みといえば怠惰な生活、怠惰な生活といえば夜更かし昼起き、そして起き抜けのアイスと俺の中では相場が決まっている。
俺は部屋を出て一直線に冷蔵庫へ向かう。
冷凍庫の扉に手をかけたとき、俺はある異変に気がついた。
「・・・!・・・!」
中から何か物音が聞こえ、時々冷凍庫のドアが内側から押されたように動いている。
「ま、まさか俺の家の冷蔵庫に異次元トンネルがッ!?地球はクリーチャーの侵略を受けてしまうのか!!?」
…なんて仰々しい独り言を叫びながら、俺は軽く冷凍庫のドアをひいた。
「し、しんりゃくだって!?あたいこわい!」
その瞬間、中から飛び出してきた青饅頭が俺の顔面に飛びつく。
「冷たいなおい!」
俺はそれを引っぺがして無造作に放り投げた。
しかしそれはくるくると回ってぴたりと空中で停止し、ふよふよと漂ったままきょろきょろとあたりを見回す。
学校で習った万有引力とは、一体なんだったのかと目を疑ってしまいたくなるような光景だ。
「ゆっ!ゆっ!しんりゃくしゃめ!かかってこい!」
少し透き通った羽のような何かをぶんぶんと振り回しながら意気込んでいるこいつは、ゆっくりちるの。
数日前、近所の神社のお祭りを散策していたとき、カキ氷屋の親父に店から叩き出されてべそかいていたところを、
俺が発見したのが出会いだった。
なんでもどこからかやってきて商売道具の氷に噛り付いていたらしい、それは怒られて当然だろう。
めそめそしているちるのに俺がカキ氷を買って餌付けしてやったところ、すっかり一方的に仲良し認定されてしまい、
今ではこいつの中で俺はマブダチのにーちゃんという位置づけだそうだ。
家に一人という若干の寂しさと、昔縁日ですくってどんどんデカくなった巨大金魚のキンちゃんが、
享年12歳で先日大往生したこともあり、俺はこいつを家にお持ち帰りすることにした。
冷凍庫に閉じ込めて可哀想だという意見もあるかもしれないが、俺以上に暑さに弱いちるのはそこのほうが快適らしい。
事実パソコン通信でゴーグル大先生にご教示いただいた知識である、本人も今のところは文句はないので、恐らく大丈夫ではないだろうか。
「にーちゃん!しんりゃくしゃどこ!?」
ゆっくりなんてどれも低脳ではあるが、このちるのは特におつむが残念らしく、
よく言えば無邪気、悪く言えば考えなしで、人のいうことを素直に言葉通り受け取る実によい子だ。
「嘘だよ馬鹿」
「あたいばかじゃないもんっ!」
流石に馬鹿という言葉の意味くらいは知っているらしく、馬鹿にするとすぐ怒る、そこがまた可愛い。
冷凍庫に手を突っ込んで、奥に入っていたソーダバーを二本取り出し、無造作にあける。
それの一本を咥え、空いた手でちるのを固定し、喚く口にアイスをぶち込んでやった。
「ふぶっ!もごっごごっ!つめたい!あまあまうまい!」
どうやら満足したようだ、この程度で堕ちるなんてチョロイもんよ。
そのまま俺はちるのを抱え、ソファーにドカリと腰を下ろして、
ティッシュを目の前のテーブルに一枚置いてからテレビをつける。
ニュースをつければいつものように暗い話題や誰かの不幸話、
バラエティはベテラン司会者の淡々とした進行とやたらがなるゲスト達、今日も平和だ。
ちるのは胡坐をかく俺の足の間で、せっせとアイスを舐めている。
器用なもので手もないのに、ちるのはアイスの棒を咥えたまま舐め、決して離さない。
顔面生物の匠の技と言ったところだろうか。
ちるのを拾ってきてよかったことは、なんといってもこの体温。
ゆっくりちるのの特徴で、普通の生き物と比べてずっと体温が低いのだ。
たとえるならぬるくならない水袋という感じで、抱えているとひんやり心地いい。
おかげで今のところ俺一人ならクーラーを使わないですむから、
我が家の電気代事情は実に助かっているに違いない、エコなやつだ。
「うまかった!」
声高らかに宣言し、口をすぼめてプッとアイスの棒を飛ばすちるの。
アイスの棒は敷いてあったティッシュの上に着地した。
「お下品!」
絶対やるだろうと思って事前にティッシュを敷いて置いて正解だった。
何度言っても三秒で忘れるちるのだが、躾は躾、むにむにと頬をこね回してやると、
ちるのは遊んでもらっていると勘違いしてきゃっきゃとはしゃぐ。
「ゆははっ!くすぐったい!」
「そうだねー楽しいねー、でもアイスの棒そのへんにぺってしちゃだめだっていつもいつも言ってるでしょおおおおお!!?」
「ゆぶぶぶぶっぶぶぶ!!」
両頬を交互に連続でペチペチと高速連打、流石のちるのちゃんもこれには参ったでしょう…と思った俺が馬鹿だったようだ。
手首がつかれたので停止すると、後ろにもたれてこちらを見上げてくる。
その輝く瞳には、もっとやってくれという色がありありと浮かんでいた。
「たのしい!」
「そいつぁよござんしたね」
「ああ暇だ」
呟いてみてもその数瞬の時間が潰れるだけ、逆に口に出すことで全身が現実を認識してしまう。
俺は暇、だけど俺の股の間に挟まっているちるのは、ほっぺたもちもちの刑ですっかりご満悦だ。
テレビもロクな番組をやっていない、ふと外を見るといつの間にか日が傾いていて、外はいい塩梅に涼しそうだった。
「散歩でも行きますか!」
「おさんぽ!?いくいく!」
思い立ったが吉日、すっくと立ち上がる。
ちるのはその勢いで宙に放り出されるが、ご自慢の浮遊力で空中で静止し、嬉しそうに微笑んだ。
その辺に脱ぎ散らかしてあった上着を羽織って、玄関に出てちょいとサンダルをつっかける。
ドアのまえにへばり付いて扉が開くのを今か今かと待っているちるのの背を見て、俺はあるいたずらを思いついた。
「ちょっとまってて」
「うん!」
威勢のいい返事を返すも、ちるのはこちらを振り向かない、すっかり気分は外の世界に飛んでいってしまっているようだ。
これ幸いとさっと部屋に戻り、俺は悪巧みを実行し、すぐに戻ってちるのの背中をポンとたたく。
「よしいこう!」
「いこー!」
玄関を開けると、ちるのは勢いよく飛び出し、すぐに手の届かない位置まで浮上していってしまった。
俺は用心して鍵をかけ、ちるのの背中を追いかける。
俺が散策を開始したのを確認すると、ちるのはくるくると旋回しながら、
丁度俺の顔と同じくらいの高さまで降りてきて、俺の少し前を進んだ。
「おそときもちいーね!」
「そうだな」
思ったとおり、昼間のうだるような暑さはなりをひそめ、心地よい風がゆるゆると頬をなでる。
これならちるのも暑さでへばることなく散歩することができるだろう。
特別目的はなかったので、俺たちはゆっくりと歩きながら、近所の公園に行ってみることにした。
呟いてみてもその数瞬の時間が潰れるだけ、逆に口に出すことで全身が現実を認識してしまう。
俺は暇、だけど俺の股の間に挟まっているちるのは、ほっぺたもちもちの刑ですっかりご満悦だ。
テレビもロクな番組をやっていない、ふと外を見るといつの間にか日が傾いていて、外はいい塩梅に涼しそうだった。
「散歩でも行きますか!」
「おさんぽ!?いくいく!」
思い立ったが吉日、すっくと立ち上がる。
ちるのはその勢いで宙に放り出されるが、ご自慢の浮遊力で空中で静止し、嬉しそうに微笑んだ。
その辺に脱ぎ散らかしてあった上着を羽織って、玄関に出てちょいとサンダルをつっかける。
ドアのまえにへばり付いて扉が開くのを今か今かと待っているちるのの背を見て、俺はあるいたずらを思いついた。
「ちょっとまってて」
「うん!」
威勢のいい返事を返すも、ちるのはこちらを振り向かない、すっかり気分は外の世界に飛んでいってしまっているようだ。
これ幸いとさっと部屋に戻り、俺は悪巧みを実行し、すぐに戻ってちるのの背中をポンとたたく。
「よしいこう!」
「いこー!」
玄関を開けると、ちるのは勢いよく飛び出し、すぐに手の届かない位置まで浮上していってしまった。
俺は用心して鍵をかけ、ちるのの背中を追いかける。
俺が散策を開始したのを確認すると、ちるのはくるくると旋回しながら、
丁度俺の顔と同じくらいの高さまで降りてきて、俺の少し前を進んだ。
「おそときもちいーね!」
「そうだな」
思ったとおり、昼間のうだるような暑さはなりをひそめ、心地よい風がゆるゆると頬をなでる。
これならちるのも暑さでへばることなく散歩することができるだろう。
特別目的はなかったので、俺たちはゆっくりと歩きながら、近所の公園に行ってみることにした。
コンクリートジャングルに囲まれた都会のオアシス、と言うのにはずいぶんとお粗末な公園。
猫の額ほどの狭い敷地に押し込められた、子供だましの遊具と砂場にベンチ。
緑化計画ですと銘打った木や芝生は、満足に手入れされず伸びっぱなしだ。
中途半端な時間のためか、利用する子供達やカップルなどは存在しなかった。
だけどこの公園はそれなりににぎわっている、それは何故か。
「ゆっ!ゆっ!ゆっ!」
「ゆっくり~」
木陰と見れば必ず居るといっても過言でないほど、居るわ居るわ野良ゆっくり。
そのほとんどは心無い人間に飼われ捨てられたゆっくりだ、中には二世三世のエリート野良も居るだろう。
その構成はほとんどが基本種、特にれいむやまりさが多い。
しかもこいつらの幼体はペットの他にペットショップで、
捕食種と呼ばれるゆっくり達の餌として十把一絡げで売られていたりもする。
人間から見捨てられ、野良と疎まれ追い立てられて、一時の安らぎを得るために物陰で身体を寄せ合うゆっくり達。
しかしこの野良達も、一箇所に長い間留まっていればお役所の人がやってきて捕らえられ、殺処分の憂き目に会ってしまうだろう。
まだちるののように希少種と呼ばれる珍しい個体ならば、見つけた誰かが通報してくれて保護されたり、
そのままペットに迎えられたりするかもしれないが、通常種の彼らにはまずそんなことは望めない。
この世に生まれ落ちたときからの決して覆すことのできない格差、悲しいかなこれが現実なのだ。
なんて俺がおセンチな気分になっていても、ちるのはまったくかまわずゆっくり達のところにすっとんでいった。
「あそぼ!あそぼ!」
適当なゆっくりにへばり付いて遊ぼう遊ぼうとせがんでいる、まったく無邪気なもんだ。
俺はベンチに腰を下ろして、その様子を観察することにした。
「ゆゆっ!?まりさはまりさなのぜ、ゆっくりしていってね!」
「ゆっくり!あたいちるの!」
「ゆゆ~ん、れいむもあそびたいよ、ゆっくりしていってね」
ちるののカリスマだろうか、それともここのゆっくりは皆能天気な性格なのか、初対面であろうちるのが声を上げると、
周りからぞろぞろと他のゆっくり達もやってきて、ちるのはすっかり囲まれてしまう。
輪の中心でくるくると回りながらはしゃぐちるの、友達を作るのが上手なやつだ。
さて、これだけ囲まれればそろそろだろうか、俺は気付かぬうちに頬が自然に上がってしまっていた。
すると俺の目論見どおり、ちるのの周りに居たゆっくり達の中から、くすくすと笑い声が聞こえてくる。
「ゆぷぷっ」
「ゆ?ぷっ!ゆふふふ!」
「ゆっへっへ、なんなのぜそれ」
「ゆゆ!?」
突然回りから笑い声が上がり、状況についていけないちるのが困惑した声を上げる。
「はじまったか・・・」
目論見が計画通りうまくいったことを確信した俺の顔は今、非常に悪い顔になっていることだろう。
そして小さな子ゆっくりが大きな口で笑いながら、ついに真実を口に出してしまった。
「ゆひゃひゃ!おばかさんなのぜ!」
「ゆぅっ!?」
自分の中の禁止ワードを口にされ、ちるのがその子を振り返る。
そして今度はその子に触発され、ちるのの背後にいたゆっくり達が、口々に笑いながら『ばかだばかだ』と声を上げた。
「ゆっ!?ゆゆっ!?」
すっかり狼狽しきったちるのは、その場をぐるぐる回る。
さすがに回り全員が言い始めたころには、自分が馬鹿にされていることに気付いたんだろう。
ちるのはまん丸の身体を怒りか悔しさかそれとも悲しさか、ぶるぶるとふるわせていた。
ここでネタばらし、実は俺が家を出るときにいったん戻ってとってきたのは、とあるメモ用紙だ。
そこにはこう書いてある。
『ちるのは おばかさん だよ』
そしてあの背中をポンと叩いた時に、テープで背後に張り付けてやったのだ。
我ながら幼稚な悪戯を思いついたと思ったが、これもいつまでも躾を身に着けないちるのへのオシオキだ。
などと正当化してみたりするが、結局は俺が楽しみたいだけだったりする。
怒りの矛先がこちらに向かないように必死に表情を崩さないようにこらえてはいるが、内心は腹が捩れそうだった。
結果として取り囲まれて笑いものにされてしまったちるの、空中で震え、飛ぶことを忘れたのかゆるゆると高度が下がっていく。
そして地面に接触した瞬間、それは起こった。
「ぷっくううぅぅぅぅぅぅうううう!!!!」
瞬間的にちるのの身体がぶわっと膨張する、大きさが実に1.5倍か2倍近くまで膨れ上がっていた。
「おおっ!?」
流石の俺もこれには驚き、身を乗り出してしまう、どうやら本気で頭にきた『ぷくぅ』のようだ。
ゆっくりは怒り心頭に達すると、頬を膨らませて相手を威嚇する、いわゆる『ぷくぅ』という行動を行う。
これによって身体を大きく見せ、自分を強く見せる効果があるそうなんだが、今のちるのはちょいと尋常じゃない。
まわりのゆっくり達も恐れおののき、ビビッてしーしーを漏らすものまで現れている。
そのままちるのは最初に笑った一匹の子ゆっくりのもとに転がるように近づいて、頬の空気を一気に解き放った。
「ばかっていったほうがばかなんだ!あたいばかじゃないもんっ!!!!」
声と同時に、ビュウ!と空気がその子ゆっくりに叩きつけられる。
「!!」
声を出す間もなく、なんと子ゆっくりは全身凍り付いていた。
生きているかどうかはわからないが、身動きできないまま後ろにコトリと倒れる。
「ゆわあああああ!ゆ、ゆるしてほしいのぜ!」
「おこらないでね!ゆっくりできないよ!」
「うるさいうるさいうるさああああいい!!」
すっかり怒髪天を衝いてしまっているちるのは、そのまま周りのゆっくり達に見境なくぷくぅプリザードをかましていく。
蜘蛛の子を散らすように逃げ惑うゆっくり達、だが空を飛べるちるのから逃げられるはずもなく、一匹また一匹と冷気の餌食になっていった。
「もうやだぁ!みんなきらいだぁ!」
小さな公園にたっぷりと災厄をまき散らした後、ちるのは涙をちょちょぎらせながらビュンと遠くへ飛んで行ってしまう。
「あ、背中に紙ついたままだよあいつ・・・」
猫の額ほどの狭い敷地に押し込められた、子供だましの遊具と砂場にベンチ。
緑化計画ですと銘打った木や芝生は、満足に手入れされず伸びっぱなしだ。
中途半端な時間のためか、利用する子供達やカップルなどは存在しなかった。
だけどこの公園はそれなりににぎわっている、それは何故か。
「ゆっ!ゆっ!ゆっ!」
「ゆっくり~」
木陰と見れば必ず居るといっても過言でないほど、居るわ居るわ野良ゆっくり。
そのほとんどは心無い人間に飼われ捨てられたゆっくりだ、中には二世三世のエリート野良も居るだろう。
その構成はほとんどが基本種、特にれいむやまりさが多い。
しかもこいつらの幼体はペットの他にペットショップで、
捕食種と呼ばれるゆっくり達の餌として十把一絡げで売られていたりもする。
人間から見捨てられ、野良と疎まれ追い立てられて、一時の安らぎを得るために物陰で身体を寄せ合うゆっくり達。
しかしこの野良達も、一箇所に長い間留まっていればお役所の人がやってきて捕らえられ、殺処分の憂き目に会ってしまうだろう。
まだちるののように希少種と呼ばれる珍しい個体ならば、見つけた誰かが通報してくれて保護されたり、
そのままペットに迎えられたりするかもしれないが、通常種の彼らにはまずそんなことは望めない。
この世に生まれ落ちたときからの決して覆すことのできない格差、悲しいかなこれが現実なのだ。
なんて俺がおセンチな気分になっていても、ちるのはまったくかまわずゆっくり達のところにすっとんでいった。
「あそぼ!あそぼ!」
適当なゆっくりにへばり付いて遊ぼう遊ぼうとせがんでいる、まったく無邪気なもんだ。
俺はベンチに腰を下ろして、その様子を観察することにした。
「ゆゆっ!?まりさはまりさなのぜ、ゆっくりしていってね!」
「ゆっくり!あたいちるの!」
「ゆゆ~ん、れいむもあそびたいよ、ゆっくりしていってね」
ちるののカリスマだろうか、それともここのゆっくりは皆能天気な性格なのか、初対面であろうちるのが声を上げると、
周りからぞろぞろと他のゆっくり達もやってきて、ちるのはすっかり囲まれてしまう。
輪の中心でくるくると回りながらはしゃぐちるの、友達を作るのが上手なやつだ。
さて、これだけ囲まれればそろそろだろうか、俺は気付かぬうちに頬が自然に上がってしまっていた。
すると俺の目論見どおり、ちるのの周りに居たゆっくり達の中から、くすくすと笑い声が聞こえてくる。
「ゆぷぷっ」
「ゆ?ぷっ!ゆふふふ!」
「ゆっへっへ、なんなのぜそれ」
「ゆゆ!?」
突然回りから笑い声が上がり、状況についていけないちるのが困惑した声を上げる。
「はじまったか・・・」
目論見が計画通りうまくいったことを確信した俺の顔は今、非常に悪い顔になっていることだろう。
そして小さな子ゆっくりが大きな口で笑いながら、ついに真実を口に出してしまった。
「ゆひゃひゃ!おばかさんなのぜ!」
「ゆぅっ!?」
自分の中の禁止ワードを口にされ、ちるのがその子を振り返る。
そして今度はその子に触発され、ちるのの背後にいたゆっくり達が、口々に笑いながら『ばかだばかだ』と声を上げた。
「ゆっ!?ゆゆっ!?」
すっかり狼狽しきったちるのは、その場をぐるぐる回る。
さすがに回り全員が言い始めたころには、自分が馬鹿にされていることに気付いたんだろう。
ちるのはまん丸の身体を怒りか悔しさかそれとも悲しさか、ぶるぶるとふるわせていた。
ここでネタばらし、実は俺が家を出るときにいったん戻ってとってきたのは、とあるメモ用紙だ。
そこにはこう書いてある。
『ちるのは おばかさん だよ』
そしてあの背中をポンと叩いた時に、テープで背後に張り付けてやったのだ。
我ながら幼稚な悪戯を思いついたと思ったが、これもいつまでも躾を身に着けないちるのへのオシオキだ。
などと正当化してみたりするが、結局は俺が楽しみたいだけだったりする。
怒りの矛先がこちらに向かないように必死に表情を崩さないようにこらえてはいるが、内心は腹が捩れそうだった。
結果として取り囲まれて笑いものにされてしまったちるの、空中で震え、飛ぶことを忘れたのかゆるゆると高度が下がっていく。
そして地面に接触した瞬間、それは起こった。
「ぷっくううぅぅぅぅぅぅうううう!!!!」
瞬間的にちるのの身体がぶわっと膨張する、大きさが実に1.5倍か2倍近くまで膨れ上がっていた。
「おおっ!?」
流石の俺もこれには驚き、身を乗り出してしまう、どうやら本気で頭にきた『ぷくぅ』のようだ。
ゆっくりは怒り心頭に達すると、頬を膨らませて相手を威嚇する、いわゆる『ぷくぅ』という行動を行う。
これによって身体を大きく見せ、自分を強く見せる効果があるそうなんだが、今のちるのはちょいと尋常じゃない。
まわりのゆっくり達も恐れおののき、ビビッてしーしーを漏らすものまで現れている。
そのままちるのは最初に笑った一匹の子ゆっくりのもとに転がるように近づいて、頬の空気を一気に解き放った。
「ばかっていったほうがばかなんだ!あたいばかじゃないもんっ!!!!」
声と同時に、ビュウ!と空気がその子ゆっくりに叩きつけられる。
「!!」
声を出す間もなく、なんと子ゆっくりは全身凍り付いていた。
生きているかどうかはわからないが、身動きできないまま後ろにコトリと倒れる。
「ゆわあああああ!ゆ、ゆるしてほしいのぜ!」
「おこらないでね!ゆっくりできないよ!」
「うるさいうるさいうるさああああいい!!」
すっかり怒髪天を衝いてしまっているちるのは、そのまま周りのゆっくり達に見境なくぷくぅプリザードをかましていく。
蜘蛛の子を散らすように逃げ惑うゆっくり達、だが空を飛べるちるのから逃げられるはずもなく、一匹また一匹と冷気の餌食になっていった。
「もうやだぁ!みんなきらいだぁ!」
小さな公園にたっぷりと災厄をまき散らした後、ちるのは涙をちょちょぎらせながらビュンと遠くへ飛んで行ってしまう。
「あ、背中に紙ついたままだよあいつ・・・」
一人取り残された俺は腰を上げ、帰り道のコンビニによって適当に安いアイスを買い込んだ。
ゆっくりと家に歩いていくと、途中で弱弱しく飛ぶちるのの後姿を発見する。
「よぉ、いきなり飛び出して行って、心配したぞ」
ぽんと背中を叩き、いまだに張ってあったメモをはがしてやる。
「うっぐ、ひぐっ・・・にーちゃ・・・」
大きなまん丸の目からは大粒の涙がぼろぼろとこぼれていて、ちょっと悪いことをしてしまったかとすこし反省した。
「まあなんだ、そういうときもあるさ、よしよし」
頭をなでてやると、甘えるようにすり寄ってくる。
「あたい、あたいばかじゃないもん・・・」
「そうだな、ちるのはいい子だもんなおーよしよし、そんなときはコレだ」
俺は片手にぶら下げていた買い物袋をあさって、大きなアイスバーを取り出し、さっと袋を開封する。
「はい、あーん」
俺の言葉につられてちるのが大きな口をあける、そこにすぽっとアイスバーを収めてやった。
「ん~!うまい!」
どうやらご満悦のようだ、さっきまでの泣き虫はどこへやら、一瞬で満面の笑みになる。
「現金な奴だなぁ、じゃ、かえろうか」
「うん!」
すっかり日も暮れた茜色の空の中、俺達は顔を並べてゆっくりと家への道を歩いていった。
ゆっくりと家に歩いていくと、途中で弱弱しく飛ぶちるのの後姿を発見する。
「よぉ、いきなり飛び出して行って、心配したぞ」
ぽんと背中を叩き、いまだに張ってあったメモをはがしてやる。
「うっぐ、ひぐっ・・・にーちゃ・・・」
大きなまん丸の目からは大粒の涙がぼろぼろとこぼれていて、ちょっと悪いことをしてしまったかとすこし反省した。
「まあなんだ、そういうときもあるさ、よしよし」
頭をなでてやると、甘えるようにすり寄ってくる。
「あたい、あたいばかじゃないもん・・・」
「そうだな、ちるのはいい子だもんなおーよしよし、そんなときはコレだ」
俺は片手にぶら下げていた買い物袋をあさって、大きなアイスバーを取り出し、さっと袋を開封する。
「はい、あーん」
俺の言葉につられてちるのが大きな口をあける、そこにすぽっとアイスバーを収めてやった。
「ん~!うまい!」
どうやらご満悦のようだ、さっきまでの泣き虫はどこへやら、一瞬で満面の笑みになる。
「現金な奴だなぁ、じゃ、かえろうか」
「うん!」
すっかり日も暮れた茜色の空の中、俺達は顔を並べてゆっくりと家への道を歩いていった。
次の日、俺は地域密着型お茶の間ワイドショーを見て、腰を抜かすことになる。
「な、なんじゃこら!」
テレビの報道の内容はこうだ。
昨日の夕方から、俺の家の近所の限定的な範囲で、大量のゆっくりの死体が発見された。
それも奇妙なことに、こんな真夏に全て凍死ということだった。
この怪現象を調査するためにと、突撃リポーターがまさに突撃していたりする、しかも映し出される風景はどれも見知った風景ばかりだ。
モニタに映し出されたゆっくり達は、一様に顔を強張らせたまま息絶えている、
画面上ではわかりにくいが、どこからかやってきたえらい教授がこれは凍死であるとの見解を述べていた。
「な、なんじゃこら!」
テレビの報道の内容はこうだ。
昨日の夕方から、俺の家の近所の限定的な範囲で、大量のゆっくりの死体が発見された。
それも奇妙なことに、こんな真夏に全て凍死ということだった。
この怪現象を調査するためにと、突撃リポーターがまさに突撃していたりする、しかも映し出される風景はどれも見知った風景ばかりだ。
モニタに映し出されたゆっくり達は、一様に顔を強張らせたまま息絶えている、
画面上ではわかりにくいが、どこからかやってきたえらい教授がこれは凍死であるとの見解を述べていた。
「俺のせいじゃない、俺のせいじゃないさ、ははは」
「ゆぅ?」
俺の乾いた笑いに、ちるのが首を傾げて俺を見上げる。
「なんでもないよ」
「そうか!」
頬をなでてやるとにこりと微笑んで再びテレビに視線をもどした。
俺はリモコンに手を伸ばし、ボタンを押して適当なチャンネルに変える。
ちるのは相変わらず、俺の胡坐の上で体を揺らしてゆっくりしていた。
「ゆぅ?」
俺の乾いた笑いに、ちるのが首を傾げて俺を見上げる。
「なんでもないよ」
「そうか!」
頬をなでてやるとにこりと微笑んで再びテレビに視線をもどした。
俺はリモコンに手を伸ばし、ボタンを押して適当なチャンネルに変える。
ちるのは相変わらず、俺の胡坐の上で体を揺らしてゆっくりしていた。
おしまい。
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ばや汁です、最後まで読んでいただきありがとうございます。
思いつき小ネタでした。
可愛いゆっくりのもちもちのほっぺたもっちもっちしたいもちもち。
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思いつき小ネタでした。
可愛いゆっくりのもちもちのほっぺたもっちもっちしたいもちもち。
ばや汁でした。

挿絵: