いんらん:めも01
いんらん:メモ01
【分類】
★★★
導入部分、異世界召喚のタイミングをどうするか。
案1:デパートが鍛冶に。
舞台は未来、火災とかの対策はかなり発展しているはず。
そもそもヒミコが現場に居合わせたら避難はそう難しくないはず。
でもデパート丸ごと転移はやってもいいかも。
★★★
★★★
案2:豪華客船P・トワイライト号のハロウィンパーティー。
主人公は参加者orアルバイター、要検討。
パーティーのイベントを考える必要がある。
トワイライト号は沖縄本島一周クルージング予定、10月30日午前11時に那覇湾港を出発
クルージング内容はもうちょい練ったほうがいいかな。
客船の航行速度、移動距離、乗船時間、寄港地等々。
★★★
★★★
トワイライト号が宙に浮かぶ。
召喚魔方陣が船底よりさらに下に出現。
乗客を慌てて避難させる。
客室の荷物は持たずに避難するように船長からの指示。
召喚魔方陣はトワイライト号ごと召喚しようとするがその場に居合わせたヒミコの力によって押さえられる。
乗客全て下ろしたが、主人公が船から下りられない。
★★★
★★★
船は即転移せず、まるで「何者かに抑えられている」かのように浮かんだまま止まっている
船員達はその間に乗客を「全て逃がす」。
部屋の荷物は置いといて構わない、後日できるかぎり返却する。
パニック状態になりながらも乗員乗客全員降りたとき、主人公が船から下りれない。
「ああ、対象になってたのはおぬしだったのか」
振り返るとそこには、金色の髪をたなびかせて歩み寄る、獣耳の幼女。
主人公はつぶやく「君の名は…」
「先に名乗ったとおりじゃろう。金もう白めん九びの狐、わらわは世界最強の神獣ひめこなるぞ」
「君は逃げないの」主人公が言うと、ひめこと名乗った少女は、腰に手を当てた。
「乗客を置いて真っ先に船員、しかも船長ともあろうものが逃げ出すわけにはいくまい。炎上も怖いしの」
胸をはって、さも当然というように言い放つその言葉に主人公は驚いた。
「君が船長?」
「いかにも!事前ヒントにあったじゃろ。船員は全員獣耳を付けていると。『トリックオアトリート』を船員から投げかけることはしないと」
★★★
★★★
ハロウィンパーティーの内容も妄想しよう。
しかしただの導入に文字をかける必要もないかもしれない。
要検討。
異世界転移へは客船ごと。
召喚された場所はカシミール公国の大広間、公主立ち会いの場。
ヒミコは召喚の際にしっぽにトワイライト号を『内包』する。
そうしなければ、突然その場に現れたトワイライト号によって建物どころか周囲が壊滅する。
★★★
★★★
転移直後、ヒミコは取り押さえられて牢屋に入れられる。
勇一目覚める、ヒミコがいないことに気づく。
勇一は目の前の公主達に尋ねる。自分のほかにもう1人女の子がいなかったかと。
公主が「獣人は悪しき者。故に拘束して牢に入れた」と言う。
勇一は「いきなり呼び出しておいて牢に入れるなんてどういうことだ!」と怒る。
公主は「勇者召喚で呼ばれたのはそなた1人だけで、あの獣人は余計なものだ。獣人の目的がわからない以上解放はできない」
怒りは収まらなかったが、怒鳴っていてもらちがあかないと判断した勇一は、まず公主側の言い分を聞くことにする。
話が終わったらあの子のところへ案内するようにと言う。
公主は話が終わった後に会わせることを了承し、公国からと称して『勇者の証』を渡す。
習得できる
アビリティは剣士と同じもので、通常の『
冒険者の証』をいじって設定を変えただけの模造品。
世界が魔王の脅威に晒されている、勇者として
モンスターを倒し、国を平和に導いてほしいという言い分。
なぜ自分がそんなことをしないといけないのか、身の危険を冒してまでこの国、この世界に尽くさなくてはならないのか。
まあそんな思いはあったものの、とりあえず「前向きに善処します」と言って冒険者活動を承諾。
支給品として鉄の剣と、公国自慢の服、支度金をいくらか受け取った。
「早速だが、今からある洞窟に向かってほしい」
「洞窟?」
「通称『ウサギの巣穴』と言って、ホーンラビットやニードルバニーが生息する洞窟だ。生息するモンスターはたいしたことないが数が多いので駆け出しの冒険者の練習場にもなっている」
「もちろんすぐに1人でというのは厳しいだろうから、ベテランの冒険者を護衛につけるつもりだ」
「その冒険者は信用できるんですか」
「その点はちゃんと実力のある冒険者を手配しよう、できれば信じてほしい」
「……わかった、出かける前にヒミコの無事を確認したい」
「ああわかった、牢へ案内させよう。戻る頃には出発できるよう手配をすませておく」
衛兵に先導されて地下牢に降りる。
支給されたカシミールのコートを着て、服の肌触りはいいなと思いつつ、ヒミコの捕らえられている牢へ降りる。
「もうよいのか、待ちかねたぞ」
牢の中でボロにくるまっていたヒミコが体を起こす。纏っていたはずの見事な着物はどこにもない、素肌にボロを纏っているのみ。
その無残なありさまに、勇一の頭がかっとなり、牢屋番を怒鳴りつける。
「これは一体どういうことだ」
「落ち着け。わらわは何もされておらん」
「なにもって、そんな格好で」
「何も、されておらん。よいから、落ち着け、な?」
勇一は怒りが収まらないながらも、ヒミコの子どもを諭すような静かな口調に、落ち着くよう努める。
「異世界召喚を行うなど、話した内容はおおよそ予想がつく。魔物を倒せと言われたじゃろう?」
勇一が肯定すると。ヒミコは困ったように眉をひそめて笑う。
「異世界人――まあこの場合だと地球人か――を何だと思ってるんじゃろうな。都合のよい人材じゃないというのに、血の通った普通の人間なんじゃがなぁ」
ヒミコの言葉に勇一はそのとおりだとうなずく。
「それで勇一、おぬしはどうする。モンスターと戦うのか?」
ヒミコに言われて勇一は悩む。正直何かと積極的に戦うなどこれまでの人生で経験がない。
「まあ、来てしまったからにはしかたあるまい。この世界でなんとか生活する手段を見つけねばなるまい。人もコネもないし、とりあえずは提示されたモンスター退治をこなすしかあるまいて」
そうするしかないのかな。
「そうでもない。世の中の人間が全部魔物退治で生業を立てているわけでもないから、町の中で探せば仕事はあるはずじゃ。なければつくってもよいじゃろうしな。魔物と戦うことができないなら無理に戦うことはないぞ」
と言ったところで、ヒミコがうーんと悩む仕草を見せた。
勇一がどうしたのときくと。
「いや、戦いを肯定するのも否定するのも、どちらが勇一にとって最適なのかがわからなくてな。いざ発言したもののはたしてよかったのか悪かったのか。
肯定も否定も両方可能、結局迷わせるだけの発言なら、最初からどちらかに片寄せるべきだったかなと思ってな」
率直なヒミコの感想に勇一はこの世界に来て初めて笑った。
ヒミコは人の利を考えつつ、今可能な選択肢を考慮しつつ、選ぶか選ばないかという選択肢を提示する。
そして、こうするとよいと、伝えることもできるのにそれをしなかった、むしろ言った後でほかに言うことはあったかなと振り返って悩んで考える。
この子は、ヒミコは極力公平であろうと努めているんだと勇一は理解する。
「わかったよ、自分で考えてみる」
「そうか。悩んだらまたいつでも来るとよい」
「えっ?」
「えっ?」
「出ないの?」
「出せないじゃろ?この国では獣人は迫害の対象だとのことだし」
「それでいいの?」
「好ましいとは言えんが、国の事情もあるし仕方なかろう」
勇一が牢屋番に声をかける。この子を出してほしい。しかし牢屋番は拒否する。
牢に入れるよう指示したのは公主であり、出すには公主の許可か命令が必要になる。
許可は取ってある、と声を荒げたところで、ヒミコが発言を挟む。
「落ち着け、恐らく許可は取れておらん。会話を思い出せ、恐らく『会わせる』とだけ話してないか?」
落ち着いて考える、確かにそうだ、いやしかしだからといって、と怒る勇一に、ヒミコは優しくなだめる。
「相手の発言を吟味し、どういう意図で発せられたかを常に考えるとよい」
「それって君のも?」
茶化して言ってみたが、ヒミコは堂々と「そうじゃ」と言い放った。
★★★
★★★
「っきしょい」
「寒い?」
「少々な」
勇一がカシミールの服をヒミコに渡す。
「よいのか?カシミールの服は物理防御性能に優れるのじゃが。これからモンスターと戦うのなら持っておいたほうがよいぞ?」
「そんな寒そうな格好の姫子を置いていけないよ。いいから着てよ」
「ふむ……わかった、では遠慮なく借りるとしよう」
勇一からカシミールの服の受け取ってくるまる。ボロは代わりに床に敷く。
「では代わりにと言ってもあれじゃが、わらわからよいものをやろう」
ヒミコが勇一のほほに手を伸ばし、額をくっつける。そしてヒミコの体からふんわりと立ち上る金色の帯。
驚く勇一をよそに、金色の帯は勇一の体へと瞬く間に移動して消えた。
「今のは?」
「わらわのしっぽじゃ。一本しかないから大事に使うのじゃぞ」
「使うってどうやって?」
「基本的には自動に反応して防御してくれるはずじゃ。だが所有者の任意で姿をぐにぐに変えることも可能じゃ。いろいろ使ってみるとよい」
「そんな力を持ってたんだ」
するとヒミコは鼻の穴を広げてふふんとわらった。
「まあな。わらわ自慢のきつねのしっぽじゃ。大事にするのじゃぞ」
★★★
★★★
ふわん、ふわん、ふよん。
「ホントだ、自由自在に動かせるね。形の変化は……慣れないと時間がかかるね。1度形変えたらしばらくそれのままで使うのがいいかな」
「それがよかろう。ところでこのあとどうするのじゃ?」
「どうするって?」
「冒険者活動をすることにしたのか?」
「ああ、うん。まあ。ウサギの巣穴っていう洞窟に行くことになった」
「ほう、ホーンラビットの狩りか」
「うん、その洞窟からホーンラビットとかニードルバニーが草原に出てくるから、駆け出し冒険者はまずそこからなんだって」
「まあ、ホーンラビットは角にさえ気をつければさほど困難な相手ではないし、よい判断じゃな。殺すのが無理なら角を折るだけでもよいし」
「そうなの?」
「うむ、ホーンラビットの角は削ればナイフになるからな。角だけ折って回収すればよい」
「へえ、そうなんだ」
「まあ角だけ折るというのも技量が必要じゃがな、倒してしまうほうが楽かもしれんが」
「意味ないじゃん! それじゃ行ってくるよ。またね」
「ああ、角のないウサギには気をつけるんじゃぞ」
「うん、わかった」
★★★
★★★
国から派遣された冒険者とウサギの巣でウサギ狩りは滞りなく進んでいる。
狩りをしながら、冒険者と会話をしてそれなりに打ち解けた。
初めてにしては上出来、という評価をもらって、早めに切り上げようという話になった。
次にでてきたウサギを狩って終わりにしよう、と話した後にぴょこんと出てきたウサギ。
一風変わったウサギ、垂れ耳で、角がない。
「見たことのない耳のウサギだな、しかも角がないし、希少種かな。ちょうどいいこいつを狩って終わりにしよう」
冒険者はそう言って、主人公に狩らせるためにウサギを追い立てようと回り込む。
しかし主人公は、彼のセリフのある部分が気になっていた。
なんだったか、なんだったか、極めて些細な事柄だったが、出発前に聞いた言葉だ。
冒険者はウサギに近づき、ウサギはひくひくと鼻を動かしていた。
「なんだこいつ、逃げようともしない、変なウサ――」
――角のないウサギには気をつけるんじゃぞ――
「――さん!気をつけて!」
「あん? ――っ!」
主人公の言葉に意識をやったその瞬間、ウサギが跳ねた、冒険者の頭部めがけて。
冒険者は反射的に剣でガードした。そして鳴り響くあり得ない音。
――ギイィィィイイン――。
洞窟内に反響する、金属と金属が激しくぶつかり合う音。
「――なんだこいつは」
攻撃を防ぐのと同時にウサギをはじき飛ばす。ウサギは宙をくるくると回りながらぽてっと着地。鼻をひくひくとしてこちらを見ている。
「おいお前、こいつのこと知ってるのか。剣を弾くウサギなんて聞いたことないぞ」
ウサギと接触した瞬間、この冒険者は剣でガードしつつ刃を立てていたのだ、普通のウサギならば切り裂かれてるはず。だがこのウサギはなんともないようだ。
「すみません!ぼくにもわかりません!ただ出発前に「角のないウサギに気をつけろ」って言われてたので」
「一体誰に……いやそんなこと今聞いても仕方ないか。やれやれ、最後にとんだものに出くわしたもんだ」
ウサギの巣穴。カシミール公国に最も近い
ダンジョンで、ホーンラビットやニードルラビットが生息する駆け出し冒険者が利用するダンジョンだ。
ウサギの毛皮は暖かいし、角はお手軽にナイフになる、肉は食用になる。
ダンジョンの推奨冒険者レベルは1~5だが、ベテランの冒険者も新調した武器や防具の調子を見るために足を運ぶことがある、それほど手軽なダンジョンだ。
目的はウサギそのものであるが故に、ダンジョン自体の奥の探索はされていないのが現状である。実際にこれまでに巣穴から上記したウサギ以外のモンスター以外は確認されていないのだから。
冒険者達は知らない。このウサギの巣穴の最下層が、大陸最大の迷宮である『龍の巣』につながっていることを。
冒険者達は知らない。龍の巣から時々ウサギの巣穴に小型のリザードが紛れ込むことを。
そして、リザードを獲物にしているウサギがいることを。
鋭い牙を持ち、耳を刃物に変えて大型の猛獣を屠り、その肉を喰らう、ロップイヤーの一見おとなしそうなウサギ。
★★★
ウサギが、地面を蹴って飛びかかってくる。
冒険者はそれを剣でもってはじき返す。まるで剣戟のような金属音。ウサギは空中で立て直し、着地してすぐ突進する。
「おいお前、こいつに何かしたのか!?」
ウサギの突進をさばきながら冒険者は主人公にそう尋ねた。
ウサギは最初の一撃以外冒険者を狙う様子が一切ないからだ。
ウサギは主人公を実直に狙い続け、冒険者はウサギと主人公の射線上に常に位置取り、最適な形で攻撃を捌いている。
「いや、僕にも何がなんだか。巣穴に入るのも初めてですし、このウサギを見るのも初めてです」
「だろうな。はっ!」
ひときわ力を入れてウサギを弾いた冒険者。ウサギは天井、壁を経由して衝撃を逃がし、地面に華麗に着地した。
この間にも、同行している他の冒険者(術士)がウサギに対して弱体化魔術をかけるが、効果のほどはうかがい知れない。
「術が効かないってなると『恩恵』持ちか。おそらく
ユロンの恩恵だな、剣を弾くのもそれが理由か」
ユロンというのはこの世界で言う金の神である。
六つ目の牡鹿と呼ばれ、あらゆる金属を自在に操れるとされる。
金の特徴は変化と安定、ウサギはその特徴に従い、耳を鋼のように変化させて攻撃し、安定の特徴から弱体化術に強い耐性を持っているということなのだ。
ただ単純に力量の差があるということもあるが。
正直分が悪い、と冒険者は思っていた。
このウサギ、小柄な上にすばしっこい、さらに弱体化も効かない上に硬いと来た。
今は何とか弾けているが、剣のほうが保たないだろう。すでにほころびが出始めていることが振るう感覚でわかっていた。
狙われているのは主人公だ。だが見捨てるわけにもいかない。
今回の依頼は主人公の護衛だ。しかも依頼主は公国そのものである。反故にしたらこの国にいられなくなる。
命あっての物種だが、誇りを捨てては人でいられない、ささやかだがこれは彼の矜恃である。
術士に指示を出す。次にウサギを弾いたら天井に術を放ち洞窟をふさぎ、全力で上へ逃げる。
術士は無言でうなずいた、天井を壊せるだけの魔術を構築し、合図を待つ。
★★★
★★★
剣士がバニーをはじき飛ばすのと同時に、術士が天井に術を放つ。
「走れ走れ!」
天井が一斉に崩れる。勇一は冒険者たちと一緒に全速力で上を目指す。
5分と経たずに崩落の音は止まった。洞窟に静寂が戻り、時々水滴が地面にぽちゃんと落ちる音のみがする。
洞窟の出口へと駆ける靴の音、その数はパーティーの数と同じ。しかしそのずっと後ろからタッタッタと走る音も聞こえてくる。
「失敗だ。クソ速いな、なんなんだあのウサギは!」
思わず悪態が口を突いて出る。剣で確かにウサギをはじき飛ばしたし、魔術は自分たちとウサギの間を
埋めるように天井を崩したはずだ。
しかしあろうことかこのウサギは、落ちてくる落盤の下を華麗にすり抜けたのだ。しかも自身に当たる岩だけ打ち壊して。
さすがに落ちてくる岩を足場にして抜けてくるのはできなかったようだ、しかし一歩間違えば圧死するおそれがあったにも関わらずこの行動を取るなど、たいした度胸だと言えるだろう。
「クソッ、お前達は先に逃げろ、俺が足止めする!」
「そんな!置いていくなんてできませんよ!」
「この中であのウサギに最も対抗できるのは俺だ。他に選択肢はない!」
そう剣士は言い切った。仲間の術士と法士が顔を見合わせて頷く。
そして2人はそれぞれ呪文を詠唱。仲間をサポートする補助呪文だ。
「そこの分かれ道を左に曲がってお前達はそのまま行け。何心配するな。俺はこんなところで死ぬつもりはないぜ。俺には夢があるんだ、それは――」
「ちょっと急にそんな自分語りするのやめてくださいよ!」
「つれないやつだな。まあいいや、続きは帰ってから、酒でも酌み交わしながら話すとしようか」
「だから……ああもう」
突っ込む間もなく、分かれ道を左に曲がり、剣士は曲がり角に張り付いて息を潜める。
勇一達3人は、足を止めずに外へ向かう。
小さないきものの足音がどんどん近づいてくる。
★★★
★★★
バニーを懐に入れて街を歩いてたら、人とぶつかる。
「気をつけ――[スパッ]ろ……えっ」
ぼてっ、と音を立てて落ちたもの、それは人の腕だった
「……っぎゃああああ、あたしの腕がああああ!」
突然の出来事に通りが騒然となる。
勇一も、人混みで人にぶつかったと思ったらその人の手が突然落ちたのだ。何がなんだかわからないという顔をしている。
そして勇一の服の中から顔をだすボーパルバニー。その顔は無表情ながら、どこかしら因果応報とでも言いたげだった。
★★★
★★★
召喚理由。
神聖ディアナス帝国の公認の歴代最強と目されていた勇者が消息不明になった。
それに合わせて勇者育成学校-魔法使い課-の少女が1人行方知れず。
大陸は魔王の脅威に晒されていて、公国も優秀な人材を勇者育成学校に預けているが、勇者の消息不明という大事件に公国としても対応策を練る。
しかし、才能ある人材は神聖ディアナス帝国に行っていて、国内の冒険者は無能ではないが平凡なものばかり。
しかたなしに異世界から召喚する手段をとった。
周辺国家にとって、異世界人とは基本的な四則演算能力をもち、語学力も堪能で頭が良いという認識。
手綱を引ければかなり優秀な人材であるため重宝する、という認識。
★★★
★★★
ヒミコはしっぽにトワイライト号を納めたまましばらく暮らすことになる。
海か大きな湖に近いうちに行きたい、等と主人公には伝えておく。
なぜかと主人公が問うと、ちょっとした野暮用じゃと言う。
そしてしばらくしてから監視つきで海に行く。
海の向こうに渡らせないための処置だが、ヒミコは気にせずしっぽからトワイライト号を取り出す。
監視がそのあまりの大きさに驚愕する。
主人公は、ここで初めてトワイライト号をヒミコが持っていることを知る。
「まさか持ってきてたの?」
「持ってきたわけではない。元々おぬしごと船が呼ばれたのじゃ。だが船をあの場に召喚させるわけにもいくまい。建物どころか周囲が壊滅してしまうわ」
勇一は、ヒミコの言い分に確かにと納得する。
ヒミコが軽く跳んでトワイライト号に入る。
現状把握のため、勇一も呼ぶ、自分の荷物置いたままじゃろ、とか言う。
監視が慌てて引き留める、勝手なことをするなと。
ヒミコが言う、だったらお主も突いてくればよかろう、といって無理矢理乗せる。
監視が、これはいったいなんだと言う。
ヒミコは答える、これはタダの船だ、人々はこれに乗って太陽や海風に触れることを楽しむ。
監視は驚愕する、これが船だと?公国の城より遙かに大きいものが水に浮き、あまつさえ楽しむためだけに移動が可能だと?
「地球ではそう珍しいことではないぞ」と言いつつ、ヒミコは船内に入ろうとする。
監視がまた制止しようとする、勝手に動き回るなと。
ヒミコはあからさまに嘆息する。「この船を動かしたりはせんよ。船室の状況を確認するだけじゃ。お主も適当に見てまわっとれ」
ここで一旦ヒミコと主人公は分かれ、主人公は監視の人と船内を歩くことにする。
パーティールームに入ると、パーティーに出されたお菓子や料理がほとんど手つかずの状態で残っていた。
しかもまだ温かい。しっぽに納めている間は時間が経過しないためであった。
監視がつまみ食いをする、むちゃくちゃ美味い。
★★★
★★★
公国にとって勇者とは、異世界人とは、自分たちの世界には存在しない人間で、特殊な才能を秘めた存在である。
貴族ではないので使い捨てが容易。
適当に鍛えてパルミア王国への鉄砲玉として使おうという算段。
冒険者活動を適当にしてもらえれば、公国の利益にもなるので基本的にはあまり干渉しない。
公国内の動向を常に把握できるようにしておき、いざというときに言うことを聞かせようとする。
★★★
★★★
勇一とヒミコのちょっとした雑談
「そういえばヒミコは振り袖って着ないの」
「振り袖は持ってないな」
「そっかー」
「だってアレは未婚の娘が着るものじゃろ?」
「へー、そうだったんだ。え、未婚?」
「うむ」
「ヒミコは」
「着ないから持っとらんよ」
「ちょっとまって、頭が混乱している。えっと、振り袖は」
「持ってない」
「未婚の娘が着るものだから」
「うむ」
「ヒミコが持ってないってことは、えっと、あれどういうことだ」
「……ああ、わらわは経産婦じゃぞ」
「けい・さん・ふ?ってどういうこと?」
「……ふむ。わらわは子どもを生んだことがあるぞ」
「……ごめん、もう一回言って。子どもが、なんて?」
「子どもを」
「うん」
「わらわは」
「うん、ヒミコは」
「生んだことがある」
「生んだ……マジで?」
「うむ。マジじゃ」
「え、ホントに?」
「ホントじゃ、なぜそんな信じられないものを見るような顔をしておる。わらわがこれまでお前にウソを吐いたことがあるか?」
「……ないね」
「そうじゃろ?」
「じゃあマジなのか」
「マジじゃ」
「人妻ってこと?」
「そういうわけでもない。生んだと言っても相当昔の話じゃ」
「どれくらい?」
「正確な時代は覚えとらんが、A.D.以前であることは確かじゃな」
「……まって」
「なんじゃ」
「やっぱりウ」
「わらわはウソは好かん」
「……マジかー」
「マジじゃ。なぜそんなにうなだれとるんじゃ、大昔の話じゃぞ」
★★★
★★★
奴隷購入、モンスター大量発生、要人とどたばた、荒くれ者と一悶着、盗賊退治
災厄級モンスターとの遭遇、隣国の魔王、龍の巣、
魔法少女との邂逅
箱士ヒミコ、トワイライト号を内包しているときの空間範囲、1辺12608メートルの
立方体。
しk
最終更新:2017年08月16日 15:19