「ねえ、幸せな世界が一番良いと思わない?」
■ルヘイル・リッテンベック
1630年ごろ、フランスの片田舎の農村に存在した少女。
悪魔が住むと村人に恐れられている、林の中の屋敷に住んでいる。
様々な魔物が屋敷の周囲を取り囲み、近づく者には容赦なく攻撃を仕掛ける。
屋敷に住む
この屋敷は元々、ルヘイルの父である成り上がりの地方領主リッテンベック卿のものであった。
しかし、ルヘイルを身籠ってすぐ家庭の不和が続いたことを恐れ、身重の妻を置き去りにしてパリに拠点を移した。
屋敷にはシテゴ=リョケスというメイドが一人いるが、基本的な毎日の家事とルヘイルから指示されたこと以外はしない。
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悪魔の家の屋根裏へ行きますか? |
■ルヘイル・フィロ・ソフィリアス
リッテンベック卿が活躍した時代は、1500年代のことである。
すなわち、ルヘイル・リッテンベックが1630年代に幼い姿で生きているはずがないのだ。
ルヘイルは実際のところ、この世に産まれる前に流産で死んでいる。
1630年に現れた悪魔の少女ルヘイルとは、死産の悲しみに塗れた母親たちがその矛先として作り上げた共同幻想である。
これはリッテンベック家の古い噂を、現在のものと勘違いした一人の母親が語り始めたのがきっかけで急速に広まった。
ルヘイルは類まれなる創造性の才能を有しており、彼女自身が母親たちの幻想の中で"物語"の存在となったことで、その道を逆にたどる形で幻想を現実として創り上げることができるようになった。
しかし、彼女は母親の身体、さらに屋敷という閉じた世界しか知らなかったため、彼女の描く物語はつじつまを無視した幸せな願望を詰め込んだものに過ぎなかった。
本で読んだ物語を幸せな物語に書き換えるなどしていたが、そのストーリーの完成度は低く無理矢理なものである。
それでも彼女は、物語に一つの願いを託さずにはいられなかった。
――「廻り来る命の幸せな結末」――
人が、自身の幸せを望んで何が悪いのか。
あなたもそう思わない?
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最終更新:2018年09月03日 02:29