ディードー

【元ネタ】叙事詩『アイネイアス』ギリシア神話・ローマ神話
【CLASS】アヴェンジャー
【マスター】
【真名】ディードー
【性別】女性
【身長・体重】161cm・45kg
【属性】中立・悪
【ステータス】筋力E 耐久E 敏捷D 魔力B 幸運E 宝具C++
【クラス別スキル】
単独行動:D
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクDならば、マスターを失っても半日間は現界可能。

【固有スキル】
カリスマ:E
 軍団を指揮する天性の才能。統率力こそ上がるものの、兵の士気は極度に減少する。
 アヴェンジャーとして召喚されたため大幅にランクが減少している。

予知:E
 ……儚き人間は残酷な運命の前で唯立ちつくすのみ。
 魔術系統の一種。Eランクでは将来の重要事項を稀に夢で見る程度である。
 ディードーは生前自身の死を知ることが出来たが、その運命を受け入れ変えることはしなかった。

呪詛:C
 ディードーの呪い。
 炎から立ち上がる煙に乗って呪詛が感染拡大し、解除されるまで広まり続ける。
 また呪詛なので同ランク以上の対抗手段でなければ無効化できない。
 被対象者はDランク相当の精神汚染と蛮勇スキルを一時的に獲得する。

【宝具】
『愛情赦さず連繋も、決してあらしむことなかれ(ウィークシー・エト・クエム・デーデラット・クルスム・フォルトゥーナ・ペレギー)』
ランク:C++ 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人
 狂おしい恋の火に焼かれたディードーが、恋の火を怒りの火、憎しみの火、復讐の火へと変化させ、
 最後には積み上げた薪の上で自害した時に燃え盛った狂気の火、癒されぬ彼女の心の傷が呪いとなったもの。
 ディードーの死亡と同時に全身が燃え盛り、炎は範囲一帯を一息で覆う。
 この呪詛を孕んだ獄炎に焼かれ死んだ対象は、目につく全てを破壊する亡者と化してしまう。
 なお、この延々と燃え拡げる炎と亡者たちはディードーを殺害した対象が死亡することで自動的に解除される。
 自分の灰から復讐者が現れてこのような裏切りを罰するようにと祈る、彼女の悲憎の具現化である。

【Weapon】
『アイネイアスの剣』
 2番目の夫、アイネイアスが所持していた剣。
 彼に捨てられた後、これを用いて彼女は命を絶った。

【解説】
 カルタゴを建国したと伝えられている伝説上の女王。
 フェニキアの都市国家テュロスの国王の娘で幼名はエリッサといった。
 兄に命を狙われたため、国や財産など全てを捨てて心ある家臣たちとともに航海に出る。
 途中キプロス島で豊饒の女神アスタルテーに仕える神官と神殿に献上される予定であった乙女達を受け入れながら旅を続け、
 現在の北アフリカ・チュニジアの地に辿り着く。
 そこで彼女はこの地の王であるイアルバースに土地の分与を申し入れた。
 イアルバースは1頭の牝牛の皮が覆えるだけの土地であれば分与しても良いと応えた。
 そこで彼女は牝牛1頭分の皮を細かく引き裂いて土地を取り囲み、砦を築くだけの土地を得た。
 この地が後のカルタゴとなったという。
 後にイアルバースに求婚され、亡き夫の死の際に決して再婚しないと誓っていた彼女は
 これを拒んで火葬の炎の中に飛び込んで自らの命を絶ったという。

 なお、古代ローマの詩人ウェルギリウス作の叙事詩『アイネイアス』には、これとは違う物語が書かれている。
 こちらでは、神の呪いによってアイネイアスへの偽りの愛を与えられ、
 そして身も心も尽くした男に捨てられ自害してしまうという悲しい結末を迎えてしまう。
 後世において、こちらの側面を強くイメージつけられた彼女はアヴェンジャーとしての適正を後天的に獲得してしまった。


【元ネタ】ギリシャ・ローマ神話
【CLASS】アヴェンジャー
【マスター】
【真名】ディードー
【性別】女性
【身長・体重】161cm・45kg
【属性】中立・悪
【ステータス】筋力E 耐久D 敏捷B 魔力C+ 幸運E 宝具B
【クラス別スキル】
復讐者:B+
 復讐者として、人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。
 周囲からの敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情はただちにアヴェンジャーの力へと変わる。
 悲劇の女として数多の同情を向けられるディードーだが、
 しかし今の彼女は、ローマを呪い、ローマに呪われるカルタゴの女王でしかない。

忘却補正:A
 時がどれほど流れようとも、彼女の憎悪は決して晴れない。

自己回復(魔力):A+
 復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。魔力を微量ながら毎ターン回復する。
 女神の起源のためか、回復量は非常に多い。(その割に神性は喪失しているが)

【固有スキル】
高速神言:B
 呪文・魔術回路との接続をせずとも魔術を発動させられる。
 大魔術であろうとも一工程(シングルアクション)で起動させられる。
 ディードーはヘスペリデスの園で果樹園と竜を管理する巫女から手ほどきを受けたとされ、
 神代の魔術に十二分に習熟している。

カリスマ:E
 軍団を指揮する天性の才能。
 現在の状態にある彼女を目にしても、兵たちの士気が高揚するとは限らない。

魔力放出(炎):B++
 自決の前に執り行った大儀式の成果であろうか、総身から黒い炎を立ち上らせている。
 情念が深まるごとに炎は強くなり、魔力を元にして燃え盛る。
 薪である魔力は底知らずだが、強まりすぎると我が身をも焼く。もっとも、今の彼女はそんなことを気にすまいが。

黄金率:A
 伝説によれば世界一富める都市であるという商業国家カルタゴの生み親として得たスキル。
 生前は苦労人であった彼女だが、サーヴァントとしてのディードーが金に困ることはその名が許さない。

【宝具】
『来たれかし復讐鬼(Exoriare aliquis nostris ex ossibus ultor)』
ランク:B++ 種別:対軍宝具 レンジ:2~50 最大捕捉:600人
 女神タニト――ローマを憎むユーノーであり、アエネアスを恨むディードーである彼女が祝う復讐、
 つまりはハンニバルによる進撃をかたどった宝具。
 巨象や軍団兵を黒炎で形作り、相手にぶつける国家蹂躙。
 一連の攻撃にはいうまでもなく対ローマの加護が与えられ、ローマに属するものに対する攻撃性能に補正がかかる。

【Weapon】
『アイネイアスの剣』

【解説】
 カルタゴの建国者。
 別名としてエリッサ(エリサ)の名でも知られる。
 元々はフェニキアの都市国家テュルスの女王であったが、共同統治者の兄に夫を暗殺されたために国を捨て、
 旅の果てに北アフリカに新しい町(カルト・ハダシュト)――カルタゴを築いたとされる。

 とはいえフェニキア語の記録はほぼ抹消されているため彼女もギリシャ・ローマの記録でしか知られていないのだが。
 ビュルサが牛の皮を意味したのはギリシャ語での話なので、その物語も純粋なフェニキア神話ではないのだろう。

 カルタゴで女神として崇拝されていたという歴史家の記述や
 ヘラクレス(メルカルト)の大祭司かつ叔父であったシュカイオス(またはアケルバス)を夫とした逸話から、
 本来は女神だったとも推測されるが、ノラ碑文の解釈が正しければ、彼女の兄に当たるはずのテュロス王ピグマリオンは実在した。
 フラウィウス・ヨセフスが引用するエフェソスのメナンドロスの記述によれば、ディードーがテュロスを出たのは
 ピュグマリオンの治世七年目のことという。彼女の実在を示す決定的な証拠はないが、彼女の周辺人物の実在可能性は高く、
 ディードー伝説もある程度は歴史的事実を反映していると思われる。

 ポンペイウス・トログスによればカルタゴが建国されたのはローマ建国の72年前。
 リヴィウスによればカルタゴは滅亡時(紀元前145年時点で)700歳。
 タウロメニウムのティマイオスによる(最も古く、最も信用されている)カルタゴの建国年は紀元前814年。
 トロイア劫略の50年前にカルタゴ植民が為されたというアッピアノスのようにディードーの建国に懐疑的なものもいた。

 おおむね紀元前9世紀の人物とされてきたディードーとトロイア戦争(紀元前12世紀頃?)の英雄との
 ラブロマンスを描いたウェルギリウスはなかなかに時代錯誤しているが、
 もっともよく知られている彼女はこちらである。

 “アエネイス”作中のディードーは前歴をそのままにアエネアス(アイネイアス)と恋に落ち、
 裏切られて自死する役どころで、アエネアスを恨みハンニバルの登場を予感させる憎悪のセリフを吐くなど、
 詩人は彼女がローマから見たカルタゴをより象徴するように物語を大幅に改作している。

 伝統的な伝記によれば、彼女は現地の王イアルバスに求婚されて亡き夫への貞淑を守るために自殺した。
 どちらにしても火と剣による自害というのは同じだが、経緯が全く異なる。

 亡夫の財宝やキプロスの乙女や船や牛の皮革などを切り落とし
 ローマ神話中の復讐鬼(カルタゴの象徴)としての属性に純化したディードー。中堅程度の強さ。
 解釈次第では“復讐の女神”にもなり得たという(宝具は既にそれだが)。「わが骨より復讐者よ立て」ってかっこよすぎ。
最終更新:2020年03月22日 20:42