話ごとの最後の数字は行数。
第零話 優巫とラーメン
あの夜、全てが始まった。その時、暗闇に存在する屋台の常連の巫女、優巫の話。温もりあるラーメンを啜りながら料理長との会話を楽しむ。
ラーメンに隠されし秘密の味とは・・・
あーおなかすいたなー。ふたりともねたし、そろそろあのおいしいらーめんやいこうかなー
薩輩神社で巫女をしている少女、優巫。所詮幼女。夜行性であり、和食好きであるが、ラーメンは何よりも好きだ。
「其の前に御寿司でもたべよー!」
台所へ向かい、周辺を調べても何処にもなかった。寝室へ行くと、中トロの食べかけがあった。多分これは陽巫がウットリしすぎて食べきる前に睡魔に負けたのかも。
「ごめんねー。ぼっしゅーするよー。」
小声でそう呟き、正面にある賽銭箱に乗っかってそれを食べた。
「ん、おいひぃ!」
そうしてまだ口内に残ったまま神社を後にするのであった。
徒歩5分辺りにあるILF本社敷地内の大公園の中央広場にその屋台はある。風が強いけど誰も見てないでしょ。膝辺りまでしかない袴を気にせず走った。
「あ、いらっしゃい!いつもありがとうね。」
「おうのー!いうものぅえおえぁい!」
「(あら、何か口に入ってるわ?)」
1分待つとすぐ出てきた。その時間で中トロを喉に流した。
「30℃を目標に作ったけど、どうかな?」
「ぁ!」
「(熱がる姿、可愛いな。5℃だけ盛ったけどそこまで熱かったかしら?)」
「りょーりひょうのっ、うおふきっ・・・、あひぃ・・・。」
「きゃははははは!ちょっと面白いと思ったのよ。今日一番の大笑いさ!」
「あふいぁ・・・といっえもいっふんあえぁらもぅひうけあわったぉ?」
「あらそう?」
既に日付は変わっている。いつだってわらぁはちゃっかりだ。
「あっ、そうだ。次の夜は超冷凍ラーメンにする?白夜様が天然馬鹿に食べさせたいとのことよ。」
「(むきっ)たまにはたべてみたいねー。」
「(案外簡単に認めたというかこれは・・・)」
再びラーメンを啜り続ける。
「今夜もよろしくね、りょーりちょーさん♪」
「あっ、そろそろ時間だわ。もう冷めちゃってるんじゃない?大食堂に食べに行かない?」
「いきたーい!」
わらぁはちょっと熱さの残るラーメンのどんぶりを持って屋台のおねーちゃんであるりょーりちょーと共に本社まで歩いた。そして1分足らずで入り口に付いた。
「屋台をしまって来るから先行っててほしいな。」
大食堂へ向かうことになった。
「疲れたああああああああああっ!」
遠くからこんな声が聞こえた。夜中になんだろう?明らかにあの社長だけど。耳を澄ますと小さな声が聞こえる。大食堂へ到着した。近くにあった机にラーメンを置き、力強く椅子へ坐った。
あの声が更に近づく。もしや大食堂へ来ているのかな?
「超冷凍うどんたべたいな~。」
「冬が近づいているのに・・・。」
やっぱりいつも見る二人だった。
「優巫じゃん!珍しいね。」
「ところで何故ここにきたのかな?」
「社長さん腹空かせて・・・晩飯もちょっと少なかったのじゃないですか?」
「いつもの量で満足がいかなかったって感じかな?料理長はどこ?」
「いっとそぉろおろもぉっえくうよー。」
そうしてわらぁは冷えかけのラーメンを完食した。
「ごちそーさま! ・・・ねむい」
「まさかとは思うけど寝ないでね?私ここの主として困っちゃうよ?」
気付くとりょーりちょーが向かい側に座っていた。わらぁはもう限界。もう寝たいけどここで寝たら怒られちゃう・・・
「・・・ス・・・だいす・・・っぱ・・・いね。」
まさかわらぁ、寝ちゃった!?というか何処からか声が聞こえるし、運ばれた場所は・・・社長室?ってこれ猫の寝床じゃないか!
「いやだ・・・あな・・・のあ・・・しょ?」
あのベッドからだ。ここからは数mある。聞き取るべく何一つ物音を立てずに近づいてみた。
「恥ずかしい・・・というか明日起きれませんよ?」
「起こしてー?いいでしょー。」
「もう・・・社長さんったら・・・」
「でかい、でかい。すごく・・・ボール。」
二人して禁断の関係しちゃって・・・わらぁに聞かれていたとなると焦る場面が思い浮かぶ。今度こそ睡魔に襲われ、ベッドに背中をよしかけて寝てしまった。あの二人はいつまであんなことをしているんだろう。
「優巫がいないな・・・他を見回ってもいなし、寝室にには二人。もしや・・・」
一方薩輩神社の神主、直樹はこんな夜遅くまで色々仕事に没頭していたが、三姉妹が気になり、寝室を覗き、そう言った。
「寝顔可愛いな。よみちゃんは寝ながら食べるというだらしなさ丸出しだ。」
自分にはこの三姉妹の名前をむみちゃん、ゆみちゃん、よみちゃんと呼ぶ癖がある。そう言うなり、中トロが乗っかっていた皿を洗いに向かった。最終的に食べたのがゆみちゃんとは知らずに。
「しかし何処いってしまったんだ?普段ならでかい枕で気持ちよさそうに寝ているというのに。」
自分は心配症だとよく言われるがまさにその通りだ。でも家族だからな。三人と社員の笑顔を守り抜いて見せねばならない。説明が遅れたが、自分は神主であり、間違いなく男性だ。女性のみが入社出来る理想郷に自分が入社している。これはある条件によって入社が出来るのであるが、三姉妹のお陰で入社できたようなものだ。そして、可愛い社員と触れ合い、その子達の笑顔を絶やさない努力をしている。自分はこの笑顔無しには生きていけないほどになってしまったのだ。
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第一話 狩りの始まり
翌日、近辺の害を殲滅する戦いが始まった。害は排除せねばならない。この戦場は既に、防術機一機一機にGAIDA殲滅の義務が課せられていた。
真実の正義とは何か。
「ああ・・・エルゥが・・・ふいとえられないよ・・・」
夢に落ちた優巫は
エルフに侵攻される夢を見ていた。
「優巫!起きて!」
遠くから聞こえてくるイリスの声かな・・・。
「ほら!出撃するよ!」
「えーもうしゅつへきしてるじゃないの・・・。」
「寝ぼけてないでさっさと行くよ。」
そう言われてわらぁはお姫様だっこされて第二機体保管庫まで運ばれた。
「きょーの任務はなに?」
「やれやれだわ。運んでいる間に話していたでしょ・・・。遠征して
エルフの殲滅をするのよ。あーそうそう、あなた一人で。」
「え!一人!?それだけは!」
「仕方ないでしょ。あなた巫女よね?別にいいじゃないの。」
「なにそれりゆーになってないんだけど!」
「抵抗はダメ。」
「やだ!やだ!一人でしょ!?ぜったいいきたくないのー!」
「帰ったらちゃんとご褒美あげるから行きなさい。」
「いやああだあああああああああああああっ!」
わらぁは絶望でしかなかった。目を擦り、コックピットへ乗り込む。
「はぁ・・・眠い。」
視界がぼやけながらも、機体を起動させた。
『K-17、起動。浮上します。』
「『浮上します。』は聞きなれたよ・・・もう言わないで・・・」
「ほら、説明するわよ。」
司令官のニプラスによる説明が始まる。
「まずはここから南下したところで何かしらの反応があるから、状況を見ること。そこまで機体一つで移動して―――」
気付くと寝ていた。
「物音一つないな、おい、起きてるか?」
「ふあ"ッ!!!寝てないぞ!寝てないぞ!」
「仕方ない、もう一度だ。あーめんどくさい。」
そうしてだらだら話す内容をひたすら聞いていった。
「わ・・・わかったよ・・・」
「ほら、出撃よ!」
「とてもつらいのだ・・・」
そうして優巫は操縦バーを前へ押し倒し、前進させる。この地域のした辺りへ向かうべく、理想郷をK-17と共に出る。
只管動かすこと数時間後、やっとその目的の地域へ到着した。
「よてーより時間かかった・・・あああああああああああああもうつかれたああああああああああ!かえりたいよー!」
「あーあー、こちらニプラー、聞こえるか。」
「ついたけど何すればいいの?」
「まずは周辺の安全を確認して。」
「ゆうみーはあくー」
周辺を移動し、物陰がないかを隈なく見ていく。
「一切問題ないよ~なんかちょっと面白そうなもの見つけたんだけどさ。これ持ち帰りたいな。」
「任務を遂行してからな。それまで我慢よ。」
「はーい・・・でも何か嫌な気配がする・・・?」
「・・・ん?気のせいではなさそうだな。優巫、レーダーを見てくれ。」
「えっ・・・」
謎の反応が接近してくる。到着まで80秒といったところか。
「通信障害は一切なさそうだな。優巫、その辺に機体を隠すんだ。」
「相手も捜索目的だったらどうしよう・・・」
「大丈夫。気にしないで。」
60秒後。
「謎の反応が接近。確り隠れるのよ。」
「本当に大丈夫?」
「反応が近辺へ到着。」
「あーこわい・・・」
「そちらへ接近しているわ。機体を着地させて!」
すぐさま機体を地面に着地させた。
「・・・ばれた。」
その機体たちは警戒するように接近してきている。銃身を向けてだ。
「聞いて。今見えている3機がここにいる全ての機体よ。指示をしたら、これらを飛び越えて逃げて。無理なら応戦ね。」
「いけ・・・!」
優巫はすぐさま反応し、K-17を急浮上させ、空中で前進させる。下から複数の視線が感じ取れた。莫大な風力で、その機体たちはよろめいただろうか。
「はやい・・・もう撃ってきてるよ・・・ニプラスー、応戦するよ。・・・ニプラス?」
「突然通信妨―――分の判断で――動――て。」
「しょうがない。もう使おう。」
そうしてロックオン式ワンショット高速移動スラスターを起動し、より速く逃げようとするが、横へ降り注ぐ銃撃の雨を避ける事はできず。
「ふん!わらぁの凄まじき戦いっぷりを目に焼き付けるのだ!」
優巫は逃げることをやめ、正面衝突による勝負に挑む。
「覚悟!」
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第二話 一石三鳥
では、戦闘とは何か。何のためにあり、何のために行うのか。それでは戦ってみよう。戦闘に手段は問われない。多少の犠牲はあっても仕方ないのだ。
「かなり痛いな・・・というか一人だった!どうしよう・・・」
優巫はそろそろ危機感を感じ始める。それはもちろん一対三なのだから。
「ああああああああああああああああああああああ!この窮地を打開するのだ!」
『K-17、中破。』
「ぅおおおおおおおおおおおお!」
その時だった。K-17の下半身に一つの弾丸が命中、中のプロペラに至ったのだ。
「あっ・・・おおおおおおおおおおおおおおおお! ・・・ぁ"ん! どうしよう・・・」
『プロペラ破損、浮上続行不可能。』
そのプロペラが破損し、使い物にならなくなったのだ。結果、機体が浮上不可となった。移動もできない。
数時間前。優巫が嫌がってK-17に乗り込み、出発した光景を遠くから見ていたイリスと白夜。
「優巫が心配です。私、ついていっていいですか?」
「そうだね・・・行きたいの?」
「社長さん・・・留守してもらえます?」
「構わないよ。生きて帰ってくるなら。」
と、近くから走ってきたのは・・・狐井だった。狐井 アリア。製作課課長である。
「全部聞き取らせてもらったからね。乗るならTC-28に乗っていきなよ。」
「あれ、あの子完成したの?」
「丁度テストも終わったんだよね。試験的に乗って欲しいな。」
「うわ、ちょっと心配だね。」
「そうですね・・・」
「ほら!つべこべ言わずに乗って!ゆっちゃん心配なんでしょ!」
「あ!そうですね!」
というわけで私はTC-28に乗り込む。これはAthana・Sである。
「やれやれ、仕方ないですね。狐ちゃんは・・・」
「誰が狐だ!さっさと追いかけろ!」
「はぁ~い。」
「気をつけてねー!」
そうして、追いつけるかどうか分からない優巫のK-17を追いかけ始める。
そして現在に至る。
「なんだこれ・・・思った以上に遠い!」
長い移動の末、目標地点に優巫は到着したらしい。
「失礼~ 調子どう?」
突然白夜からだ。
「あぁ・・・とても疲れたわ。」
「とりあえずさ、遠くから見守ろうか。近くに隠れてさ。」
「わかった。」
疲れながらもなんとか機体を移動させ、機体を接地させる。
『TC-28、降下。』
「んーーーーーーーーぅん・・・!大変だったなー・・・」
「あ、ちょっと見て。」
「所属不明機3機が・・・優巫に接近している?」
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最終更新:2018年04月28日 02:55