戦国BASARA/エロパロ保管庫

上田城の虜3

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伊達は、もう滅んだのだろう。あの領地は武田のものになったのだろう。
聞かずとも解っている。だから聞かない。
ならば食事を取る理由などない。飢えで、たかが欲望で独眼竜を屈せると思うな拷問吏。
「あらら気に入らない?結構いい座敷牢だし、よーく寝てたし、結構回復したんじゃなーい?
怪我も手当てしたしね、しばらくすれば傷跡一つのこらないよ?」
眉の一筋も動かさずに、ただ正面を見る。その視界に髪の赤い男が入り込む。
しなやかな身のこなしと体躯。
たかが下郎など景色の一つ、何事も変わってはいない。
「食べないと持たないよ?それとも俺様の前じゃ気になって食事なんかとれない?」
 耳にその声音が入ってはいるが、言葉としての認識はない。
しばらくそうしていると、膳だけを残しその景色は去った。
さらに長い時間そうしていると、やはり同じ男が現れた。
同じく膳を持ち、飄々と。
「あらら、ほんっとうに一口も手を付けてないんだ?……食事だよ、水だよ?
乾いてるし餓えてるよねえ?そんなに怖い?なんなら俺様毒味してあげるー?」
 景色が膳のものを一口づつ口に運び、こちらを見る。懐柔か。
景色は更に以前の膳の汁を凡て口の中に流し込む。
甘やかな、米の炊けた匂いが届く。あたたかな出汁の香りが刺激する。
「これでもダメって?でもさぁ、ここで抵抗したって無駄じゃないの?ねえ、独眼竜……いや、伊達の姫君?」
 景色は音を発する。もうろうとした意識に僅か届く。
「……伊達、政宗サマぁ?食事拒否して飢えて死にたいって?ならどうして舌噛まないの?生きたいんじゃないの?」
 気づけば景色は眼前に迫っていた。
見えるもの凡てこの、下郎。
「飢え死ぬのは辛いよ?捕虜全部そう言う目に遭わせたっていいんだよ?」
 ……そうか、自分以外も囚われているのか。誰だろうと、思索は巡らせない。いま、ここで考える訳にいかない。
心が揺れれば見抜かれる。
「みんな独眼竜みたいに強く無くってねえ、泣き叫んだり狂いそうだったりしてさあ。
ああ、聞こえる距離に移動させてあげよっかー?もちろん、伊達の姫様がなにか喋ろうもんなら、こっちは全部聞くけどね?それでも無事がしれてさ、諦めも付くしさ、万々歳?
ね、どうしたいのかな、部下ごと死にたい?」
 唇を開く。それだけで気力を消耗した。
誰が捕まっているかなど知らない、誰も捕まっていないのかもしれない。
想像の通り皆が死んでいるのかもしれない。牢と拷問部屋の外にある現実が見えない。
「………」
 言葉を発しようとしたが、飢え乾いた唇はひぅ、と掠れた音を洩らしただけだった。
察したか、男が僅かに水を含ませる。
唇に、舌に清水が染みこむ。もう一度ほんの僅か水が落とされ、のど元に下りた。
それでも喉は掠れた音だけを発する。
「なんて喋りたかったのかなぁ?命乞いしたい?」
 少しずつ与えられる水と愉快そうな声音。
ああ、笑うがいい下郎。
「……食べさせな……」
「ん?」
「生き……させ……なら、べ、させな……」
 言葉になったものの、かなり聞き取りにくいものだったろう。しかし男は気配を変えた。


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