「旦那は絶対、竜の旦那が好きだと思うんだよね!」
「……力説されてもな」
ふう、と呆れたように酒を口にした。
色々と話がしたいという主達に気を遣って、小十郎と佐助は隣室で酒を酌み交わしていた。
「……力説されてもな」
ふう、と呆れたように酒を口にした。
色々と話がしたいという主達に気を遣って、小十郎と佐助は隣室で酒を酌み交わしていた。
「ねえ、竜の旦那をうちの旦那にくれない?」
「馬鹿を言うな。そっちこそ真田を政宗様に寄越せ」
「やだよ、お嫁になんか行ったら俺様淋しい」
「政宗様は伊達を継ぐお方だ。おいそれと他国にやれるか」
だよねえ。と笑いながら杯になみなみと酒を注いだ。
「馬鹿を言うな。そっちこそ真田を政宗様に寄越せ」
「やだよ、お嫁になんか行ったら俺様淋しい」
「政宗様は伊達を継ぐお方だ。おいそれと他国にやれるか」
だよねえ。と笑いながら杯になみなみと酒を注いだ。
「あまり呑むな、響くぞ」
「あれ、心配してれんの?大丈夫。俺様、酔っ払うようなヘマはしないから」
言われて見れば、それなりに呑んでいるはずなのに、頬は全く赤らんでいない。
成程、忍の技か。
便利だものだな、と思いつつ自らは杯を置いた。
「あれ、心配してれんの?大丈夫。俺様、酔っ払うようなヘマはしないから」
言われて見れば、それなりに呑んでいるはずなのに、頬は全く赤らんでいない。
成程、忍の技か。
便利だものだな、と思いつつ自らは杯を置いた。
「大体手順を踏めって、前、手順も何もかもすっ飛ばして俺を押し倒した人が言うことじゃないよね」
「それはそれだ」
「開き直ったよこの人」
楽しそうに笑うその身体を引き寄せ、減らず口を叩く唇を塞いだ。
舌を絡ませようと唇をつつけば、待ちかねたように薄く開かれた。
「それはそれだ」
「開き直ったよこの人」
楽しそうに笑うその身体を引き寄せ、減らず口を叩く唇を塞いだ。
舌を絡ませようと唇をつつけば、待ちかねたように薄く開かれた。
同盟を組んだばかりの頃は、専ら小十郎の方が佐助に苦手意識を持っており
佐助の方も向こうが嫌いなら仕方ないよね、という考えを持っていたせいで、どうにも折り合いが悪かった。
しかし互いの主や、似たような立場であるところから、ふいに気が合い
どういう経緯を辿ってそうなったかは最早思い出せないが、今ではすっかり「恋仲」というやつである。
佐助の方も向こうが嫌いなら仕方ないよね、という考えを持っていたせいで、どうにも折り合いが悪かった。
しかし互いの主や、似たような立場であるところから、ふいに気が合い
どういう経緯を辿ってそうなったかは最早思い出せないが、今ではすっかり「恋仲」というやつである。
好きかと問われれば、それにはお互いに是と答えるだろう。
そうでなければ肌など合わせないし、傍にいて心地よいと思うこともない。
そうでなければ肌など合わせないし、傍にいて心地よいと思うこともない。
しかし、一番大切かと問われれば、それには勿論お互いに否である。
小十郎も佐助も、一番に思う人は、互いのことなどではなく、自らの主だからだ。
主よりも自らを選ぶようになったならば。
それは既に、自らの愛した人ではありえないのだ。
小十郎も佐助も、一番に思う人は、互いのことなどではなく、自らの主だからだ。
主よりも自らを選ぶようになったならば。
それは既に、自らの愛した人ではありえないのだ。
元より、佐助は子を産めぬ身体である。
まして素性の知れぬ女など、小十郎の妻になどなれるはずもない。
それを知ってなお抱きしめてくれる腕は、温かくて心地よくて
少し、涙すらも出そうであった。
まして素性の知れぬ女など、小十郎の妻になどなれるはずもない。
それを知ってなお抱きしめてくれる腕は、温かくて心地よくて
少し、涙すらも出そうであった。
「好きだよ、片倉の旦那」
「ああ」
ほそりとした身体を抱き寄せながら、小十郎はその首筋に軽く噛み付いた。
「ああ」
ほそりとした身体を抱き寄せながら、小十郎はその首筋に軽く噛み付いた。




