「戦?」
酒は呑めないという幸村に付き合って茶をすすっていた政宗は、その唯一の目を瞬かせた。
「はい。大坂にて、徳川殿の軍と」
「大坂か。Sorry、援軍は出せねえ」
酒は呑めないという幸村に付き合って茶をすすっていた政宗は、その唯一の目を瞬かせた。
「はい。大坂にて、徳川殿の軍と」
「大坂か。Sorry、援軍は出せねえ」
奥州は、最北の一揆衆としばしば衝突していた。
大将の少女とは、話がつきそうではあったが、そう簡単に長年の禍根は消えるものではない。
今は、まさしく瀬戸際であった。
「いえ、そのお心遣いだけで真にありがたい!」
その事情を知っている幸村は、誠心誠意の謝辞をもって頭を下げた。
大将の少女とは、話がつきそうではあったが、そう簡単に長年の禍根は消えるものではない。
今は、まさしく瀬戸際であった。
「いえ、そのお心遣いだけで真にありがたい!」
その事情を知っている幸村は、誠心誠意の謝辞をもって頭を下げた。
「しかし大坂か。暫く会えねえな」
「なんの。お館様こそ在れば武田は無敵。またすぐにお目にかかれましょうぞ」
「そうだな」
意気込む幸村の腕を、ぐい、と引き寄せた。
「なんの。お館様こそ在れば武田は無敵。またすぐにお目にかかれましょうぞ」
「そうだな」
意気込む幸村の腕を、ぐい、と引き寄せた。
「ま、ままままさむねどのっ!」
真っ赤になってじたばたと暴れる幸村を、けたけたと笑いながら強く抱きしめた。
小十郎がいたならば、品がない、と怒られたことだろう。
「やっぱり好きだ、幸村」
そしてふいに真顔になって、そう言った。
真っ赤になってじたばたと暴れる幸村を、けたけたと笑いながら強く抱きしめた。
小十郎がいたならば、品がない、と怒られたことだろう。
「やっぱり好きだ、幸村」
そしてふいに真顔になって、そう言った。
その言葉を聞いた幸村は、これ以上ないというほど真っ赤になって俯いた。
「俺と互角に渡り合えて、一緒にいたらきっとHappyで。こんな女、他にゃいねえ」
「あ、ありがたきお言葉……しかし」
「分かってる。嫁にはなれないんだろ?」
「はい」
性格だからだろうか。幸村の返答はいつでも迷いがなく、あっさりとしている。
複雑そうな表情を浮かべながら、長い尻尾のような髪をさらりとすいた。
「あ、ありがたきお言葉……しかし」
「分かってる。嫁にはなれないんだろ?」
「はい」
性格だからだろうか。幸村の返答はいつでも迷いがなく、あっさりとしている。
複雑そうな表情を浮かべながら、長い尻尾のような髪をさらりとすいた。
「なあ幸村。戦が終わったら、また手合わせしようぜ」
「それは願ったり。この幸村、全力でお相手いたす!」
「Ha!上等じゃねえか」
抱きしめていた身体を放し、頭を軽く叩いた。
「それは願ったり。この幸村、全力でお相手いたす!」
「Ha!上等じゃねえか」
抱きしめていた身体を放し、頭を軽く叩いた。
一目惚れにも等しかった。
刃を合わせたあの高揚感。どこまでも真っすぐな瞳。気高き精神。
そんな彼が、自らを好いているという。
好いた相手に好かれる、これほどの幸せが、ほかにあるだろうか。
刃を合わせたあの高揚感。どこまでも真っすぐな瞳。気高き精神。
そんな彼が、自らを好いているという。
好いた相手に好かれる、これほどの幸せが、ほかにあるだろうか。
けれども、自らにも彼にも、守るべきものがある。
それは、何よりも優先せねばならないことであった。
それは、何よりも優先せねばならないことであった。
「しかし政宗殿。この幸村も、政宗殿をお慕いしており申す。それだけ、お心に留めてくだされば」
「……Thanks、幸村」
もう一度だけ、思っていたよりもずっと柔らかなその身体を抱きしめた。
「……Thanks、幸村」
もう一度だけ、思っていたよりもずっと柔らかなその身体を抱きしめた。




