戦場なんかじゃ、良くて甘い木の実、そういう季節じゃなかったら汲みたての清水とかさ。
だって、めちゃくちゃ高揚してる旦那に酒出したら凄いことになるし。
でも、血に染まった戦場の川水とか、ずっと腰に付けてて温もっちゃった水よりはさ、
美味しい水で顔洗って、口の中すすぎたいじゃない。
で、俺には烏があるから、普通の人より早く汲んでこられる。それだけだよ旦那。
だって、めちゃくちゃ高揚してる旦那に酒出したら凄いことになるし。
でも、血に染まった戦場の川水とか、ずっと腰に付けてて温もっちゃった水よりはさ、
美味しい水で顔洗って、口の中すすぎたいじゃない。
で、俺には烏があるから、普通の人より早く汲んでこられる。それだけだよ旦那。
最近の話だと……旦那が、独眼竜を倒した時だったね。
旦那はとっても喜んで、お館様に駆け寄ってた。
あの時に惚れていたなら、もう少し、今よりは何とかなっていたかな。
でも旦那は目の前の勝利に夢中で、御館様に褒められて有頂天で、色恋なんか感じてる隙間はなかった。
俺も嬉しくて、自国領なのを幸い、ちょっと団子買ってきてた。
でも、もっとずっと前に惚れていたらどうだったろう。
好敵手だと認めていた頃、以前の小競り合いの頃。
旦那は一度に一個の事しか見えないし考えないから、戦場で惚れるなんて、あり得ないけどさ。
何かこう、話し合いの場の時に旦那が居て、そこで惚れていたら。
そして、独眼竜がそれを受け入れてくれたとしたら。
武田にしても北条、伊達、上杉他ぜんぶとやり合うより、良さそうなところと同盟を結ぶのは好都合だ。
奥州はやたらでかくて、攻め入るには面倒な相手だから、反対されることもないと思う。
だって旦那は次男だ、昌幸様が遺した領土は長男の信之様のもの。
だから身軽な旦那が領地持ちの伊達に、武田との友誼の証として婿入りすることになっただろう。
大将の気に入りとはいえ、勇猛な一武将として燻るよりずっといい。
伊達ははろばろと広い領土に、豊かな実りと、良い漁港を持つ国だ。大出世だ。
本当にとっても好都合で、とっても玉の輿で、俺様大感激ー、なんて言っただろう。
忍び頭の俺がついて行けるかは微妙な所だけれど、そこは下っ端の便利さで、
従者小者に身をやつして、いや転職してしまえばいい。
そう、何もかもが上手くいく。だけどもしもが多すぎる夢物語だ。
独眼竜が旦那を夫に選ぶことはない。
旦那はついさっきまで、独眼竜を愛しい人ではなく、生涯最高の好敵手だと思っていた。
旦那は休戦の約定の場に出られる身分じゃない。
お館様に深く信頼された昌幸様の子とはいえ、気に入りとはいえ、やっぱり並み居る武将の一人。
そしてまだまだ若輩の身。……兄さえ差し置いて、出て行けるわけがない。だから惚れる機会がない。
あの時に惚れていたなら、もう少し、今よりは何とかなっていたかな。
でも旦那は目の前の勝利に夢中で、御館様に褒められて有頂天で、色恋なんか感じてる隙間はなかった。
俺も嬉しくて、自国領なのを幸い、ちょっと団子買ってきてた。
でも、もっとずっと前に惚れていたらどうだったろう。
好敵手だと認めていた頃、以前の小競り合いの頃。
旦那は一度に一個の事しか見えないし考えないから、戦場で惚れるなんて、あり得ないけどさ。
何かこう、話し合いの場の時に旦那が居て、そこで惚れていたら。
そして、独眼竜がそれを受け入れてくれたとしたら。
武田にしても北条、伊達、上杉他ぜんぶとやり合うより、良さそうなところと同盟を結ぶのは好都合だ。
奥州はやたらでかくて、攻め入るには面倒な相手だから、反対されることもないと思う。
だって旦那は次男だ、昌幸様が遺した領土は長男の信之様のもの。
だから身軽な旦那が領地持ちの伊達に、武田との友誼の証として婿入りすることになっただろう。
大将の気に入りとはいえ、勇猛な一武将として燻るよりずっといい。
伊達ははろばろと広い領土に、豊かな実りと、良い漁港を持つ国だ。大出世だ。
本当にとっても好都合で、とっても玉の輿で、俺様大感激ー、なんて言っただろう。
忍び頭の俺がついて行けるかは微妙な所だけれど、そこは下っ端の便利さで、
従者小者に身をやつして、いや転職してしまえばいい。
そう、何もかもが上手くいく。だけどもしもが多すぎる夢物語だ。
独眼竜が旦那を夫に選ぶことはない。
旦那はついさっきまで、独眼竜を愛しい人ではなく、生涯最高の好敵手だと思っていた。
旦那は休戦の約定の場に出られる身分じゃない。
お館様に深く信頼された昌幸様の子とはいえ、気に入りとはいえ、やっぱり並み居る武将の一人。
そしてまだまだ若輩の身。……兄さえ差し置いて、出て行けるわけがない。だから惚れる機会がない。




