そんなの関係ありませんぞオヤカタサムァー。
読んでやろうユキムルァアー。
な方のみ、お付き合いをよろしくお願いいたします。
(次からです)
読んでやろうユキムルァアー。
な方のみ、お付き合いをよろしくお願いいたします。
(次からです)
ちなみにわたくし、「しかのこ」ではなく「かのこ」です。
――――――――――――――――――――
はぁ、と大きく息をつく。
時は丑の刻。
明日の朝も早い。もうそろそろ寝ないと明日に響くだろう。
行燈を灯したまま布団に潜り込むと、犬千代は目をゆっくり閉じる。
まもなく、からからと戸を開ける音がした。
時は丑の刻。
明日の朝も早い。もうそろそろ寝ないと明日に響くだろう。
行燈を灯したまま布団に潜り込むと、犬千代は目をゆっくり閉じる。
まもなく、からからと戸を開ける音がした。
「―誰だ?」
すばやく布団から抜け出し、構えた。
空気が張る。
武士たるものは、いつ襲われてもいいように、気が抜けない。
もっとも、襲われたくないというのが本音だが…。
いずれにせよ、誰だ、こんな時間に。
空気が張る。
武士たるものは、いつ襲われてもいいように、気が抜けない。
もっとも、襲われたくないというのが本音だが…。
いずれにせよ、誰だ、こんな時間に。
「いぬちよさま」
顔を覗かせたのは、まつ。
数え年は十二という、お転婆盛りな妻を犬千代が娶ったのはつい先日のことである。
夫婦ではあるが、二人は未だ別々の部屋で寝ていたのだった。
数え年は十二という、お転婆盛りな妻を犬千代が娶ったのはつい先日のことである。
夫婦ではあるが、二人は未だ別々の部屋で寝ていたのだった。
「まつ…どうしたのだ、こんな時間に」
張り詰めた空気が緩む。
敵軍の奇襲かと思ったら…
構えたものの、よく見ると自分の服は寝巻きな上、入ってきたのはまつ。
きまりがわるく、犬千代はぼりぼりと頭をかく。
敵軍の奇襲かと思ったら…
構えたものの、よく見ると自分の服は寝巻きな上、入ってきたのはまつ。
きまりがわるく、犬千代はぼりぼりと頭をかく。
「いぬちよさま。まつめは、夜這いに参りました」
こんな時間に何の用かと思ったら、まつが口にしたのはなんともたちの悪い冗談。
寝ぼけていた犬千代には、彼女のませた発言はまさに寝耳に水だった。
「よば…!?意味は、知っているのか?」
「好きな殿方のところへ、夜、遊びに行くことです」
なんとなく違うとは思ったが、分かりやすく説明できる自信もなかったのでつい、
大体あっているぞ!と答えてしまう。
「ところで…まつ、眠れないのか?」
問いかけると、はっとした顔をした。
「ちがいまする」
僅かに頬が染まって見えたのは、行燈の光のせいだろうか。
幼さの残る声でぶっきらぼうにおやすみなさいませ、と言い、
まつはまた戸を閉めようとした。
「あー…、待て、まつ」
慌てて引き止めると、 まつが半開きの戸から顔を覗かせた。
「せっかくだし、少し話さないか」
「…ん」
戸口でもじもじしていたまつがトコトコと隣までやってきて、腰をすとんと落とす。
「ちょっとだけでござりまする」
目をこちらに向けて、小さく呟いた。
まだ幼さが抜けきらないその仕草を、愛しく思う。
寝室を共にせずとも、犬千代はまつを“妻”として、大切に想っていた。
人から、はねっかえりのじゃじゃ馬といわれようと、
犬千代にとっては可愛く、ただ一人のかけがえのないひとであった。
こんな時間に何の用かと思ったら、まつが口にしたのはなんともたちの悪い冗談。
寝ぼけていた犬千代には、彼女のませた発言はまさに寝耳に水だった。
「よば…!?意味は、知っているのか?」
「好きな殿方のところへ、夜、遊びに行くことです」
なんとなく違うとは思ったが、分かりやすく説明できる自信もなかったのでつい、
大体あっているぞ!と答えてしまう。
「ところで…まつ、眠れないのか?」
問いかけると、はっとした顔をした。
「ちがいまする」
僅かに頬が染まって見えたのは、行燈の光のせいだろうか。
幼さの残る声でぶっきらぼうにおやすみなさいませ、と言い、
まつはまた戸を閉めようとした。
「あー…、待て、まつ」
慌てて引き止めると、 まつが半開きの戸から顔を覗かせた。
「せっかくだし、少し話さないか」
「…ん」
戸口でもじもじしていたまつがトコトコと隣までやってきて、腰をすとんと落とす。
「ちょっとだけでござりまする」
目をこちらに向けて、小さく呟いた。
まだ幼さが抜けきらないその仕草を、愛しく思う。
寝室を共にせずとも、犬千代はまつを“妻”として、大切に想っていた。
人から、はねっかえりのじゃじゃ馬といわれようと、
犬千代にとっては可愛く、ただ一人のかけがえのないひとであった。