「先に帰ったぁあ?!!」
朝早く宿の廊下に大声が響く。
「…ああ。今朝早く俺の部屋にいらっしゃって…先に発つとおっしゃった」
大声を上げた元親にやや冷やかな視線を送りながら、小十郎は朝冷えの所為で震える体を掌で擦る事で宥めた。
朝起きて着替え、真っ先に政宗の泊まった部屋に足を運んだのだが、そこは既にものけのから。
驚いた元親は慌てて小十郎に話を聞きにくれば、政宗は先程宿を発ったというではないか…。
「本当なら俺もお供をしたかったが、客であるお前等を放っておくのは流石に
「あの野郎ぉ…マジで面見せねぇつもりだな…冗談じゃねぇぞッッ!!こうしちゃ居られねぇ!」
「はぁ?」
二人の経緯を一切知らない小十郎は、朝っぱらから妙に熱い姫に付き合わされ、少し機嫌が悪くいつも以上に眉間の皺が濃い。
しかし元親からすればそんな事は二の次で、預けていた八流を受け取り防寒具を纏って、急いで宿の外に出た。
「行くぜ、弩九ッ!!」
元親の掛け声と共に碇槍が炎を纏い、その炎で降り積もった雪を溶かしながら爽快に駆けて行った彼女の後姿を見ながら、
小十郎はまさに台風一過とばかりに、目元を引き攣らせてから深い溜息をし頭を抱えるのだった。
朝早く宿の廊下に大声が響く。
「…ああ。今朝早く俺の部屋にいらっしゃって…先に発つとおっしゃった」
大声を上げた元親にやや冷やかな視線を送りながら、小十郎は朝冷えの所為で震える体を掌で擦る事で宥めた。
朝起きて着替え、真っ先に政宗の泊まった部屋に足を運んだのだが、そこは既にものけのから。
驚いた元親は慌てて小十郎に話を聞きにくれば、政宗は先程宿を発ったというではないか…。
「本当なら俺もお供をしたかったが、客であるお前等を放っておくのは流石に
「あの野郎ぉ…マジで面見せねぇつもりだな…冗談じゃねぇぞッッ!!こうしちゃ居られねぇ!」
「はぁ?」
二人の経緯を一切知らない小十郎は、朝っぱらから妙に熱い姫に付き合わされ、少し機嫌が悪くいつも以上に眉間の皺が濃い。
しかし元親からすればそんな事は二の次で、預けていた八流を受け取り防寒具を纏って、急いで宿の外に出た。
「行くぜ、弩九ッ!!」
元親の掛け声と共に碇槍が炎を纏い、その炎で降り積もった雪を溶かしながら爽快に駆けて行った彼女の後姿を見ながら、
小十郎はまさに台風一過とばかりに、目元を引き攣らせてから深い溜息をし頭を抱えるのだった。
丁度その頃、一人と一頭は静かに山道を下っていた。
(…………怒りまくってんだろうな…元親の奴…)
深い雪なので馬を速く走らせる訳にも行かず、殆ど徒歩の速度に近い。
朝の空気の寒さに身体を震わせ、馬上で身体を揺すられながら、政宗はもう何度目かになる深い溜息を吐いた。
「最悪だよなぁ…なんつってもある意味ヤリ逃げだもんな」
あの時言葉にした通り、二度と元親の前に顔を見せない事を実行する為に、
朝早く一人で宿を発ったものの、やはり後悔が尾を引く。
きっと元親にも言いたい事があっただろう…それが政宗にとって二通りの意味を成す言葉であっても…。
しかし自分はそれを聞くのが怖くて、逃げ出した。
そういうのを嫌う彼女だからこそ、余計に怒っているに違いない。
それ以前に行為を強制した自分に対して、今頃憎しみすら抱いているかもしれない。
怖い…女しか愛せない自分を否定されるのが怖い。
今まで仮面をつけてはいたものの、告白した事で今までの仲が壊れて、その上本当の自分まで否定されたら…
自分と元親の接点が本当に全て無くなってしまう。
怖い
「……。マジでもぅ二度と…笑ってくれねぇだろな…」
太陽のような笑み
大好きだった彼女の笑みを、もう二度と見られないのかと思うと、やけに目の奥が熱くなるのを政宗は感じた。
泡姫の恋23
(…………怒りまくってんだろうな…元親の奴…)
深い雪なので馬を速く走らせる訳にも行かず、殆ど徒歩の速度に近い。
朝の空気の寒さに身体を震わせ、馬上で身体を揺すられながら、政宗はもう何度目かになる深い溜息を吐いた。
「最悪だよなぁ…なんつってもある意味ヤリ逃げだもんな」
あの時言葉にした通り、二度と元親の前に顔を見せない事を実行する為に、
朝早く一人で宿を発ったものの、やはり後悔が尾を引く。
きっと元親にも言いたい事があっただろう…それが政宗にとって二通りの意味を成す言葉であっても…。
しかし自分はそれを聞くのが怖くて、逃げ出した。
そういうのを嫌う彼女だからこそ、余計に怒っているに違いない。
それ以前に行為を強制した自分に対して、今頃憎しみすら抱いているかもしれない。
怖い…女しか愛せない自分を否定されるのが怖い。
今まで仮面をつけてはいたものの、告白した事で今までの仲が壊れて、その上本当の自分まで否定されたら…
自分と元親の接点が本当に全て無くなってしまう。
怖い
「……。マジでもぅ二度と…笑ってくれねぇだろな…」
太陽のような笑み
大好きだった彼女の笑みを、もう二度と見られないのかと思うと、やけに目の奥が熱くなるのを政宗は感じた。
泡姫の恋23




