「あ、れ……?」
目を覚ましたいつきは、不思議そうに周囲を見回した。
「大丈夫か」
毛利に膝枕をされている状態だと気付くと、慌てて身を離し、ぶんぶんと首を振った。
「も、もも、もう、平気だべ!」
いつきの脳裏には先刻の声が蘇り、マトモに顔を見られる状況ではない。
子供ではないのだから、と自分に言い聞かせても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
まさか、と思い己の体を確認するが、幸い服は身に着けている。
……いや、あの後で着せてもらったのかと考えると、余計に複雑だ。
「そ、そんな事よりも、早く帰らねえと」
皆も心配してしまうから、と愛想笑いを浮かべながらいつきは立ち上がろうとした。
だが腰に力が入らず、へたりと座り込む。
「あれ、なしてこんなことに?」
状況が理解できずに悩むいつきの様子を眺めていた毛利は、彼女の前に身を屈めた。
「いつき、我が背負ってやろう」
ちらりと後ろを振り返ると、険しい表情を緩める。
「だども……」
「それぐらいは責任を取る、我とて非情ではない」
僅かながら照れも混じっているのは気のせいではなかろう。
「わかっただ」
男にしては小柄だが、その背は思ったよりも広い。
落ちないようにと身を寄せながら、いつきは小さく呟いた。
「ずっと一緒に居られるとええべな、もとなり」
そういえば彼の名はどのような字を書くのか聞いていない。
後で教えてもらおうか、といつきは思った。
目を覚ましたいつきは、不思議そうに周囲を見回した。
「大丈夫か」
毛利に膝枕をされている状態だと気付くと、慌てて身を離し、ぶんぶんと首を振った。
「も、もも、もう、平気だべ!」
いつきの脳裏には先刻の声が蘇り、マトモに顔を見られる状況ではない。
子供ではないのだから、と自分に言い聞かせても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
まさか、と思い己の体を確認するが、幸い服は身に着けている。
……いや、あの後で着せてもらったのかと考えると、余計に複雑だ。
「そ、そんな事よりも、早く帰らねえと」
皆も心配してしまうから、と愛想笑いを浮かべながらいつきは立ち上がろうとした。
だが腰に力が入らず、へたりと座り込む。
「あれ、なしてこんなことに?」
状況が理解できずに悩むいつきの様子を眺めていた毛利は、彼女の前に身を屈めた。
「いつき、我が背負ってやろう」
ちらりと後ろを振り返ると、険しい表情を緩める。
「だども……」
「それぐらいは責任を取る、我とて非情ではない」
僅かながら照れも混じっているのは気のせいではなかろう。
「わかっただ」
男にしては小柄だが、その背は思ったよりも広い。
落ちないようにと身を寄せながら、いつきは小さく呟いた。
「ずっと一緒に居られるとええべな、もとなり」
そういえば彼の名はどのような字を書くのか聞いていない。
後で教えてもらおうか、といつきは思った。
(了)




