戦国BASARA/エロパロ保管庫

官兵衛×鶴姫3

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momo

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 有り得ない未来に、鶴姫は反射的に言い返した。
「そんなひどいことをする人、いるわけが――」
「居る。それも、一人や二人ではなくな」
 哀れみを混じらせて、官兵衛が首を横に振った。
「そやつらに形ばかりでも預言者として大切に扱われ、重用されるのであればまだいい。小生のように手枷を
付けられて穴倉に押し込められたらどうする。穴倉生活は悲惨だぞ。運ばれてくる三度の飯と寝る以外にできる
ことといえば、外の天気を壁に記録するか、素読をするか、身体を鍛えるか、鉄球に乗って転がす練習をするか、
手淫に耽るかぐらいのものだ」
「しゅいん?」
「ああ、すまん。そこは忘れてくれて構わん。ともかく、戦場に果てる数多の死を見て、苦しむ。その未来を、
考えたことがあるか? 小生のためにも、お主のためにも、その力はあるべきではない」
 見透かしたような断言に、むっと鶴姫は頬を膨らませた。
「どうして力を持たないあなたに、未来を見てきたみたいにそう言い切られなくちゃならないのか分かりません」
「小生にも、長年培ってきた先見の読みがある」
「それがあっても、穴倉に閉じ込められてしまったのに?」
「手痛いな」
 鋭い指摘に官兵衛が苦笑した。
「だが、だからこそお主にも同じことが起きるとも言える。未来を見る力で人は救えても、己を守ることはできぬ」
 間近から見下ろされ、前髪に隠れてそれまで分からなかった官兵衛の瞳が、その時はっきりと見えた。
 そこに浮かぶ、凄惨な風景を見てきた哀しみと、忠告めいた真摯な光。
 垣間見えた本心が、胸をざわつかせる。
 この、あまりに近すぎる距離がどうにも不利だった。ひどく落ち着かなくさせる。
 もう騙されてなるものかと、ことさらに鶴姫は肩に力をこめた。
「でも、人を救うために私に備わった力です。それを使わないのは、間違ってます」
「その選択が、自らを砕くとしてもか?」
「当たり前です!」
「では仕方ない」
 もう一度、官兵衛が嘆息した。
 次の瞬間、逸らすこともできぬ強さで、射竦められた。
「小生がここへ来た目的は二つだ。一つは河野水軍を我が傘下に入れること。もう一つは、お主を只人にすることだ」
「只人……?」
「古来より、穢れを知った巫女の力は消えると言う。そういうことだ」
「そういうって……どういうことですか」
 意味が分からず、鶴姫はつい訊ねた。
「男女の睦みごとだ」
「睦みごと?」
 反復に、官兵衛が困ったように顔をしかめた。
「まあ、一口で言えば恥ずかしいことか」
「恥ずかしい?」
「それと痛い」
「痛い!?」
「その点については、先に謝る。恨み、憎んでも構わぬ」
 鶴姫は眉根を寄せ、首を横に振った。
「嫌です! 私が力を失くしたら、この瀬戸内の海を誰が守ると……!」
「案ずるな。河野水軍が我が軍門に下れば、この海を守るのはこれより小生の役目だ」
 それを皮切りに、官兵衛が背を丸めた。
 背中に回された腕に、力がこめられる。抱きすくめられ、急速に近づいてくる顔に困惑して目をつぶった瞬間、
前触れなく唇を塞がれた。
「んんー……!」
 押しつけられる、かさついているような柔らかいような奇妙な感触。
 官兵衛の説明では自分の身にこれから何が起きるのかまるで分からず、鶴姫はただ唐突な接触を、本能的に身を
よじって拒絶した。
 が、唇が離れただけで振りほどくことは叶わず、顔を背けてあらわになった首筋へと吸いつかれる。伸びかけた
髭のざらついた感触に加え、肌を吸われているという状況に、恐怖が一気に膨れ上がり、鶴姫の華奢な身体をのみこむ。
「やめ……!」
 言葉を奪うように、再び唇を塞がれた。体格差があるため、気づけば少し喉を仰け反らせるような格好になる。
 あまりに長く息を止めさせられ、新鮮な空気を求めて鶴姫が無意識に口を薄く開いた刹那、思いもよらぬ事態が
起きた。


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