雪上を滑るように走る。肩を並べ走る幸村は激しく雪を蹴立てている。
立ちふさがり鍬を構える者達を、相手にせずに飛び越した。
本当に身が軽い。と、と着地しまた駆ける。
幸村が負けじと大きく跳躍した。炎の粉が雪原に舞う。
その軌跡が金烏のように見える。
農民の間をすり抜け、無言で駆けた。必要最低限しか倒す気はなかった。
それでなくとも戦慣れしていない農民の動きは鈍い。
伊達は織田のように兵と農民を切り離しはしないが、それでも兵卒になるものとならないものに分かれる。
北端は大した武将がいなかったためか、兵役を経験したことのない民が多いのだ。
それにしても、なんなんだ。
何か既視感を感じる。
伊達の領内だけでも広い。北端まで足を伸ばしたことなど、一度もない。
なぜ記憶が刺激される?
立ちふさがった男を蹴り飛ばし、もんどり打って倒れた姿を確認せずにまた駆ける。
「……だべ!」
「おさむらいさんにゃあ……」
このIntonationか?
だが、どこで。
考えを巡らせ、何故か募る不安を堪えて駆ける。
目立つ色合いの法被。容易くすり抜けながら、その色合いが激しく記憶を刺激した。
「まさか……」
村の最奥は近い。大人の腹の辺りの高さにその姿を探す。
見つからなければいいと、思いながら。
「この村はおら達のもんだべ!おめえさん達には、渡さねえ!」
「………子供!なんと、このような子供が大将?」
炎たなびく跳躍を止め、幸村が気合い抜けした驚きの声を漏らした。
「NO!」
違うコイツを大将にしないでくれ。一揆の首謀者に与えられるものは、死だ。見せしめの死だ。
それが打ち首であれ撫で切りであれ鋸引きであれ獄死であれ、変わらず死だ。
立ちふさがり鍬を構える者達を、相手にせずに飛び越した。
本当に身が軽い。と、と着地しまた駆ける。
幸村が負けじと大きく跳躍した。炎の粉が雪原に舞う。
その軌跡が金烏のように見える。
農民の間をすり抜け、無言で駆けた。必要最低限しか倒す気はなかった。
それでなくとも戦慣れしていない農民の動きは鈍い。
伊達は織田のように兵と農民を切り離しはしないが、それでも兵卒になるものとならないものに分かれる。
北端は大した武将がいなかったためか、兵役を経験したことのない民が多いのだ。
それにしても、なんなんだ。
何か既視感を感じる。
伊達の領内だけでも広い。北端まで足を伸ばしたことなど、一度もない。
なぜ記憶が刺激される?
立ちふさがった男を蹴り飛ばし、もんどり打って倒れた姿を確認せずにまた駆ける。
「……だべ!」
「おさむらいさんにゃあ……」
このIntonationか?
だが、どこで。
考えを巡らせ、何故か募る不安を堪えて駆ける。
目立つ色合いの法被。容易くすり抜けながら、その色合いが激しく記憶を刺激した。
「まさか……」
村の最奥は近い。大人の腹の辺りの高さにその姿を探す。
見つからなければいいと、思いながら。
「この村はおら達のもんだべ!おめえさん達には、渡さねえ!」
「………子供!なんと、このような子供が大将?」
炎たなびく跳躍を止め、幸村が気合い抜けした驚きの声を漏らした。
「NO!」
違うコイツを大将にしないでくれ。一揆の首謀者に与えられるものは、死だ。見せしめの死だ。
それが打ち首であれ撫で切りであれ鋸引きであれ獄死であれ、変わらず死だ。
あの時名を尋ねた。思い出した。小さな姿、子供特有の細い髪、寒そうな程細い手足。
傷ついて辛い目をしていた。
子供好きの小十郎の言葉に耳を貸さなかった。嘘だ嘘だと、全身で泣き、魂から血を流していた。
侍は、みな悪いのだと思いこんで、農村以外の世界を信じられず、破れかぶれで、摺上原に来た。
──名を、
上田城の虜62/かんなびのさと7
傷ついて辛い目をしていた。
子供好きの小十郎の言葉に耳を貸さなかった。嘘だ嘘だと、全身で泣き、魂から血を流していた。
侍は、みな悪いのだと思いこんで、農村以外の世界を信じられず、破れかぶれで、摺上原に来た。
──名を、
上田城の虜62/かんなびのさと7




