戦国BASARA/エロパロ保管庫

かんなびのさと7

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「いつきっ!」
「もう、おさむらいさんなんか信用しねえべ!おら達のことはおら達で守る!」
 子供特有の真っ直ぐな、視野の狭い正義感と頑固さ。
声変わり前の高い声。
「止しないつき!」
「、……政宗殿?お知り合いか?」
 よほど驚いたか、幸村が言葉遣いを以前のものに戻している。
それとも、その言葉遣いを呼び覚ますほどオレは以前の気迫を纏ったか。
いつきは激しく首を振った。上半身ごと身を捩っているような激しさで、政宗の言葉を拒絶する。
「きかねえ!きかねえべ!おさむらいさんなんか、」
「聞けいつき!何故また一揆を起こした!?年貢を急に増やされたか、虐げられたか?
聞け、言うんだいつき!」
 焦りが声を荒げさせる。いつき、おまえが天下を狙うとは思わない。
お前が欲しいのは平和と安寧だ、戦場の生臭さじゃない。第一、摺上原に来た時既にぼろぼろだっただろう。
戦場に出るのが辛かったのだろう。だから今度もまた傷つく、いいや、お前既に泣きそうな目をしている。
今なら、幸村は……オレに惚れている。佐助はその忍びだ、口止めは効く!
今のうちに言え、そして逃げろ、いつきじゃこの精鋭には太刀打ちできやしない!
「そんな……どうしてわからねえだ!だから信用なんかできねえんだ!おらたちは、おらは……!」
「お前の覚悟はよく知っている、だから止まれ!言うんだいつき、落ち着け、何があった?」
 ひぅ、といつきの喉が泣くような音を立てた。
親衛隊も幸村も、政宗の気迫に押されやや遠巻きにしていた。
いつきは、泣き虫の目で怒っていた。少し垂れた、ころころと大きな瞳。
刃をおさめて片腕を差し出す。
「おめえさんは、おら達を裏切っただ!忘れただか?農民との約束なんて、覚えている必要なんかないだか?」
「NO」
 やっと普段通りの声が出た。
「誰がそんなこと言った?オレが忘れているなら、思い出させろよ」
 泣き虫の目が歪む。青銀の髪がさらさらと雪風に揺れた。
きゅ、と雪を踏みしめ一歩近寄る。
思いついて表情を隠す兜を投げ捨てた。髪を一度かき上げて乱れた髪を直し、もう一度向き直る。
「約束を……破っただ」
 いつきは呟いて、ハンマーを引きずるようにしてこちらに歩み寄る。
後方で足音が聞こえる。どうでもいい、いつきオレを見ろ。
「いつき」
 細い、小さい肩が震える。
「……ねえちゃんは、争いのない世界をつくるから、少しだけ待ってろって、──おら達に言っただ!」

いつき、おまえ信じたのか。

「言ったのに、笑って田を耕せるようになるって、おら待ってたのに!嘘つき!嘘つき!
約束も忘れてた!結局、おさむらいはおら達のことなんてどうでもいいんだべ!?──待ってたのに……!」
 その、哀切な叫び。
 オレが負けたから一揆を起こしたのか。
ごく短い間の言葉のやりとりで、それでオレにすべてを預けて、そのすべてが裏切られたと、嘆くのか。
オレが領主だったから、オレが武田に負けたから。
上田城の虜63/かんなびのさと8

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