戦国BASARA/エロパロ保管庫

かんなびのさと8

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匿名ユーザー

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安寧が与えられれば構わない?誰がそんなことを言った?
勝手にそう思っただけだ、忠義に生まれ死ぬ兵でなければ領主に対する尊崇は生まれる訳がないと、
オレは侮り馬鹿にしていたのか。オレの治世を期待していた平和な領民の心をも、裏切っていたか。

腕を伸ばした。いつきは全身で叫び、全身で拒んだ。当たり前だ。
それでも延ばす。
城主だった時には流した。たかが子供のかんしゃく、真面目に取り合わず深く尋ねず、
立ち向かうその覚悟を勝手に見極め、さらりと言いたいことを言った。
名を尋ね名を呼び、夢を信じろと、今の自分に跳ね返れば痛くて堪らないことを、言った。
オレの夢は、何だったっけ。
天下?何故天下を取ろうと思った?
野望を抱く理由はいくつもあった、たった一つの理由で動くほど易い人間ではない。
だが、そのうちの一つしか思い出せないのはどうしてだ。
安寧を。
兵卒は田植えや刈り取りの季節には農業に戻る。
オレはその平和な風景を、愛していただろう?
皆が持ち寄り、皆に振る舞った、炊きたての米を握っただけの食事。だがあれより美味い飯があったか?
兵と農を分離させた織田の将兵には解らないだろう。あの高い空、金の穂並み、あの幸福が。
だからどれほど暴走しても、農民に辛く当たるようなことは、しなかった。

「すまなかった。……来い、いつき」
 首を振る、細い肩を無理矢理捕らえて腕の中に閉じこめた。
雪の温度を拒んで暖かかった。子供の体温だった。
「兵の夢だけじゃない、オレはお前らの望みも、裏切ったな……」
 農民のふり?農民は奴隷じゃない、当たり前の人間だ、怒る権利なんざいくらだってある。
真っ当な怒りを持って立ち上がったお前に、オレは今も酷いことを思った。
首謀者ではないと誤魔化し、幸村から寄せられた好意をいいことに口止めをしようと。
 喉が痛い。
またかと思った。だが、凍った睫毛が溶けてきている。そうか、この痛みは、俺は泣きたかったのか。
瞬くと睫毛の氷は完全に落ちた。目が潤んでいた。
いつきが驚いたような目で見て、小さな手をそっと頬に押し当てた。
違うこれは雪だ。人肌に溶けた雪だ。
「政宗殿……お館様が」
 言われなくても解る。近づくこの威圧感、圧迫感。薄い背中をそっと撫でた。
上田城の虜64/かんなびのさと9

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