奥州を舞台に、客将元親と小十郎のコメディ。Hなし。
「意地っ張り同士・互いに気付かない永遠片思い」がコンセプト。
政宗も女性で、少々「ネガティブ梵天丸」属性炸裂気味。
嫌いな方はスルーでお願いします。
「意地っ張り同士・互いに気付かない永遠片思い」がコンセプト。
政宗も女性で、少々「ネガティブ梵天丸」属性炸裂気味。
嫌いな方はスルーでお願いします。
「いい加減にしやがれ、このブス!四国のド田舎戦法を、奥州に持ち込
むなっつってんだろうが!」
「アァン!?ケンカは勝ちゃいーんだろうが!お前の大将に言わせる所
の『結果オーライ』じゃねぇかよ!」
「テメェの品のない戦いと、政宗様を一緒にするな!」
「ンだと、コラァ!?」
「……やめろ、ふたりとも」
むなっつってんだろうが!」
「アァン!?ケンカは勝ちゃいーんだろうが!お前の大将に言わせる所
の『結果オーライ』じゃねぇかよ!」
「テメェの品のない戦いと、政宗様を一緒にするな!」
「ンだと、コラァ!?」
「……やめろ、ふたりとも」
もう、何度目になるか数えるのもイヤになるほど記録を更新し続けてい
るふたりの口論に、政宗は心底うんざりとした表情で水を注した。
「…元親。お前の四国と俺の奥州では、地形も戦のやり方にも大きな違
いがある。『郷に入れば郷に従え』だ。不必要な損害を出さない為にも、
もうちっと考えろ」
「わ、判ってるよ…」
「ケッ。目先の戦ごとにしか頭にねぇ単細胞が、政宗様の軍略を理解出
来るってか?」
「何をお!?」
「小十郎、テメェもだ」
元親が再びいきり立とうとする前に、政宗は、今度は『竜の右目』に厳
しい目線を向ける。
「元親は、この俺が客将として迎えたヤツだ。度が過ぎる暴言は、幾ら
お前でも承知しねぇぞ」
「…お言葉を返すようですが、小十郎がお仕えしているのは政宗様で
す。客将といえど、所詮敗戦の君主。奥州伊達にそぐわぬ振る舞いに
は、異を唱えるのが道理というもの」
「じゃあ、もし俺と元親の立場が逆で、俺がコイツの部下に同じ事をさ
れても、お前は納得出来るのか?」
「それは…」
「そういう事だ。判ったら、ふたりともちっとは自重しろ」
そう言って踵を返す政宗の背を、小十郎は複雑な想いで見送る。
次いで、ふふんと伏し目がちにこちらを眺めている元親に気付いた小十
郎は、己の中で理不尽な苛立ちがこみ上げてくるのを覚えていた。
るふたりの口論に、政宗は心底うんざりとした表情で水を注した。
「…元親。お前の四国と俺の奥州では、地形も戦のやり方にも大きな違
いがある。『郷に入れば郷に従え』だ。不必要な損害を出さない為にも、
もうちっと考えろ」
「わ、判ってるよ…」
「ケッ。目先の戦ごとにしか頭にねぇ単細胞が、政宗様の軍略を理解出
来るってか?」
「何をお!?」
「小十郎、テメェもだ」
元親が再びいきり立とうとする前に、政宗は、今度は『竜の右目』に厳
しい目線を向ける。
「元親は、この俺が客将として迎えたヤツだ。度が過ぎる暴言は、幾ら
お前でも承知しねぇぞ」
「…お言葉を返すようですが、小十郎がお仕えしているのは政宗様で
す。客将といえど、所詮敗戦の君主。奥州伊達にそぐわぬ振る舞いに
は、異を唱えるのが道理というもの」
「じゃあ、もし俺と元親の立場が逆で、俺がコイツの部下に同じ事をさ
れても、お前は納得出来るのか?」
「それは…」
「そういう事だ。判ったら、ふたりともちっとは自重しろ」
そう言って踵を返す政宗の背を、小十郎は複雑な想いで見送る。
次いで、ふふんと伏し目がちにこちらを眺めている元親に気付いた小十
郎は、己の中で理不尽な苛立ちがこみ上げてくるのを覚えていた。
先の四国との戦で、敵ながら長曾我部元親の戦いぶりとその人となりに
感銘を受けた政宗は、元親の部下と四国の安全を引き換えに、彼女を客
将として奥州に留まらせる事にした。
その大柄な身体に勝るとも劣らぬおおらかな性格の元親は、これまで同
性の仲間がいなかった政宗にとって、公私共に心強い味方となったので
ある。
しかし、伊達の中には客将としての元親の立場を、快く思っていない者
も少なくなかった。
「敗将の分際で、竜の威を借る鬼」だの「見た目も中身も下品な四国の
田舎女」だの、彼女に対する風当たりは、お世辞にも良いとは言えない。
当主である政宗の命により、表立った諍いはないが、現在伊達の中で不
穏な空気が渦巻いているのも、紛れもない事実であった。
感銘を受けた政宗は、元親の部下と四国の安全を引き換えに、彼女を客
将として奥州に留まらせる事にした。
その大柄な身体に勝るとも劣らぬおおらかな性格の元親は、これまで同
性の仲間がいなかった政宗にとって、公私共に心強い味方となったので
ある。
しかし、伊達の中には客将としての元親の立場を、快く思っていない者
も少なくなかった。
「敗将の分際で、竜の威を借る鬼」だの「見た目も中身も下品な四国の
田舎女」だの、彼女に対する風当たりは、お世辞にも良いとは言えない。
当主である政宗の命により、表立った諍いはないが、現在伊達の中で不
穏な空気が渦巻いているのも、紛れもない事実であった。