「まつ~ なんだ? この服は」
くりくりとした無邪気な瞳を瞬かせ、半裸の少女は傍らの伴侶に問いかけた。
まつと呼ばれた、面差しにまだ幼さの残る男は、柔らかくほほえみながら言葉を返す。
「南蛮の女中服でござりましょう」
ここはザビー城。
珍しい南蛮野菜を求め忍び込んだ二人は、誤って入ってしまった宝物倉にいた。
怪しげな銅像や、奇っ怪なからくり、その他大方は何に使うのか判然としないよくわからないものが
渾然一体となって二人の前にうずたかく積まれている。
半裸の少女-前田利家は、不思議そうにつかんだ女中服(南蛮製)を眺めた。
「南蛮の女中はこのような服を着るのか?」
「信長様がお取り寄せになったものを、拝見させて頂いたことがござりまする」
「まつ! ひらひらしてるぞ!」
利家は、女中服の肩のあたりを持って、ぶんぶかと振っている。
振ると、ふわりふわりと裾が翻るさまが面白いらしい。
その様を見て、まつはくすくすと笑った。
「気に入った御様子、試しに着てみてはいかがでござりましょう?」
「某が、これを?」
利家は、手元の服をあらためて眺める。
「…………着方がわからん」
「手伝いまする」
優しくささやいて、まつは利家の持っている南蛮の服を手にとった。
利家はいつものように、されるがままに着せ替えられていた。
くりくりとした無邪気な瞳を瞬かせ、半裸の少女は傍らの伴侶に問いかけた。
まつと呼ばれた、面差しにまだ幼さの残る男は、柔らかくほほえみながら言葉を返す。
「南蛮の女中服でござりましょう」
ここはザビー城。
珍しい南蛮野菜を求め忍び込んだ二人は、誤って入ってしまった宝物倉にいた。
怪しげな銅像や、奇っ怪なからくり、その他大方は何に使うのか判然としないよくわからないものが
渾然一体となって二人の前にうずたかく積まれている。
半裸の少女-前田利家は、不思議そうにつかんだ女中服(南蛮製)を眺めた。
「南蛮の女中はこのような服を着るのか?」
「信長様がお取り寄せになったものを、拝見させて頂いたことがござりまする」
「まつ! ひらひらしてるぞ!」
利家は、女中服の肩のあたりを持って、ぶんぶかと振っている。
振ると、ふわりふわりと裾が翻るさまが面白いらしい。
その様を見て、まつはくすくすと笑った。
「気に入った御様子、試しに着てみてはいかがでござりましょう?」
「某が、これを?」
利家は、手元の服をあらためて眺める。
「…………着方がわからん」
「手伝いまする」
優しくささやいて、まつは利家の持っている南蛮の服を手にとった。
利家はいつものように、されるがままに着せ替えられていた。
まつは何故着付け方を知っているのだろう。
利家は不思議に思ったが、考えていたら腹の虫が鳴いたのでそれ以上は考えないことにした。
まつは出来る婿だから、きっとなんでも知っているのだ。
一人で納得する。
「なんと可愛らしい…! 犬千代様、よくお似合いでござりまする」
本当に楽しそうなまつの声に、利家は嬉しくなった。
「そうか!」
くるりと回ると、筒状に広がった裾がふわりと翻った。
少し、いや、少しどころでなく窮屈だったが、まつが嬉しそうにしているので
たまにはこういうのもいいか、と思う。
「なあ、まつ…」
「そこまでにしてもらおう!」
利家の声を遮る大音声。
ばっ、と、二人が振り向くと、そこには、利家の着ている服と同じものを着た何者かが立ち塞がっていた。
まつは出来る婿だから、きっとなんでも知っているのだ。
一人で納得する。
「なんと可愛らしい…! 犬千代様、よくお似合いでござりまする」
本当に楽しそうなまつの声に、利家は嬉しくなった。
「そうか!」
くるりと回ると、筒状に広がった裾がふわりと翻った。
少し、いや、少しどころでなく窮屈だったが、まつが嬉しそうにしているので
たまにはこういうのもいいか、と思う。
「なあ、まつ…」
「そこまでにしてもらおう!」
利家の声を遮る大音声。
ばっ、と、二人が振り向くと、そこには、利家の着ている服と同じものを着た何者かが立ち塞がっていた。
「my darlingの城で盗みを働こうってのかアンタ、上等だ」
「逃げたきゃあ俺達を倒してから行くんだな!」
南蛮の女中服を着た娘が三人、倉の入口で物騒な得物を構えている。輪刀と六爪と碇槍…………
「毛利殿…と、伊達殿と、長曾我部殿…ここで一体何を」
「うむ…それはまあいろいろあってな…」
「話すと長くなるんだが…簡単に言えばザビー様の元でLOVEに目覚めたって訳だ」
「タダじゃあ返さねえからな、覚悟しろよ?」
焦点が微妙に合ってない目で三人の女中(?)は侵入者を見据える。
「ならば、某がお相手致す!」
どこか楽しげに、朗々と利家が言い放った。
「いけませぬ、犬千代様!」
まつの制止の声も聞かず、利家は三人向かって駆け…、
「逃げたきゃあ俺達を倒してから行くんだな!」
南蛮の女中服を着た娘が三人、倉の入口で物騒な得物を構えている。輪刀と六爪と碇槍…………
「毛利殿…と、伊達殿と、長曾我部殿…ここで一体何を」
「うむ…それはまあいろいろあってな…」
「話すと長くなるんだが…簡単に言えばザビー様の元でLOVEに目覚めたって訳だ」
「タダじゃあ返さねえからな、覚悟しろよ?」
焦点が微妙に合ってない目で三人の女中(?)は侵入者を見据える。
「ならば、某がお相手致す!」
どこか楽しげに、朗々と利家が言い放った。
「いけませぬ、犬千代様!」
まつの制止の声も聞かず、利家は三人向かって駆け…、
着こんだ女中服のもたつく裾に足を取られ、派手に転んでしまった。
ずざあ、と、床と体が擦れる音が、やはり派手に巻き起こる。
ずざあ、と、床と体が擦れる音が、やはり派手に巻き起こる。
利家は、うつぶせに倒れ込んだまま、起き上がらない。
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「……………犬千代様………」
「…………………」
「…………………」
「……………犬千代様………」
一瞬の間を置いて、利家が跳ね起きた。
「このような服は戦いには向かん!」
顔が首まで赤くなっているのは、戦いの場で転んでしまった羞恥心からなのだろうか。
利家は、きっ、と、強く眉根を寄せ、女中服の -南蛮ではスカートを呼ばれるそれを-
おもむろに裂いた。
袖も、胸元も、思いのままにびりびりと破り捨てる。
「このような服は戦いには向かん!」
顔が首まで赤くなっているのは、戦いの場で転んでしまった羞恥心からなのだろうか。
利家は、きっ、と、強く眉根を寄せ、女中服の -南蛮ではスカートを呼ばれるそれを-
おもむろに裂いた。
袖も、胸元も、思いのままにびりびりと破り捨てる。
服の破れ目から傷跡だらけの肢体が露わになり、まつは目を泳がせた。
利家の半裸は見慣れてはいるものの
裂かれた服からのぞく体は…普段の健康的な色香とは違った色香を纏っているようでもあり。
利家の半裸は見慣れてはいるものの
裂かれた服からのぞく体は…普段の健康的な色香とは違った色香を纏っているようでもあり。
すっきりするまで破くと、利家は満足そうに一つうなずき、
あっけにとられている闖入者の元へと再び向かっていった。
まつは苦笑して、自らも加勢に向かった。
戦いが済んだら、もう一着おみやげに頂いていこうと考えながら。
あっけにとられている闖入者の元へと再び向かっていった。
まつは苦笑して、自らも加勢に向かった。
戦いが済んだら、もう一着おみやげに頂いていこうと考えながら。




