「よいのか」
夜着を払われて問いかけられ、政宗は微笑んだ。
「色恋と、政は別だ。奥州に必要なのは、伊達と武田の血を継いだ子なんだよ」
「……儂はの、家臣を泣かすのは好きではない」
「誰が泣くんだよ」
政宗はけらけら笑い、信玄の腕に自分の腕を絡めた。
体が細かく震える。それはけして寒さからではない。
「怯えておるのか」
「違う。……初めて、なんだよ」
声まで震えている。本当に、ただのおとなしい生娘のようだ。信玄はゆったりと笑い、
政宗の頬に手を添えた。
「かわゆいのう」
「かっ……」
思わぬ言葉に、全身が火照った。
信玄は笑うと政宗を褥にゆっくりと倒していった。
政宗は目を閉じた。
瞼の裏に、茶色い髪の青年を思い描く。
少しずつ惹かれた。笑った顔や、まっすぐ見つめてくる目が好きだった。
手を握るのに三月かかり、そこから接吻までは更に半年かかった。女から迫るのは
ふしだらだよな、と言い聞かせて、ひたすら待った。
信玄の示した道は、ありがたいと思った。
だが、幸村では恐らく奥州を治めることはできない。
あの土地に必要なのは、圧倒的な力だ。政宗も倒せないような男に、奥州を任せられない。
――政とは、そういうものだ。
唇が触れる。幸村しか触れた事のない唇に、信玄の唇が重なった。
触れるだけの口付けから濃厚なものへと変化をつけられ、簡単に息が上がって力が抜けた。
薄く目を開ける。難しそうな顔をした信玄の姿がそこにあった。
「……よいのだな」
「HA、何を恐れてるんだよ。俺は、あんたのbabyが産めればそれでいい。
あんたの下で働くなんてまっぴらだ。――精々、贅沢させてくれよ?」
「強がりはもうよい」
笑ってみせても、虚勢を見抜かれる。
「初めての男は、好いた男の方がよかろうて」
「そんなの、大名の娘に生まれたときから諦めてる」
初めて好きになった男は、小十郎だった。「嫁に行く!」といえば、悲しそうに笑って
「それは輝宗様の決めることであって、姫様の決めることではありません」と言われた。
好きな相手と結ばれることはないと、あの瞬間に思い知らされた。
政宗は腕を伸ばし、信玄の首に腕を絡めた。信玄は唇を引き結び、唇を落とした。
「ん……ぁっ……」
開かれていく。
政宗の中に潜んでいた女の部分を、信玄はうまく引き出し、ゆっくりと解していった。
体を反らし、目を閉じた。信玄の与える快楽に身を任せる。
口付けをあちこちに落とされ、少しずつ息が荒く熱いものになっていく。信玄に女の悦楽や快感を
覚えこまされる期待と恐怖が、体を震わせた。
大きく太い指が、政宗の乳房を揉む。そう大きい方ではないが、信玄は感触を楽しむように
丁寧に揉む。立ち上がった先端を噛まれれば、思わず声を上げた。
「んっ……」
みっともない声を上げるものかと、奥歯を強く噛む。だがその目論みも、
胎内に指が滑り込んだ瞬間に瓦解する。
「ひゃあっ……!」
甘さの欠片もない間抜けな声に、政宗は思わず手で口を塞いだ。体をうつ伏せにして
丸め、褥に顔を埋めた。
大して濡れてもいない胎内に、小指が滑り込んだだけだ。それだけで体ががくがくと震えた。
「……恐ろしいか」
背中に圧し掛かられ、圧迫感を覚える。怖い。誰か。
幸村。
政宗は首を振った。
何を、未練がましい。
信玄の子を産み、その子に伊達を名乗らせると約束した。そのために信玄の側室になることを選んだ。
今更逃げられない。
「いいから、早くしろよ」
「そう急くな。初めての女は、特に優しくせねばならぬ」
「泣いたりしねぇよ」
うなじに信玄の舌を感じた。肩を竦め、褥を強く掴む。強く掴みすぎて白くなった手に、
信玄の手が重ねられた。
「……そなたの覚悟、この武田信玄、しかと承った」
背中を吸われる。背中越しに胸を揉まれ、腹を撫でられる。
重ねた年齢と女性の扱い方が比例している信玄の愛撫は、政宗を確実に高めていく。
白い肌にうっすらと汗が浮かび、体をしならせて息を上げていく。
夜着を払われて問いかけられ、政宗は微笑んだ。
「色恋と、政は別だ。奥州に必要なのは、伊達と武田の血を継いだ子なんだよ」
「……儂はの、家臣を泣かすのは好きではない」
「誰が泣くんだよ」
政宗はけらけら笑い、信玄の腕に自分の腕を絡めた。
体が細かく震える。それはけして寒さからではない。
「怯えておるのか」
「違う。……初めて、なんだよ」
声まで震えている。本当に、ただのおとなしい生娘のようだ。信玄はゆったりと笑い、
政宗の頬に手を添えた。
「かわゆいのう」
「かっ……」
思わぬ言葉に、全身が火照った。
信玄は笑うと政宗を褥にゆっくりと倒していった。
政宗は目を閉じた。
瞼の裏に、茶色い髪の青年を思い描く。
少しずつ惹かれた。笑った顔や、まっすぐ見つめてくる目が好きだった。
手を握るのに三月かかり、そこから接吻までは更に半年かかった。女から迫るのは
ふしだらだよな、と言い聞かせて、ひたすら待った。
信玄の示した道は、ありがたいと思った。
だが、幸村では恐らく奥州を治めることはできない。
あの土地に必要なのは、圧倒的な力だ。政宗も倒せないような男に、奥州を任せられない。
――政とは、そういうものだ。
唇が触れる。幸村しか触れた事のない唇に、信玄の唇が重なった。
触れるだけの口付けから濃厚なものへと変化をつけられ、簡単に息が上がって力が抜けた。
薄く目を開ける。難しそうな顔をした信玄の姿がそこにあった。
「……よいのだな」
「HA、何を恐れてるんだよ。俺は、あんたのbabyが産めればそれでいい。
あんたの下で働くなんてまっぴらだ。――精々、贅沢させてくれよ?」
「強がりはもうよい」
笑ってみせても、虚勢を見抜かれる。
「初めての男は、好いた男の方がよかろうて」
「そんなの、大名の娘に生まれたときから諦めてる」
初めて好きになった男は、小十郎だった。「嫁に行く!」といえば、悲しそうに笑って
「それは輝宗様の決めることであって、姫様の決めることではありません」と言われた。
好きな相手と結ばれることはないと、あの瞬間に思い知らされた。
政宗は腕を伸ばし、信玄の首に腕を絡めた。信玄は唇を引き結び、唇を落とした。
「ん……ぁっ……」
開かれていく。
政宗の中に潜んでいた女の部分を、信玄はうまく引き出し、ゆっくりと解していった。
体を反らし、目を閉じた。信玄の与える快楽に身を任せる。
口付けをあちこちに落とされ、少しずつ息が荒く熱いものになっていく。信玄に女の悦楽や快感を
覚えこまされる期待と恐怖が、体を震わせた。
大きく太い指が、政宗の乳房を揉む。そう大きい方ではないが、信玄は感触を楽しむように
丁寧に揉む。立ち上がった先端を噛まれれば、思わず声を上げた。
「んっ……」
みっともない声を上げるものかと、奥歯を強く噛む。だがその目論みも、
胎内に指が滑り込んだ瞬間に瓦解する。
「ひゃあっ……!」
甘さの欠片もない間抜けな声に、政宗は思わず手で口を塞いだ。体をうつ伏せにして
丸め、褥に顔を埋めた。
大して濡れてもいない胎内に、小指が滑り込んだだけだ。それだけで体ががくがくと震えた。
「……恐ろしいか」
背中に圧し掛かられ、圧迫感を覚える。怖い。誰か。
幸村。
政宗は首を振った。
何を、未練がましい。
信玄の子を産み、その子に伊達を名乗らせると約束した。そのために信玄の側室になることを選んだ。
今更逃げられない。
「いいから、早くしろよ」
「そう急くな。初めての女は、特に優しくせねばならぬ」
「泣いたりしねぇよ」
うなじに信玄の舌を感じた。肩を竦め、褥を強く掴む。強く掴みすぎて白くなった手に、
信玄の手が重ねられた。
「……そなたの覚悟、この武田信玄、しかと承った」
背中を吸われる。背中越しに胸を揉まれ、腹を撫でられる。
重ねた年齢と女性の扱い方が比例している信玄の愛撫は、政宗を確実に高めていく。
白い肌にうっすらと汗が浮かび、体をしならせて息を上げていく。