アットウィキロゴ
戦国BASARA/エロパロ保管庫
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

戦国BASARA/エロパロ保管庫

迷宮情死11

最終更新:

bsr_e

- view
メンバー限定 登録/ログイン
「なぁ。信玄って種無しなのか?」
唐突な政宗の質問に、幸村は盛大に茶を吹いた。佐助が懐から懐紙を取り出してさりげなく幸村に渡す。
「な、何を突然……」
「一年、だぜ。一年経つのに、ちっとも子ができねぇ」
懐紙で口許を拭い、幸村は政宗を見た。政宗は不機嫌そうな顔で茶を啜っている。
(お綺麗になられた)
髪を伸ばし、化粧を覚えたからだろうか。それとも、女の格好が板についてきたからだろうか。
口調は少しも変わっていないが、女らしさがどこかに漂う。
「一年くらいで、気に病まれる必要などないかと……」
笑ってごまかす幸村を、政宗はじっと見つめる。まっすぐ見つめる黒い目。
眼光は少しも衰えていない。
「フン」
政宗から視線を外し、菓子を頬張った。ぽりぽりと音を立てる様子も、武田の側室らしい品が漂う。
「少し、子のことから離れられてはいかがでしょう。何、お館様はまだまだお元気でござる。忘れた頃には」
「忘れた頃じゃ遅いんだよ。とっとと子を産まねぇと、奥州から、伊達が忘れられてしまう」
「そのような……」
「俺が、どこか悪いのか……?」
声に涙が滲む。幸村は眉を寄せた。一度佐助を見る。佐助も気づいている。
「政宗殿?」
「――悪い。なんでもない」
政宗は小さく笑って茶を啜る。
幸村は何も言えなくなり、赤い小袖を泳がせ、黙って茶を啜った。
拝領した菓子を一つ口に入れる。
感情の揺れが激しい。からりとした明るさがなくなっている。
政宗は、この棟から滅多に出ないという。正室が心配して「伊達はん、
今度一緒に寺に行かれしまへんか? 景色が見事ですえ」などと言って誘ったりもしているらしいが、
政宗は断り続けているらしい。
(お痩せになられた)
元々細かった体の線が、更に細くなっている。袖から覗く手首は、
幸村の記憶する政宗の手首より一回りは細い。
「――政宗殿。明日、紅葉狩などはいかがですかな」
「紅葉?」
「はい。たまには体を動かしたほうがよろしいでしょう。馬に乗り、甲斐の山々を散策されてはいかがか」
「……そう、だな」
政宗は顔を伏せた。
「お館様のお許しを貰えたらな」
そう言って、幸村とさりげなく距離を置く。
(分かっている)
信玄のことを話題にすると、政宗の雰囲気が変わる。何かを思い出しているような顔になり、
ふと顔を俯けることが多くなる。
何を思っているのだろう。
どんな風に、過ごしているのだろう。
信玄は足しげくこの棟に通っているという。子ができぬのが不思議だと、誰もが首を傾げる。
信玄はもう若いとは言えないが、まだまだ健康そのものだ。何人も子供がいる。
これ以上授からないということはあるまい。
ちり、と胸が焼けるような痛みを覚えた。
子を授かり、産み、育てていくのだ。幸村はそれを見守ることになるだろう。
それとなく信玄から言われている。
政宗の子が奥州を治めるとき、幸村も傍に置くらしい。政宗も共に奥州に行くのだという。
名誉だと言い聞かせる。
政宗は微笑み、湯飲みを置いた。一つ一つの動きに艶が滲む。
白い手は、もう武将として戦場を駆けた面影はない。
白い顔は顔色がよいとは言えない。
「その、ご無理はなされることはないですぞ」
「HA! すこぶる健康だよ」
「……ならば、よろしいが」
嘘だと思った。
健康ならこんなに白い顔にならないだろうし、細くもならないだろう。
屋敷の外に出ずに奥に籠っているから、体が萎えるのだ。外に出て馬を駆れば、気分も晴れるに違いない。
「では、それがしはこれで」
これ以上、傍にはいられない。
あまり長く傍にいると、政宗の立場を忘れてしまう。政宗と逢う時は、必ず佐助を傍に置いている。
佐助の目がないと、踏み込んではならない領域に踏み込みそうになってしまう。
頭を下げ、逃げるように立ち去った。
政宗が顔を伏せるのを見た。何を思っているのだろう。
「旦那。伊達夫人、だよ。ちゃんと呼ばないと、ダメだよ」
「……分かった。明日は気をつけよう」
もう名前も呼べないのか。
政宗は、政宗が奥州にいた頃よりずっと遠い存在になってしまった。
(政宗殿が選ばれた道だ)
政宗は、それが奥州のためだと言っていた。
では、政宗の幸せは何なのだろう。
幸村は空を仰いだ。明日も晴れるだろう。甲斐の山は美しい。紅葉にはまだ少し早いが、
陽気がきもちいい。
あの山々を見れば、きっと気も安らぐ。病など、気のせいだ。


最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー