佐助がいるからと幸村はあまり後方に注意を払わないのをいつも叱られていた。
「ついてくる気か」
「当たり前じゃない」
軽い動きで佐助は幸村の前まで歩み寄り、すっかり精悍さを増した頬を摘んだ。
「俺は旦那の忍びなんだから」
いつも、『ゆき』が漂わせていた儚さなど感じとれなかった。
わずかな段差を上がるのにも難儀するような身体だったはずなのに、今の佐助の動きは昔のように滑らかで僅かな隙さえ見あたらない。
「…やめよと言うても聴かぬのだな」
佐助の身を案じながらも、込み上げる歓喜を抑える事は出来なかった。
「ついてくる気か」
「当たり前じゃない」
軽い動きで佐助は幸村の前まで歩み寄り、すっかり精悍さを増した頬を摘んだ。
「俺は旦那の忍びなんだから」
いつも、『ゆき』が漂わせていた儚さなど感じとれなかった。
わずかな段差を上がるのにも難儀するような身体だったはずなのに、今の佐助の動きは昔のように滑らかで僅かな隙さえ見あたらない。
「…やめよと言うても聴かぬのだな」
佐助の身を案じながらも、込み上げる歓喜を抑える事は出来なかった。