戦国BASARA/エロパロ保管庫

炎の微笑16

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佐助は書院に入り、信玄に対して乱暴に頭を下げた。
「そう怒るな。――幸村は、こうと決めたら誰の言うことなど聞かぬところが
あることくらい、そちも知っていよう」
「そうですけどねぇ! なんで止めないんですか!? 旦那がどこに行くかなんて分かりきってるし、
しかもあんなの用意して! いっそ出家でもさせたらどうなんです!?」
顔を上げると同時に、矢継ぎ早に佐助はわめいた。信玄はおかしそうに笑うと、
扇で背をかく。鷹揚とした動作が、本気で腹立たしい。

今頃幸村は、愛馬を駆って奥州に急いでいるだろう。行く場所も、会う相手も分かっている。
先回りして止めようと思ったところに信玄の呼び出しが入り、佐助の計画は頓挫した。

「佐助。儂の妻は、京より参った。顔も知らぬ女子であった」
「……普通、そうでしょ。俺だって、里から言われたら、どんな相手とも結婚しますよ」
「戦に出て先陣を斬るような女が、普通か?」
「っ――」

佐助は奥歯をかみ締める。
真田家の女当主ともなれば、いくつもの縁談が舞い込むべきだろう。
だが、幸村は並み居る武田諸将の誰よりも武勇誉れ高い。若い男は幸村に対して引け目を感じるようになり、いつしか縁談など遠いものとなっていた。
「男を見つけ、己で選ぶ。幸村は、それくらいで丁度よかろう」
佐助は不機嫌だった。
なんであんな男なんだ。もっと、他にいるだろう。
傍にいて、幸村を大切にしてくれる人。

――いる。そう、いるはずだ。
「……もっと、いるでしょ。旦那を大切にして、真田の家を盛り立ててくれる人が」
「そのような男に、幸村が御せるとは到底思えぬわ」
信玄はおかしそうに笑い、懐かしむように目を細めた。
「全身全霊をかけてぶつかれる相手が見つかった。よいことではないか。
……それがたまたま、敵将であっただけよ」


これでよかったのだろう。戦に出て、干戈を交えるような相手を、幸村は選んだ。
それが、幸村の定めなのだろう。信玄といえども、どうすることもできない。
別れの時に、信玄は幸村の体を久方ぶりに抱きしめ、髪を撫でた。
しなやかな体。甘く香る髪。いつの間にか「女」になっていた。
娘を嫁に出すよりも辛いな、と幸村を撫でた手を見た。
信玄の知らない甘い匂いが残っていた。

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