戦国BASARA/エロパロ保管庫

木賊

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とんとんと小気味良く響く包丁の音がする。
日の暮れかけた台所に一人立つまつの前には、刻まれた山盛りの野菜が鎮座して、今尚その嵩を増やし続けている。
時折開けられる幾つもの鍋の蓋から漏れ出る胃袋をくすぐる匂いに、背後の座敷でごろりと横になっていた元親は、目を閉じたまま満足げに鼻を鳴らした。
「いつもながら、匂いだけで腹が鳴いてらぁ」
「もうしばしで出来ますゆえ」
まつがくすくすと笑いながら背中越しに元親を振り返って言った。
声にも表情にも、好意的なあたたかさがある。

夫を伴って長宗我部領に釣りをしに(密漁ともいう)来た際の口約束を、まつは律儀に守り続けていた。
今では多ければ週に一度、決して近くは無い自領から、こうして海の男達に自慢の手料理を振る舞いにやってくる。
美味くて温かい料理に綺麗な女、只でさえ女っ気の少ない海賊達に諸手を上げて歓迎され、あっという間にまつは元親の部下達と馴染んでいた。
態度や口調こそ荒っぽいが、海賊達は裏表の無い真っ直ぐな人間ばかりで、自国の人間と接している時のような気安い快さがある。
きっと、上に立つ人間に似たのだろう。
時に大きな童のような、この男。

小さく歌を口ずさみながら鍋をかき混ぜるまつの背中が随分と楽しげに見えるのが不思議で、元親は立ち上がってその背に近付いた。
「何がそんなに楽しいんだい?」
「元親殿、今日ののっぺい汁は今までで一番の出来でござりまするよ」

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