戦国BASARA/エロパロ保管庫

木賊2

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bsr_e

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重なる行き来の内に、長宗我部殿からいつの間にか変わった己の呼び名がこそばゆい。
逆に、回を重ねる事にまつの名前を呼ぶのに僅かに身構えるようになった自分の柄にも無い青臭さが、元親にはおかしかった。

「いつもそう言ってるじゃねえか」
「作る度に、その前を上回る会心の出来なのでござります」
「そうかい」
「そうです!」
「そうかい」

たったそれだけの事に誇らしげに笑む顔が人の妻とは思えぬ程無邪気で幼く、元親は思わず釣られて歯を見せた。

「元親殿は時折童のようですね」

それを見てより一層笑みを強くしたまつが、先ほどから頭に思い浮かんでいた言葉をつと口にする。

「笑った本当の理由はそっちかい」
「決して馬鹿にしている訳ではござりませぬ。そういう所が可愛らしく見えてならないのです」
「おいおい、泣く子も黙る鬼ヶ島の頭領に、言うに事欠いて可愛いはねェだろ。第一、俺のが年も上じゃねェか」
「殿方は幾つになってもやや子のようですよ。犬千代様に良く似ておられまする」

滲み出る愛おしさが自然過ぎて、ともすれば聞き流してしまいそうになる夫への愛。
いつもならば犬も食わないと笑い飛ばしているなんの事はない言葉が、存外な不快さで元親の腹の中に沈んだ。
似ている、その単語が何故だか妙に気に食わなかった。

「利家と俺、かァ?似てンのは腹が剥き出しな所ぐらいだろうが」
「うふふ、まつの好きな所が、良く似ておられまするよ」

又だ。
こそばゆさと共にぴりりと刺さる一抹の不快感。
だが元親はそれをおくびにも出さずに軽く笑って視線を鍋に移動した。
まつは目ざとくそれを確認すると、小皿に熱々の汁を取り分けて息を吹きかけ冷まし始める。

「元親殿、お味見を」

にっこり笑って差し出された皿に、元親はそのまま顔を近付けた。
啜った味噌汁は舌がぴりつく程にはまだ熱く、懐かしい味がする。

「如何でござりまするか」
「あぁ、美味ェ。あいつらも喜ぶな」
「嬉しゅうござります」

子供みてえなのはアンタの方だろうが。
元親はまつの顔を見下ろす。
胃袋も腹のもっと奥の所もあたたまるような、心からの笑顔があった。
常日頃接する武家の女達のような気位の高さも、人の妻である事による徒っぽさもまるでなく、向けられるのはいつだって明け透けなまでに真っ直ぐな感情。
春光のように染み入るのは、童の如き無邪気な好意だった。

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