「片倉さん……」
「……ッ」
「……ッ」
――――ああもう完全に二人の世界だ、と政宗はげっそりしながら思った。
某主従のように、周りに花が咲き乱れているのが見えそうだ。
ただ、花といっても薔薇ではなくて……何だろう、チューリップとかその辺りか。それにしてもいい年をして、妙に様子が初々しい二人である。
逃げるなら、今の内だな。
政宗は縛られたまま、もぞもぞと、それこそ毛虫のように地面を這いずり始めた、が、
某主従のように、周りに花が咲き乱れているのが見えそうだ。
ただ、花といっても薔薇ではなくて……何だろう、チューリップとかその辺りか。それにしてもいい年をして、妙に様子が初々しい二人である。
逃げるなら、今の内だな。
政宗は縛られたまま、もぞもぞと、それこそ毛虫のように地面を這いずり始めた、が、
「こぉら、どこに逃げようとしてんのかなぁお馬鹿さん?」
ぐに、と背中を佐助に踏みつけられて、政宗は思わず肝を冷やした。
「……は、HAHAHAHAHA……」
とりあえず、笑ってみるが。
「笑って誤魔化してもだーめ。これからたっぷりお仕置きだよぉ竜のダンナァ? 覚悟してねぇ?」
にーっこり、と空恐ろしいほどにこやかに笑いながら、佐助が取り出したのは。
――――史上最強の擽り兵器、『孫の手』。
さぁっと政宗の顔から血の気が引いた。
――――史上最強の擽り兵器、『孫の手』。
さぁっと政宗の顔から血の気が引いた。
「ぎゃあああああああああ勘弁してくれ助けて小十郎ヘルプミィイイイイイイイイイ!!!!」
「今回ばかりは庇いたて出来ませぬのでこってり絞られますよう」
「テメェコノヤロォォオオオはははははははやめろくすぐってぇええええええええええ!!」
「今回ばかりは庇いたて出来ませぬのでこってり絞られますよう」
「テメェコノヤロォォオオオはははははははやめろくすぐってぇええええええええええ!!」
そーれこちょこちょこちょーと腋やらそこかしこを擽られて政宗は既にひぃひぃ言っている。
それを満足げに眺めつつ、決して手は休めない辺り佐助は鬼である。
ふと、その鬼は顔を上げて、小十郎を見た。真剣な表情である。
彼女の言わんとしているところは、小十郎にも何となく分かった。
それを満足げに眺めつつ、決して手は休めない辺り佐助は鬼である。
ふと、その鬼は顔を上げて、小十郎を見た。真剣な表情である。
彼女の言わんとしているところは、小十郎にも何となく分かった。
「にしても……許すまじだね、この作者」
「ああ、この落とし前はきっちり付けねぇとな……」
「ああ、この落とし前はきっちり付けねぇとな……」
辛うじて残っていた春本の裏表紙には、作者の名前がこう記されていた。
『麻津奈雅 妃沙英』と。