戦国BASARA/エロパロ保管庫

春嵐

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nozomi

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家康(♀)の片思い編。
…忠勝×家康が王道かもしれませんが、密かに元親×家康に燃えてみたい。




季節も春になれば海を渡る風も柔らかくなる。

気持ちよいな、と徳川家康は何気なく手摺りに凭れかかる。
奥州に行くついでだと言って、長曾我部元親が三河まで送ってやろうと船に乗せてくれたのがつい先日。
港を出てまだそんなに日は経っていないが、陸が恋しい、と青い水面をぼうっと眺めていた。
「おい家康、そんなに身を乗り出すと海に落ちるぜ?」
不意に後ろから声をかけられ、家康は慌てて振り向いた。
「あ、ああ、何だ…別に景色眺めていただけだぞ、元親」
「この季節の海は引き込まれそうになるからな、気をつけろよ」
ぽん、と頭に手を置かれ、わしわしと短い髪を弄られる。
六尺を超える元親と並べば、まだ五尺足らずの家康など子供のように見えるのだろう。
「わしを子供扱いするな!」
ぷぅ、と頬を河豚のように膨らませてじっと上目遣いに睨む家康の顔に、元親は苦笑するとすまねえな、と言って背を向けた。
「もう少し行くと、ちぃっとばかり難所を通るから揺れるぜ、その前に中へ入ってな」
船に慣れていないなら尚更だ、と気遣う言葉に、思わずドキリとする。
この国ではあまり見かけない彫りの深い顔立ちはどこか異国風にも見え、透き通る瑠璃紺の隻眼を細めて笑む彼に見惚れる。
まだ発展途上の体のほんの膨らみかけた胸の奥に感じる奇妙な感情。

…いやいや、あいつは戦友だ。
自分にとって彼は頼もしい仲間なのだ。

去っていく広い背中を見ながら、家康は心の中に沸いた未知の感情をそう解釈した。
ぶんぶんと頭を振って少し冷やすと、顔を上げてその姿を追った。
船室へと入っていくのを追い、声をかけようとしたが、その隣に人が居る事に気付き足を止めた。
「あれは…」
特徴的な翠の具足を纏ったその姿を認めた途端に家康は不機嫌になった。
彼女の細い腕がするりと元親の首へと回されたかと思うと、そのまま二人の顔が近付く。
元親の腕も相手の華奢な体を抱きしめるように伸ばされた。
微妙に物陰となりはっきりと分からないが、何をしているのか分からないほど子供ではない。
それ以上見ていられなくなり、ぐっと拳を握って視線をそらす。
大丈夫だ、自分は平常心だ、と言い聞かせると、家康は深呼吸を一つした。
そのまま再び元親の背を追うように目を向けると、元親の背中越しに彼女…毛利元就と目が合った。
彼の肩に手を添えるように置き、薄い唇の端を上げるように笑む。
ちらりと元親の顔へ視線を向けてから琥珀のような色合いの切れ長の瞳を嫣然と細める。
「…っ」
ずきり、と家康の胸の奥に小さな破片が突き刺さる。
何故、そう思うのかも分からず、家康はくるりと踵を返すとその場を走り去った。

「どうした?」
元親は元就の視線の先を追ったが、そこにはもう誰も居ない。
「気に入らぬ」
低く呟いた冷たい声音に驚き、元親は隻眼を大きく見開く。
「は?」
「…何でもない、独り言ぞ」
額を肩へと預けるようにそっと体を寄せてきた彼女の腰へと腕を回し、元親は胡桃色の髪をそっと撫でた。


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