「ああ…それがしの…飯が…」
がっくり肩を落とす夫に、まつはにっこり笑って言った。
「もう一度、作り直しまする。四郎丸も、お腹をすかせておりますれば」
「…そうかー!じゃあ、みんなで、夕飯にするかー!!
まつ、それがし、明太子の握り飯がいいぞ!」
「ええ、ただいま」
がっくり肩を落とす夫に、まつはにっこり笑って言った。
「もう一度、作り直しまする。四郎丸も、お腹をすかせておりますれば」
「…そうかー!じゃあ、みんなで、夕飯にするかー!!
まつ、それがし、明太子の握り飯がいいぞ!」
「ええ、ただいま」
幸せそうな夫婦の声に、わん!と、四郎丸が元気に吠えた。
「それより、まつ、脚…?」
忘れていた。はっとして赤くなるまつに、利家がきょとんとして言う。
「葱と味噌汁が、脚にまで」
「それより、まつ、脚…?」
忘れていた。はっとして赤くなるまつに、利家がきょとんとして言う。
「葱と味噌汁が、脚にまで」
…え?
よく見ると、自分の太ももには、味噌汁の具だった葱のかけらがついている。
その上、四郎丸にじゃれつかれたため、泥だらけだった。
善くない誤解をしていた自分が、恥ずかしくも滑稽で、思わず笑ってしまった。
「ふふ…、恥ずかしゅうござります」
「まずは風呂に入るか!それがしがまつの背中を流す!」
「まぁ、犬千代さまったら」
その上、四郎丸にじゃれつかれたため、泥だらけだった。
善くない誤解をしていた自分が、恥ずかしくも滑稽で、思わず笑ってしまった。
「ふふ…、恥ずかしゅうござります」
「まずは風呂に入るか!それがしがまつの背中を流す!」
「まぁ、犬千代さまったら」
夕暮れの夏。暖かいご飯の匂い。
「まつ、大好きだー!!」
「犬千代さま、まつめも、お慕いしておりまする」
「犬千代さま、まつめも、お慕いしておりまする」
前田家には、
今日も、幸せな笑い声。
今日も、幸せな笑い声。