戦国BASARA/エロパロ保管庫

ハナシノブ3

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bsr_e

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二度と着けるまいと思ったあの簪の夢を、最近頻繁に見る。
本来捨てるべき物だがつい捨てる機会を逸し、今でも越後に置いたままだ。
目を覚ますと丁度夜が明けた頃だった。空気はまだシンと冷えている。
身体を起こして見ると左足の痛みは引いていたし、利き手の感覚も戻っていた。
天王山で風魔に敗れてからもう四月経つ。
辛うじて自分が今生きているのは世話焼きな同郷出身者のお陰だった。
自らも重傷を負いながら彼は燃え盛る山頂から自分を抱えて落ち延びた。
追手が掛かる事を虞て繋ぎを入れるのも憚られ、用心深く居を転々として
漸く二月前に上田城下の外れにある彼の家まで辿り着いた。
初め一月はどちらも這うのが精一杯だったが、自分だけは上田に来てからも
暫く床に就いていたのだ。
山崎からの度重なる移動の際、彼はずっと左足に深手を負った自分を背負った。
最初は背負う背負わないで大喧嘩したものだ。
お互い気が立っていたせいで軽い口喧嘩すら数日尾を引き険悪さに
拍車を掛けたが、結局かすがが折れた。
同郷出身者の一度決めたら梃子でも動かない頑固さを良く知っていたからだ。
独り身の彼の家は、三畳程の三和土と囲炉裏の付いた六畳の板間が一つ
有るだけの極めて簡素なものだった。
部屋の中も必要最低限の物があるだけで生活感が殆ど無い。
その殺風景な侘しさに、今まで空き家だったのではないかとかすがは思った。


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