戦国BASARA/エロパロ保管庫

集真藍の庭

最終更新:

bsr_e

- view
メンバー限定 登録/ログイン
「…雨も降らねば困るのだが」
そう言って毛利元就は薄暗い空を見上げた。
昨夜から振り続ける雨に軽く溜め息をつくと振り返る。
「夕刻には上がりそうですよ」
それでなくても貴女はいつでも不機嫌でしょう、と明智光秀は薄く笑いを浮かべた。
「用がなければ早々に立ち去れ!」
「まあまあ、そう言わずに」
むっと眉間に皺を寄せた元就の顔を見ながら、光秀はゆらりと立ち上がった。
縁側に立つ元就の肩へと手を置くと、再び庭へと視線を向ける。
「あちらをご覧なさい」
胡桃色の髪の合間から覗く白い耳朶へと唇を寄せて囁く。
そのまま小柄な体を後ろから抱きしめるように腕におさめると、すっと庭の一角を指した。
「雨に濡れた集真藍が綺麗ですよ」
光秀の視線につられたのか、元就もそちらへと顔を向けた。
しとしと振り続ける雨の中に、鮮やか青紫の花が浮かんでいる。
「こういう眺めもたまには良いでしょう?」
柔らかな声音に苛立っていた元就の心も不思議と和む。
「………ふん」
貴様にしては殊勝な心がけだ、と彼の視線から逃れるように俯く。
「私はこちらの花も愛でたいのですが、ね」
「何?」
はっと顔を上げた拍子にふわりと抱きかかえられた。
「少しだけ時間をくれませんか、元就公?」
端整な顔に微笑を浮かべつつも有無を言わせぬ口調で光秀は迫る。
「何が目的だ」
元就は相変わらずの無表情で色素の薄い光秀の瞳を睨み返す。
「言ったでしょう、花を愛でたいと」
「…戻らねば怪しまれるぞ」
「おや、私を心配して下さるので?」
お優しい言葉、と光秀の嬉しそうな声に、元就の眉間の皺は深くなる。
「我は要らぬ敵を作る気などない」
「そうですね…でも今の織田軍では毛利を倒す余裕がありませんから」
東の騒動を鎮めるまでは、と言いながら、光秀は腕に抱えた元就の唇へと軽く接吻を落とした。
「ふ………つまらぬ男よ」
嫣然と微笑を湛えながら細い腕を彼の首へと回すと、先程の返礼とばかりに口付けを交わす。

しとしと振り続ける雨が、やがて二人の声を掻き消した。

(了)

追記:集真藍=アジサイ
ウィキ募集バナー