戦国BASARA/エロパロ保管庫

月に群雲9

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nozomi

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あれから、生き残った武田兵は、傷の癒えたお館様の元に続々と集結し、再び武田は以前の勢いを取り戻していった。
俺は今、あの時の戦場を臨む小高い丘陵に来ていた。
もう、平地を埋め尽くす程の屍も、川の様に流れる血も、何も残ってはいない。
まるで惨劇などなかったかの如く。
俺が倒れた後も続いたであろう、敵味方なく殺し合う異様な光景。
それはどれ程の惨状だっただろう。
あれ以降、その忌まわしい香は使われていないらしい。
自軍の被害も尋常でなかった為か、それとも……
久秀とは会っていない。
あの屋敷に訪ねて行ったものの、隠れる様に姿を眩ました後だった。
風の噂では、人里離れた屋敷に住まい、文により松永勢の動向を指示しているらしい。あの頃と同じ様に。
三好の三人衆も生きていたのか、また久秀の元に集っているらしかった。
松永軍は、相変わらず人質を取ったり、罪もない農村を苦しめたりと言った戦を繰り返している。
何も変わってはいない。
いや、全てが元に戻っただけなのか。
だが、失われたものは戻らない。
それを確認するかの様に、俺は度々ここを訪れていた。
ふと、
「久秀……?」
向かいに見える丘陵に、久秀らしき人影を見つけて、俺は馬を繰った。
息切らせ駆け付けるが、そこには久秀どころか誰の姿も見えなかった。
無意識に会いたい想いがあったとでも言うのか。
思えば不思議な関係だった。
心を閉ざした俺を抱きながら、あの男は何を想っていたのだろう。
そして再び会って、俺はどうするつもりなのだろう。
分からない。
その時が来るまでは。
とりあえず、生きている。
それだけだ。
時は戦国、世は大乱。
明日を知れぬ我が身ながら、それでも今日を、生きている。
あの男もまた、この空の続くどこかで生きている。
それだけだ。
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