戦国BASARA/エロパロ保管庫

禁じられた火遊び4

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nozomi

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戦勝の宴や報告、論功行賞も、幸村は欠席した。己の居室で臥せている。
「政宗様より褒美を頂いたと、伝えてくれるか」
女中に金子が入った袋を渡す。女中ははあ、と間抜けな声で返事をすると、小十郎を見上げた。
「小十郎様がお渡しになられれば、よろしいのではありませんか?」
「……事情があるんだよ」
女中は不思議そうな顔を小十郎に向けるが、やがて頭を下げて幸村の居室に向かった。

あの夜以来、顔を合わせていない。
幸村は殿で行軍し、屋敷に戻っても水を浴びてそのまま居室に籠った。様子を
女中に尋ねれば、一晩川に浸かっていたせいで熱を出し、ずっと臥せっているという。
どうかしていた、と言えばそれまでだ。だが、あの時はとにかく幸村を犯したいと思った。
暴れる手足を抑えつけ、ねじ伏せるのがどうしようもなく楽しかった。
「……不毛だ」
ため息をつき、きびすを返す。少し歩いてから振り返った。

この角を曲がれば、幸村の居室がある。兵法の書物と武具や馬具に溢れ、裁縫道具などの
女を感じさせるものは少ししかない。
この屋敷の中で一番日当たりがいい部屋で、ゆっくりと一日を過ごすのにうってつけの部屋である。
同じ屋敷に住んでいるのだから、居室の奥にある閨に向かえばいい。
(謝って……許される話ではないな)
愛しいと思う。だが、犯したいとも思う。
慈しみたいという思いと虐めたいという思いが、小十郎の中に同時に存在している。
どちらかだけなら、楽なものなのだが。

己の居室に入り、ごろりと横になった。昼間からだらしないと思うが、何もする気に
なれない。幸い、しばらく休めと政宗から言われている。
小十郎は腕を枕にすると寝返りを打った。
酒が欲しいと思った。だが、酌の相手は臥せっている。



ぱちりと目が覚めた。体を起こし、障子を開ける。
しん、と夜の気配が満ちている。いつの間にか眠っていたらしい。
情け程度の膳が置かれているが食べる気になれず、小十郎は膳を隅に置いた。
幸村はどうしているだろうか、と思った。
顔が見たい。話がしたい。
幸村は、己のように複雑なものを持っていない。
きっと、幸村は怒り狂っているだろう。俺は慰み者か、と怒鳴ってくるに違いない。
そういう気性の女だ。
善と悪。正と負。まっすぐな性分だから、なんでもはっきりさせたがる。
「……避けても、しょうがない」

誰も起こさないように気をつけて足を運び、幸村の居室の前に立った。
部屋の明かりは既に落ちている。眠って大分時間が立っているだろうな、と思った。
両膝を折り、顔を伏せた。
「幸村」
念のために声をかけると、息を飲む気配がした。緊張感が漂う。
まだ起きていたのか。日が暮れると眠り、夜明けとともに目覚める女が、珍しいこともあったものだ。
「その……入るぞ」

「なりませぬ」

障子に手をかけると、拒絶の言葉が飛んだ。
無理もないな、と苦笑する。
「……怒っているか」
「! 当たり前でござろう!」
「……俺を、許せんか。そうだろうな」
ごそごそと、褥の中で人が動く音がした。小さな足音がして、障子の向こうに人の気配が近づく。
「……分からぬ」
「分からねぇ、だと?」
かさ、と障子紙が鳴った。幸村が手を寄せているそこに、小十郎も手を添えた。
障子越しに、温もりを感じる。
久しぶりに感じる、幸村の体温だった。

「……傍にいたい。けれど、恐ろしい。またあのような目にあいたくない。
けれど、抱かれたい。……許したいのか、許せぬのか、俺にも分からぬのだ」
複雑なものを幸村も抱えているのだ。
当たり前の事に、小十郎は驚いた。
まっすぐで明るく、例えるならば日差しのような女。負の感情など抱くはずがないと、
勝手に思っていた。
「……俺は、小十郎殿の何だ?」
できることなら、障子を開けて抱き締めたい。だが、それをすれば幸村に対して無体を働きたくなる。

大事にしたい。壊したい。
愛しい。虐めたい。

「……お前を抱きたい。……だが、今、お前を見たら、また同じ事をしてしまう」
大切な女なのに、無理やり犯し、泣き叫ぶ様を楽しみたいと思う。
最低な欲だ。
もう、どうすればいいのか分からない。
「……お前が俺の閨に来るまで、俺は待つことにする。今日はもう寝るから、お前も休め」
「小十郎殿……」
立ち上がって、背中を向けた。

答えを幸村に放り投げた。情けないな、とため息をつき、小十郎は己の部屋に戻った。


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