城下見学が終わった後、小太郎は件の尾行者について調査するため、氏政から目を離していた。
この隙に、氏政は佐助との「秘密の特訓」に励んでいたのだが、二人っきりで逢っている事は、小太郎にはしっかりバレていた。
だが、何の理由があって、自分に何も言わずに逢っているのかまでは小太郎は知らない。
氏政に限って…とは思ってはいるが、どうしても嫌な事ばかり考えてしまう。
この隙に、氏政は佐助との「秘密の特訓」に励んでいたのだが、二人っきりで逢っている事は、小太郎にはしっかりバレていた。
だが、何の理由があって、自分に何も言わずに逢っているのかまでは小太郎は知らない。
氏政に限って…とは思ってはいるが、どうしても嫌な事ばかり考えてしまう。
心なしか重い足取りで宿泊先の離れに戻ってみると、氏政が縁の下で団子を頬張っていた。
小太郎に気づいた氏政が、手招きする。
「佐助…武田の忍が茶菓子を用意してくれての。なかなか美味いぞ。お前もどうじゃ?」
鉢金の下の小太郎の眉間に皺が寄る。
——またあの忍か。
あの忍とは別に何もない事位はわかっている。…でも、楽しそうに自分以外の男の話をする
氏政を見るのは、はっきりいって面白くない。今日こそははっきり伝えないと…
——またあの忍か。
あの忍とは別に何もない事位はわかっている。…でも、楽しそうに自分以外の男の話をする
氏政を見るのは、はっきりいって面白くない。今日こそははっきり伝えないと…
そんな小太郎の心情をよそに、氏政は団子を頬張りながら、ふと幸村に付き従い戦場を駆け回る佐助を思い出した。
恐らく佐助は、幸村殿とは男女の関係はあるまい。紛れもなく主従じゃ。
佐助は幸村殿の事を…それは何となく解かっていたが、よっぽどの事がない限り、
佐助はきっと自分から一線を越える事はないじゃろう。
佐助は幸村殿の事を…それは何となく解かっていたが、よっぽどの事がない限り、
佐助はきっと自分から一線を越える事はないじゃろう。
まっすぐで、揺るぎのない、それでいて何処か危うげな二人の間柄だが、好いた惚れたを抜きにして、互いに命を、背中を預けあい、それでいて馴れ合いもせず、何も語らずとも理解しあっている。
—そんな二人の姿を見て、何とも言えぬ高揚感に駆られた。
—そんな二人の姿を見て、何とも言えぬ高揚感に駆られた。
ああ、あの二人は、紛れも無い主従なのだ。
そう確信した瞬間、無意識に氏政は言葉を洩らした。
そう確信した瞬間、無意識に氏政は言葉を洩らした。
「虎の若子殿が羨ましいのう…」
氏政が羨ましいと思ったのは、勿論「信頼しきった主従関係にある二人に」だ。
他意など無い。
他意など無い。
が、その言葉を聴いた瞬間、小太郎の中で何かが切れた。




