戦国BASARA/エロパロ保管庫

a due8

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また冬がやって来た。
真夜中近く、白い息を吐きながらかじかむ指で自販機のボタンを押す。
温かい紅茶の缶をコートの右ポケットに入れ駅までの道を歩き出した。
終電に滑り込んで二駅離れた自宅に着く頃には丁度飲み頃になっているはずだ。
寒い夜に缶コーヒーが入ったポケットの中であいつと手を絡めたまま歩いた。
あの時頬が熱くなったのはどうしてだったんだろう。
――全く呆れるね
古い友人が電話越しに溜め息を吐く。
――君、彼の事が好きだったんだよ。鈍感なのは相変わらずかい?
見当違いも甚しい。
今も昔も自分が好きになるのは教授のようなタイプだ。
あんな奴寧ろ対極ではないか、と抗議すると古い友人は「やれやれ」と呆れていた。
(……?)
見間違いだろうか、あいつに良く似た人物が近付いて来る。
「よ、久し振り。元気だった?」
飄々と声を掛けて来たのは、間違い無くあのユルくて軽薄な笑顔だった。
「秋から地方に転勤になっちゃってさ。参ったよ。
何しろ急だったからちゃんと挨拶にも来れなかったろ?
 やっと暇が出来たから久し振りに店に行こうと思ったけど遅かったか」
こんな不意打ちは狡い。
突然消えて急に現れるなんて身勝手過ぎる。
肩の力が抜け、ポロポロ涙が零れて来た。
「……って、ちょっと!どうしたの?」
何故か涙は止まらない。俯くとよしよし、と頭を撫でられた。
「止めろ、触るな!」
それってさ、とおどけた声が言う。
「抱き付いて言う台詞じゃないんじゃない?」
「五月蠅い。黙れこのホラーマニア」
「やれやれ。相変わらずだねぇ」
久々に聞く少し呆れた柔らかい声も変ってなくて歌姫は安心した。

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