自分の部屋じゃないみたいだと思った。
眠れない歌姫とは対照的に隣りの橙色は軽い鼾をかいている。
(……人の気も知らないで)
間近で見る幸せそうな寝顔が小憎らしくて頬を抓ってやろうか半ば本気で考えた。
ベッド脇に置かれた紅茶の空き缶の横に視線をずらせば、
ギザギザで縁取られた正方形の小さな袋が二つ、口を開けて反っくり返っている。
さっきゴミ箱へ捨てられたアレは可燃ゴミなのか生ゴミなのか疑問が湧いた。
(気持ち悪い…)
シャワーを浴びながら下腹の辺りを擦る。
痛みは無いが腹の中を抉られ引っ掻き回された様な感覚がまだ消えなかった。
ザワつく嫌悪感が全部排水溝へ流れてしまえば良い。
浴室から出てもまだ橙色は眠っていた。
(いつまで裸のままなんだ)
冷蔵庫から出したミネラルウォーターを飲みながら横目で突っ込む。
この部屋に人が来た事は無かった。
大学進学の折に母の母国へ移住した両親などたまに手紙を寄越すだけで
まだ一度も訪れていない。
毎年クリスマスカードが届くのが唯一の交流だろうか。
古い友人を呼ぼうと思った事はあったが、都会の空気が彼に障るかもしれないと
考えて止めた。
初めてだったのに全く出血せず拍子抜けしたし、最中の橙色は別人の様に無口で
唯一言われたのは「入れるよ」だけだった。
全部がギクシャクしていて出来の悪い芝居を観ている気分だ。
(ああ、それで気持ち悪いんだ)
納得して冷蔵庫の扉を閉め、ベッドの上で熟睡している橙色に
蹴りを一発お見舞いする。
「ぐはっ!!」
「退くか寄るかしないか。寝れないだろう」
「ちょっとは優しく起こしてよ…」
腕の中で寝ないかと誘った橙色は「下着ぐらい着けろ」ともう一発蹴りを喰らって
泣く泣くベッドの片隅で丸くなった。
眠れない歌姫とは対照的に隣りの橙色は軽い鼾をかいている。
(……人の気も知らないで)
間近で見る幸せそうな寝顔が小憎らしくて頬を抓ってやろうか半ば本気で考えた。
ベッド脇に置かれた紅茶の空き缶の横に視線をずらせば、
ギザギザで縁取られた正方形の小さな袋が二つ、口を開けて反っくり返っている。
さっきゴミ箱へ捨てられたアレは可燃ゴミなのか生ゴミなのか疑問が湧いた。
(気持ち悪い…)
シャワーを浴びながら下腹の辺りを擦る。
痛みは無いが腹の中を抉られ引っ掻き回された様な感覚がまだ消えなかった。
ザワつく嫌悪感が全部排水溝へ流れてしまえば良い。
浴室から出てもまだ橙色は眠っていた。
(いつまで裸のままなんだ)
冷蔵庫から出したミネラルウォーターを飲みながら横目で突っ込む。
この部屋に人が来た事は無かった。
大学進学の折に母の母国へ移住した両親などたまに手紙を寄越すだけで
まだ一度も訪れていない。
毎年クリスマスカードが届くのが唯一の交流だろうか。
古い友人を呼ぼうと思った事はあったが、都会の空気が彼に障るかもしれないと
考えて止めた。
初めてだったのに全く出血せず拍子抜けしたし、最中の橙色は別人の様に無口で
唯一言われたのは「入れるよ」だけだった。
全部がギクシャクしていて出来の悪い芝居を観ている気分だ。
(ああ、それで気持ち悪いんだ)
納得して冷蔵庫の扉を閉め、ベッドの上で熟睡している橙色に
蹴りを一発お見舞いする。
「ぐはっ!!」
「退くか寄るかしないか。寝れないだろう」
「ちょっとは優しく起こしてよ…」
腕の中で寝ないかと誘った橙色は「下着ぐらい着けろ」ともう一発蹴りを喰らって
泣く泣くベッドの片隅で丸くなった。




