肩を抱いた彼の熱を思い出し、元就は小さく溜め息をついた。
その時、何かが爆発する音が遠くで聞こえた。
反射的に顔を上げるが、視界を遮られている状態では何も分からない。
急に騒然としてきた邸内の様子に、元就も異変を感じた。
先程の侍女の話では、織田はまもなく全国を平定する予定ではなかったのか。
「全員配置につけぇ!」
留守を預かる将の声が響き、がしゃがしゃと鎧の擦れ合う音が聞こえる。
次第に近付く剣戟の音、喉を嗄らして怒声を張り上げる将の声、人を斬りふせる肉を断つ音。
どうやら奇襲を受けているようだが、この状況では自力で脱出など出来ない。
「これが我が人生のしめくくりか」
何と呆気ない事よ、と元就は軽く嗤う。
その時入ってきた声に我が耳を疑った。
「元就、どこにいやがる!」
バァン、と戸を蹴破り、部屋に入ってきたと思われる方を向く。
「……長曾我部?」
何故ここに彼が居る、四国の地で織田と戦っているのではないか、などといくつもの疑問点が浮かんだ。
「やっと見付けたぜ、ほら帰るぞ」
長曾我部は元就の手首を戒めていた綱を断つと、目隠しの布を外した。
久方ぶりの光に目を焼かれそうになり、慌てて瞑り、元就はゆっくりと瞼を開けた。
「どうしてここに居る」
「そりゃあ元就を助けに来たに決まってんだろ」
立てるか、と聞かれ首を横に振ると、そのまま元就の痩躯を抱え上げた。
「ん、ふぁ……」
腰を抱き寄せられただけで、体の奥から熱が上がり、膝の力が抜ける。
艶めいた声を上げ、頬を染めて喘ぐ元就の姿に、長曾我部も驚く。
「おい、元就」
「……あまり触るな、は、早う行け」
食事にも何か混ぜられていたのだろう、どんな刺激も今の元就には耐えがたき快楽となって襲い掛かってくる。
唇を噛んで眉を顰めて必死に堪えているが、最後までもつのだろうか、という不安が付きまとう。
「前よりも細くなったなぁ」
「う、煩い」
「ははっ、それだけ元気なら大丈夫だろ」
引き上げるぜ、野郎共、と号令を掛けると、碇槍に乗って地を蹴り上げる。
びゅん、と風を切り、一気に館の外まで来ると、次の瞬間には轟音と立てて崩れ落ちた。
反射的に顔を上げるが、視界を遮られている状態では何も分からない。
急に騒然としてきた邸内の様子に、元就も異変を感じた。
先程の侍女の話では、織田はまもなく全国を平定する予定ではなかったのか。
「全員配置につけぇ!」
留守を預かる将の声が響き、がしゃがしゃと鎧の擦れ合う音が聞こえる。
次第に近付く剣戟の音、喉を嗄らして怒声を張り上げる将の声、人を斬りふせる肉を断つ音。
どうやら奇襲を受けているようだが、この状況では自力で脱出など出来ない。
「これが我が人生のしめくくりか」
何と呆気ない事よ、と元就は軽く嗤う。
その時入ってきた声に我が耳を疑った。
「元就、どこにいやがる!」
バァン、と戸を蹴破り、部屋に入ってきたと思われる方を向く。
「……長曾我部?」
何故ここに彼が居る、四国の地で織田と戦っているのではないか、などといくつもの疑問点が浮かんだ。
「やっと見付けたぜ、ほら帰るぞ」
長曾我部は元就の手首を戒めていた綱を断つと、目隠しの布を外した。
久方ぶりの光に目を焼かれそうになり、慌てて瞑り、元就はゆっくりと瞼を開けた。
「どうしてここに居る」
「そりゃあ元就を助けに来たに決まってんだろ」
立てるか、と聞かれ首を横に振ると、そのまま元就の痩躯を抱え上げた。
「ん、ふぁ……」
腰を抱き寄せられただけで、体の奥から熱が上がり、膝の力が抜ける。
艶めいた声を上げ、頬を染めて喘ぐ元就の姿に、長曾我部も驚く。
「おい、元就」
「……あまり触るな、は、早う行け」
食事にも何か混ぜられていたのだろう、どんな刺激も今の元就には耐えがたき快楽となって襲い掛かってくる。
唇を噛んで眉を顰めて必死に堪えているが、最後までもつのだろうか、という不安が付きまとう。
「前よりも細くなったなぁ」
「う、煩い」
「ははっ、それだけ元気なら大丈夫だろ」
引き上げるぜ、野郎共、と号令を掛けると、碇槍に乗って地を蹴り上げる。
びゅん、と風を切り、一気に館の外まで来ると、次の瞬間には轟音と立てて崩れ落ちた。