戦国BASARA/エロパロ保管庫

闇の蝶5

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※触手陵辱系含みますので苦手な方はご注意下さい。
※流血表現っぽいものもあります。


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一足遅ければあやうく大怪我を負うところだった。
やれやれ、と安堵すると手際よく引き上げてきた野郎共の無事を確かめる。
そして視線を落とすと、腕の中でくたりとしたまま動かない元就に気付いた。
「大丈夫か、おい、元就!」
横抱きに抱え上げたまま肩を揺らしてみるが、身動ぎ一つしない。
あの乱戦の中、まさか流れ弾でも当たったのだろうか、と最悪の事態が脳裏を過ぎる。
だが、胸元が浅く上下しているのを見て、辛うじて息はしているのだと分かると全身からどっと力が抜けた。
「ったく、驚かせやがって」
幽閉により体力が落ちていた所を掻っ攫ってきたので、無理をかけてしまったのだと結論付け、痩躯をしっかりと抱えなおす。
胡桃色の髪をそっと撫で、元就の頭を自分の肩へ凭れ掛けさせる。
「……ねえ、連れて行くの?」
突如、地面から沸いた闇色の手の中からぼうっと浮かび上がる人影に、長曾我部は距離を取って身構えた。
この状況では武器を持てない。ちらりと周囲を探れば他に敵兵の姿はなさそうだった。
牡丹色の裾の短い鎧から覗くほっそりとした足は白く、長く伸びた髪は射干玉の闇。
けぶる睫毛の縁取る大きな瞳は虚無を映し、紅く色付いた唇にはうっすらと笑みを浮かべていた。
「長曾我部様は兄様の盟友ではなかったの……?」
ひたり、ひたり、と血を滴らせながら女が近付いてくる。
怪我をしているのか、白い足を濡らす鮮やかな紅が地面に跡を残しながら、じわじわと。
日輪が照らしているにも関わらず、影は落ちていない。
「ひどいことをするのね」
ふふ、と形良い唇を三日月のように歪め、手にした双頭薙刀を振り上げる。
「……毛利様には何もないの、だから市が」
一気に膨れ上がった闇が放出され、巨大な手の形を取って迫ってくる。
「遊んであげるの、ふ、ふ、ふふ」
狂ったように嗤いながら、恐ろしい速度で振り回す薙刀が長曾我部に襲い掛かってきた。
腕に抱えた元就に攻撃が当たらないように注意しながら、何とか紙一重でそれらを避ける。
「悪いが、ここを通してもらうぜ!」
大きく横に振った薙刀を交わすと、長曾我部は市の背を蹴り上げた。
「何ッ!?」
それは砂の山を蹴ったような感触であった。
色彩を失った市の姿は闇と同化すると、どろりと崩れて落ち、煙のように消え失せた。
「……こいつは一体」
俺は夢を見ているのか、と隻眼を瞬かせたが、腕に受けた傷の痛みに現実である事を思い知らされた。



船室に横たわる元就の横顔を眺めつつ、長曾我部は手元の紙をくしゃりと握り潰した。
「やりきれねえな」
それは放った間者からの報告をまとめたものである。
東日本をほぼ手中に収め、豊臣、毛利を滅ぼした織田は、勢いに乗って武田・上杉連合軍を打ち破り、信玄、謙信の両雄を撃破。
だが、天下統一まであと一歩、という所で織田信長は配下の明智光秀の謀反に遭い、本能寺にて無念の死を遂げた。
血に飢えた明智の鎌はそれだけでは飽き足らず、義弟浅井長政とその妻市をも襲った。
大きな戦いによる痛手を癒す間もなくほぼ無傷の明智軍とぶつかる事になり、壮絶な最後を遂げたと聞く。
「……強い念を持ったまま死んだ奴は未練をもってこの世に留まるっていうが」
山崎で明智を破ったのは長曾我部軍である。
理性の光を宿したまま、狂気の海へと沈んでいく明智の最期の嗤い声。
『一度、死ぬとしましょうか』
甘美な死の誘いに端整な顔を恍惚とさせた彼の笑みは今でも瞼の裏に張り付いている。



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