白く明けていく空をぼんやりと眺めながら、元就は隣に眠る長曾我部の方へと視線を向けた。
あまり日にやけていない彫りの深い精悍な顔付きに、ひどく子供っぽい表情を浮かべる。
何事にも真っ直ぐ向かう素直さは自分にはないものだと、元就は苦笑した。
とても満たされた夢を見たような気がする。
「ん、どうした?」
夜明け前の空を見て、大きく欠伸をする声が聞こえた。
「すまぬ、起こしてしまったか」
穏やかに笑む元就の顔に、長曾我部は瑠璃紺の隻眼を瞬かせる。
花を綻ばせるような艶やかな笑み。
かつての氷の面から想像つかないものだ。
「やっと笑ったな」
俺が見たかった顔だ、と言い、細い顔へと手を伸べる。
胡桃色の髪を払って頬へと触れると、くすぐったそうに彼女は首を竦めた。
「ずっと眉間に皺寄せて、暗い顔していただろ」
軽く上体を起こして元就の体を組み敷くと、優しく接吻を落とした。
「なあ、子供は何人欲しい?」
にこにこと問い掛けてくる長曾我部の幸せそうな笑顔に、元就は呆れたように溜め息をついた。
「馬鹿もの」
気が早い、と横を向いてしまった彼女の体を抱き締めながら、そっと耳元で囁く。
「俺は多い方が良い」
両腕に抱えきれないぐらい欲しい。
冗談交じりとはいえ、この男ならやりかねないだろう。
「……も」
「ん?」
「我も、多い方が、その……っ、何を言わせる気だ!」
真剣に悩んでいたのが馬鹿らしく思え、元就は顔を真っ赤にして怒鳴ると、長曾我部に背を向けた。
「元就?」
小さな体を包み込むように背中から抱き締められた。
「知らぬ」
「……俺はしばらく元就とこうしていてえな」
勿論、子供は欲しいのだが、そればかりは神に祈るしかない。
「いいだろ?」
「仕方のない奴め」
それでも、ささやかな望みを叶えられるならば悪くない。
元就はそう呟いた。
あまり日にやけていない彫りの深い精悍な顔付きに、ひどく子供っぽい表情を浮かべる。
何事にも真っ直ぐ向かう素直さは自分にはないものだと、元就は苦笑した。
とても満たされた夢を見たような気がする。
「ん、どうした?」
夜明け前の空を見て、大きく欠伸をする声が聞こえた。
「すまぬ、起こしてしまったか」
穏やかに笑む元就の顔に、長曾我部は瑠璃紺の隻眼を瞬かせる。
花を綻ばせるような艶やかな笑み。
かつての氷の面から想像つかないものだ。
「やっと笑ったな」
俺が見たかった顔だ、と言い、細い顔へと手を伸べる。
胡桃色の髪を払って頬へと触れると、くすぐったそうに彼女は首を竦めた。
「ずっと眉間に皺寄せて、暗い顔していただろ」
軽く上体を起こして元就の体を組み敷くと、優しく接吻を落とした。
「なあ、子供は何人欲しい?」
にこにこと問い掛けてくる長曾我部の幸せそうな笑顔に、元就は呆れたように溜め息をついた。
「馬鹿もの」
気が早い、と横を向いてしまった彼女の体を抱き締めながら、そっと耳元で囁く。
「俺は多い方が良い」
両腕に抱えきれないぐらい欲しい。
冗談交じりとはいえ、この男ならやりかねないだろう。
「……も」
「ん?」
「我も、多い方が、その……っ、何を言わせる気だ!」
真剣に悩んでいたのが馬鹿らしく思え、元就は顔を真っ赤にして怒鳴ると、長曾我部に背を向けた。
「元就?」
小さな体を包み込むように背中から抱き締められた。
「知らぬ」
「……俺はしばらく元就とこうしていてえな」
勿論、子供は欲しいのだが、そればかりは神に祈るしかない。
「いいだろ?」
「仕方のない奴め」
それでも、ささやかな望みを叶えられるならば悪くない。
元就はそう呟いた。
(了)