ちゃぷん、と水音が聞こえ、岩陰の向こうで止まった。
「長政様、そっちに行ってもいい?」
更に近付こうとする市の気配を察すると、長政は慌てて声を荒げた。
「く、来るな、市!」
「……そう」
数瞬の沈黙を置いて、寂しげな彼女の答えが返ってきた。
「泣くな!そのなんだ、こっちは熱いから駄目だ、のぼせてしまうだろうが」
我ながら苦しい言い訳だと思ったが、今の精神状況で理性を保てる自信がなかった。
「……長政様は大丈夫?」
「ああ、私は大丈夫だ」
「でも……」
ちゃぷん、と妙に大きく聞こえた水音に驚いて長政が振り返ると、
そこには一糸纏わぬ市の姿があった。
長い黒髪を湯に濡れぬようにと上げているので、ほっそりとした首筋もよく分かる。
ほつれた髪が幾筋か張り付いており、それがまた艶かしく映る。
夫婦なのだから互いの裸を見るのが初めてという訳ではない。
とはいえ、開放的な雰囲気にいつもよりも互いを意識してしまい、かぁっと頭に血がのぼってしまう。
「顔が赤いよ、長政様?」
覗き込んでくる市の白く柔らかな胸が視界に入る。
「こ、これは何でもない、ぞ……」
次の瞬間、派手な水音を立てて長政は倒れた。
「長政様、そっちに行ってもいい?」
更に近付こうとする市の気配を察すると、長政は慌てて声を荒げた。
「く、来るな、市!」
「……そう」
数瞬の沈黙を置いて、寂しげな彼女の答えが返ってきた。
「泣くな!そのなんだ、こっちは熱いから駄目だ、のぼせてしまうだろうが」
我ながら苦しい言い訳だと思ったが、今の精神状況で理性を保てる自信がなかった。
「……長政様は大丈夫?」
「ああ、私は大丈夫だ」
「でも……」
ちゃぷん、と妙に大きく聞こえた水音に驚いて長政が振り返ると、
そこには一糸纏わぬ市の姿があった。
長い黒髪を湯に濡れぬようにと上げているので、ほっそりとした首筋もよく分かる。
ほつれた髪が幾筋か張り付いており、それがまた艶かしく映る。
夫婦なのだから互いの裸を見るのが初めてという訳ではない。
とはいえ、開放的な雰囲気にいつもよりも互いを意識してしまい、かぁっと頭に血がのぼってしまう。
「顔が赤いよ、長政様?」
覗き込んでくる市の白く柔らかな胸が視界に入る。
「こ、これは何でもない、ぞ……」
次の瞬間、派手な水音を立てて長政は倒れた。
目が覚めた時、市に膝枕された格好であったのはお約束。
そしてそれを皆にしっかりと見られていたのは、長政だけが知らなかった。
そしてそれを皆にしっかりと見られていたのは、長政だけが知らなかった。