雨音が、激しくなっていた。
「shit!」
政宗は大きく息を吐いて、片膝を立てた。
「俺の一押しは、小十郎だ!だが、俺には守役で、あいつにとっては俺は主。あの堅物に、
今さら、抱いてくれとも言えねえしなぁ」
政宗は大きく息を吐いて、片膝を立てた。
「俺の一押しは、小十郎だ!だが、俺には守役で、あいつにとっては俺は主。あの堅物に、
今さら、抱いてくれとも言えねえしなぁ」
「じかにあって驚いたのは、島津の爺さんの男前っぷりだ」
片膝を立ててその膝に顎を乗せている政宗は、猫のように左眼を細めた。
前かがみになると、豊かな胸が小袖の下から盛り上がって見える。
いつもは鎧で隠されてはいるが、こうして女人の姿に戻ると胸も腰もしっかりと張って、な
だらかな曲線が美しい。
片膝を立ててその膝に顎を乗せている政宗は、猫のように左眼を細めた。
前かがみになると、豊かな胸が小袖の下から盛り上がって見える。
いつもは鎧で隠されてはいるが、こうして女人の姿に戻ると胸も腰もしっかりと張って、な
だらかな曲線が美しい。
「爺め、もう少し若かったら、嫁に行きたいくらいだな」
「…酒臭かったけど……」
「うるさいぞ。竹中。どうせお前には、豊臣以外目に入んねえんだろ」
「…そのとおり」
「…酒臭かったけど……」
「うるさいぞ。竹中。どうせお前には、豊臣以外目に入んねえんだろ」
「…そのとおり」
「わかきりゅうは、しまづどののようなおのこが、おこのみか」
謙信の問いに、政宗が頷いた。
謙信の問いに、政宗が頷いた。
「そうらしいなぁ。俺が切りかかっても、余裕で跳ね飛ばして叩き伏せるようなのが、いい
なあ。信玄だと、なんか見慣れすぎて、嫁だ婿だという感じがしねえ。俺と奥州、まるごと
抱き取ってきれるような男がいいなあ。多少、強引でもいい。口煩くても、人の行儀に口出
ししても、俺のことを思ってくれればall right」
半兵衛と元就が、白い顔を見合わせていた。
これでは、片倉小十郎を婿にしたい、と、暗に言っているようなものである。
なあ。信玄だと、なんか見慣れすぎて、嫁だ婿だという感じがしねえ。俺と奥州、まるごと
抱き取ってきれるような男がいいなあ。多少、強引でもいい。口煩くても、人の行儀に口出
ししても、俺のことを思ってくれればall right」
半兵衛と元就が、白い顔を見合わせていた。
これでは、片倉小十郎を婿にしたい、と、暗に言っているようなものである。
この独眼竜を跳ね飛ばし叩き伏せる男が、この日本にどれくらいいるだろう。
彼女が嫁ぐのは、なかなか難しいかもしれない。
彼女が嫁ぐのは、なかなか難しいかもしれない。
「政宗君には、男前の守役が側にいるだろう。彼は、どうなんだい?」
「俺には、小娘の頃から小十郎が側に居たから、男ってのはああいうもんだと思って育った。
なよなよしたのや、裏表のある奴は、大嫌いだなあ。うん。…初めて会ったけど、長曾我部
もいいな。あの太い腕で、ぐっと抱きしめられてみたい。あいつは妻帯してないんだよなあ」
「いっそ、本多忠勝殿は、いかがか?政宗君」
半兵衛の言葉に、政宗はふと、遠くを見た。
「俺には、小娘の頃から小十郎が側に居たから、男ってのはああいうもんだと思って育った。
なよなよしたのや、裏表のある奴は、大嫌いだなあ。うん。…初めて会ったけど、長曾我部
もいいな。あの太い腕で、ぐっと抱きしめられてみたい。あいつは妻帯してないんだよなあ」
「いっそ、本多忠勝殿は、いかがか?政宗君」
半兵衛の言葉に、政宗はふと、遠くを見た。
「いや、忠勝を婿にとったら、あのうるさいのまでついてくるだろ。閨まで押しかけられた
ら、どうするんだ」
本多忠勝はありなのか、と、そちらで一同が驚いた。
ら、どうするんだ」
本多忠勝はありなのか、と、そちらで一同が驚いた。
「島津は爺だし、前田は嫁がいる。女に鼻毛を抜かれている浅井も好みじゃねえ。…大坂の
大猿にも、うるせえのがくっついてるし、信玄も真田もいまいち。……長曾我部しか、いな
いのか。うーん」
政宗が、ぶつぶつと呟くと、今まで沈黙していた元就が言葉を挟んだ。
「ち…長曾我部は……」
「…うん?」
「…いや。なんでもない」
元就が、白い顔を俯けた。
大猿にも、うるせえのがくっついてるし、信玄も真田もいまいち。……長曾我部しか、いな
いのか。うーん」
政宗が、ぶつぶつと呟くと、今まで沈黙していた元就が言葉を挟んだ。
「ち…長曾我部は……」
「…うん?」
「…いや。なんでもない」
元就が、白い顔を俯けた。
「にちりんのひめみこよ。いいたいことがあれば、おっしゃるがよろしい」
笑いを含んだ声で、謙信が水をむけた。
笑いを含んだ声で、謙信が水をむけた。