「なんと、それがしがまつどののめしを、もっと旨くすることができると?」
「はい。その通りにござります」
「しかし、それがしは料理のことなど何も…」
「うふふ、幸村様がお料理をなさる必要はありませぬ。
ただ…今夜、まつめの部屋に、お出で下さりませ。さすれば…」
まつは大きな瞳を潤ませて、幸村の目をじっと見つめた。
幸村はますます顔を赤して、まつの目から目を離せなくなっていた。
「し、しかし、夜分に女人の部屋へなど…」
「はれんち、で、ござりまするか?」
幸村の言葉を先取りして、まつはクスっと笑った。
幸村はますます真っ赤になって固まって、今にも体中から火を噴き出しそうだ。
まつは幸村の指先を漸く解放してやって、
その胸元へぐいっと飯が山盛りになった椀を押し付けてやり、
「お願いでござりまする、幸村様。
今夜、お一人で、まつめの部屋に…お願い致します。
まつめは、いつまでもお待ちしておりますゆえ…」
幸村の耳元へ囁き掛けた。
幸村は椀を取り落としそうになりつつも、辛うじて首を縦に振った。
「はい。その通りにござります」
「しかし、それがしは料理のことなど何も…」
「うふふ、幸村様がお料理をなさる必要はありませぬ。
ただ…今夜、まつめの部屋に、お出で下さりませ。さすれば…」
まつは大きな瞳を潤ませて、幸村の目をじっと見つめた。
幸村はますます顔を赤して、まつの目から目を離せなくなっていた。
「し、しかし、夜分に女人の部屋へなど…」
「はれんち、で、ござりまするか?」
幸村の言葉を先取りして、まつはクスっと笑った。
幸村はますます真っ赤になって固まって、今にも体中から火を噴き出しそうだ。
まつは幸村の指先を漸く解放してやって、
その胸元へぐいっと飯が山盛りになった椀を押し付けてやり、
「お願いでござりまする、幸村様。
今夜、お一人で、まつめの部屋に…お願い致します。
まつめは、いつまでもお待ちしておりますゆえ…」
幸村の耳元へ囁き掛けた。
幸村は椀を取り落としそうになりつつも、辛うじて首を縦に振った。
その夜。
約束どおり幸村は、まつの部屋へ忍んで来た。
まつは白い寝巻きをきっちりと着て、夜具の横に座って幸村を待っていた。
初めて訪れる女の部屋の独特の匂いに、幸村は眩暈がしそうになる。
脂粉の匂い、香の匂い、それにまつ自身の体から香る、どうしようもなく甘い匂い。
「お待ち申し上げておりました、幸村様」
正座していたまつが、指先を揃えて深々と頭を下げたので
幸村も慌てて畳に座し、まつに向かって頭を下げた。
まつは幸村に顔を上げさせ、その手を引いて自らの横へ導いた。
吐息を感じるほど間近に寄り添い、そっと手を握られて、
幸村はもう体中の血が沸き立つほどに興奮し、また緊張していた。
約束どおり幸村は、まつの部屋へ忍んで来た。
まつは白い寝巻きをきっちりと着て、夜具の横に座って幸村を待っていた。
初めて訪れる女の部屋の独特の匂いに、幸村は眩暈がしそうになる。
脂粉の匂い、香の匂い、それにまつ自身の体から香る、どうしようもなく甘い匂い。
「お待ち申し上げておりました、幸村様」
正座していたまつが、指先を揃えて深々と頭を下げたので
幸村も慌てて畳に座し、まつに向かって頭を下げた。
まつは幸村に顔を上げさせ、その手を引いて自らの横へ導いた。
吐息を感じるほど間近に寄り添い、そっと手を握られて、
幸村はもう体中の血が沸き立つほどに興奮し、また緊張していた。




