「おにはーそと!ふくはーうち!」
「いつきちゃんにつく悪い虫はーそと!いつきちゃんはーうち!」
「あ、ずるい!いつきちゃんはおらのうちに来るだ!」
「おらだおらだ!」
「吾作、おめの家は松永軍に壊されて、まだ直ってねぇでねぇか!」
「いつきちゃんにつく悪い虫はーそと!いつきちゃんはーうち!」
「あ、ずるい!いつきちゃんはおらのうちに来るだ!」
「おらだおらだ!」
「吾作、おめの家は松永軍に壊されて、まだ直ってねぇでねぇか!」
今日は2月3日。
ここ最北端の村でも、恒例の豆まきが行われていた。
「みんな、まじめに豆をまくだよ」
諍いを始める村人たち(=いつき親衛隊)を、いつきが困った顔で見る。
いつもは仲の良い彼らが今日に限って険悪な雰囲気になっているのはなぜか?
いつきには分からなかった。
ここ最北端の村でも、恒例の豆まきが行われていた。
「みんな、まじめに豆をまくだよ」
諍いを始める村人たち(=いつき親衛隊)を、いつきが困った顔で見る。
いつもは仲の良い彼らが今日に限って険悪な雰囲気になっているのはなぜか?
いつきには分からなかった。
――夜
いつきが豆まきで余った豆を食べていると、家の戸が叩かれた。
「いつきちゃん、おらだ。太郎だ。恵方巻作ったで…おらのうちにこねぇか?」
「えほーまき?」
確か…節分に恵方を向いて海苔巻きを食べるとかいう習慣だったか。
とにかく、寒い中に太郎を待たせるのも可哀想だと、いつきは家の戸を開けた。
「恵方巻って…あの、都の方から来た人に聞いたって言うあれだか?」
「んだ。今年は良いことがあるようにと思って、村でもやることにしただよ」
「ふーん…分かっただ」
「じゃあ、一緒に行くだ」
いつきが豆まきで余った豆を食べていると、家の戸が叩かれた。
「いつきちゃん、おらだ。太郎だ。恵方巻作ったで…おらのうちにこねぇか?」
「えほーまき?」
確か…節分に恵方を向いて海苔巻きを食べるとかいう習慣だったか。
とにかく、寒い中に太郎を待たせるのも可哀想だと、いつきは家の戸を開けた。
「恵方巻って…あの、都の方から来た人に聞いたって言うあれだか?」
「んだ。今年は良いことがあるようにと思って、村でもやることにしただよ」
「ふーん…分かっただ」
「じゃあ、一緒に行くだ」
太郎の家には親衛隊が集結していた。
いつきは車座の中央に座らされ、周囲を親衛隊が取り囲む形になる。
「さぁ、いつきちゃん。これが恵方巻だべ」
「こ…これってその…アレじゃねぇだか…?おらはてっきり…」
いつきが想像していたのは普通の海苔巻き。
しかし、太郎は自らの股間のブツをいつきに差し出したのだ。
「ほら、早く食べるだよ」
「あとがつかえてるだ、さあ早く」
「そ、そう言われてもおら…」
いつきが戸惑っていると、業を煮やした太郎が強引にねじ込んできた。
「む、むぐっ…」
「いつきちゃん、歯を立てちゃなんねぇだぞ。恵方巻は切っちゃいけねぇらしいだからな」
じゃあどうすれば良いんだと混乱するいつき。
ブツを咥えたまま、いつまでもむぐむぐ唸っている。
いつきは車座の中央に座らされ、周囲を親衛隊が取り囲む形になる。
「さぁ、いつきちゃん。これが恵方巻だべ」
「こ…これってその…アレじゃねぇだか…?おらはてっきり…」
いつきが想像していたのは普通の海苔巻き。
しかし、太郎は自らの股間のブツをいつきに差し出したのだ。
「ほら、早く食べるだよ」
「あとがつかえてるだ、さあ早く」
「そ、そう言われてもおら…」
いつきが戸惑っていると、業を煮やした太郎が強引にねじ込んできた。
「む、むぐっ…」
「いつきちゃん、歯を立てちゃなんねぇだぞ。恵方巻は切っちゃいけねぇらしいだからな」
じゃあどうすれば良いんだと混乱するいつき。
ブツを咥えたまま、いつまでもむぐむぐ唸っている。