初めての経験に、気絶しかけていた幸村がふと気づくと、
まつが馴れた手つきで幸村の股を紙で拭い、始末をつけているところだった。
幸村は再び体中を真っ赤にして、鯉のように口をぱくぱくさせるしかできない。
まつは「すぐにもどりますゆえ」と小さな、優しい声で言って、部屋を出て行った。
幸村は体を起こすこともできず、ぐったりとまつの蒲団に大の字になっていた。
「……はれんち…」
やがて、厠ででも身支度を整えて来たのだろうか
既に先ほどまでの狂乱の痕跡をすっかり消してしまったまつが、
ひっそりと部屋へ戻ってきた。
幸村は何か寂しいような気がしたが、しかしこれが潮時なのだろうと察して
急いで身を起こそうとした。
するとまつが、幸村の肩に手をまわしてやんわりと蒲団へ押し戻し
「…お嫌でなければ、いま少し、ここにいて下さりませ」
掛け蒲団をめくり、幸村の脇へ体を滑り込ませてきた。
「夜明け前には、起こして差し上げまするゆえ」
幸村の二の腕にまつの乳房が押し付けられ、
幸村はさっきのことの思い出してまた顔から火を噴きそうになる。
「う、うむ…よろしく頼み申す…」
「おやすみなされませ」
子供をあやすように、まつは蒲団の上に手を出すと、
幸村の胸のあたりをトントンとたたいた。
幸村も蒲団の外へ手を出し、まつの手を握った。
驚いたように幸村の顔を見たまつを、幸村は真っ直ぐに見つめ返し
「まつ殿。それがしは、…その、うまくやれたのでござろうか」
生真面目に問うてくる意味が咄嗟にわからず、
まつは幸村の目を見たまま首をかしげた。
幸村は顔を真っ赤にしながらも、懸命に言葉を継いだ。
「…その、それがしは、まつ殿を…あ、あ、あ、
…あああああいするこ、とが、その、じょうずに……」
その余りの初心な様子に、まつは思わず噴出しそうになったが、
必死に堪えると代わりに満面の笑顔を作って
「はい。まつめはこれで明日から、もっともっとおしいご飯を、
幸村様にこしらえて差し上げることができまする」
幸村の熱い手を握り返した。
まつが馴れた手つきで幸村の股を紙で拭い、始末をつけているところだった。
幸村は再び体中を真っ赤にして、鯉のように口をぱくぱくさせるしかできない。
まつは「すぐにもどりますゆえ」と小さな、優しい声で言って、部屋を出て行った。
幸村は体を起こすこともできず、ぐったりとまつの蒲団に大の字になっていた。
「……はれんち…」
やがて、厠ででも身支度を整えて来たのだろうか
既に先ほどまでの狂乱の痕跡をすっかり消してしまったまつが、
ひっそりと部屋へ戻ってきた。
幸村は何か寂しいような気がしたが、しかしこれが潮時なのだろうと察して
急いで身を起こそうとした。
するとまつが、幸村の肩に手をまわしてやんわりと蒲団へ押し戻し
「…お嫌でなければ、いま少し、ここにいて下さりませ」
掛け蒲団をめくり、幸村の脇へ体を滑り込ませてきた。
「夜明け前には、起こして差し上げまするゆえ」
幸村の二の腕にまつの乳房が押し付けられ、
幸村はさっきのことの思い出してまた顔から火を噴きそうになる。
「う、うむ…よろしく頼み申す…」
「おやすみなされませ」
子供をあやすように、まつは蒲団の上に手を出すと、
幸村の胸のあたりをトントンとたたいた。
幸村も蒲団の外へ手を出し、まつの手を握った。
驚いたように幸村の顔を見たまつを、幸村は真っ直ぐに見つめ返し
「まつ殿。それがしは、…その、うまくやれたのでござろうか」
生真面目に問うてくる意味が咄嗟にわからず、
まつは幸村の目を見たまま首をかしげた。
幸村は顔を真っ赤にしながらも、懸命に言葉を継いだ。
「…その、それがしは、まつ殿を…あ、あ、あ、
…あああああいするこ、とが、その、じょうずに……」
その余りの初心な様子に、まつは思わず噴出しそうになったが、
必死に堪えると代わりに満面の笑顔を作って
「はい。まつめはこれで明日から、もっともっとおしいご飯を、
幸村様にこしらえて差し上げることができまする」
幸村の熱い手を握り返した。




