こんなものどうして必要なのかしら、と、市は思いながら胸の頂を覆い隠すように、
そっと左胸にたなごころを宛がった。
お気に入りの甲冑と同じ、柔らかな薄紅色をした乳首は白い地肌に良く映えている。
男連中が見たならばふるいつかずにいられぬほどの可憐な風情だが、
市にとってはいまのところ戦闘活動に邪魔な突起物でしかなかった。
さらしの布とこすれるだけで、ちりちりとした痛みが走り、夫とともに戦場に立つ
己の集中力を散漫なものにするのだ。
本当に邪魔だ、と、市は己の胸に手をやったまま思った。
やや子が乳を飲むためには必要なものであるというが、姫君である市は子供を生んでも
きっと優秀な乳母がその一切の養育を引き受けてしまうはず。
母乳なぞ出なくても己の子は育つのだから、乳首だって別になくたっていいのだ。
(必要なのは……ここだけ……)
市は胸にふれていた手をそっと下腹部へ滑らせた。
腕と足同様、胴体は限りなく華奢でありながらも、腰部の周辺にはわずかばかりの
まろやかな肉付きがある。
生理が始まったあたりから生え始めた淫毛は、年を経るにつれて段々と色濃くなっていった。
股間を覆うその黒を見るたびに市は気鬱になる。
自分でも、時折ぞっとせずにおれぬほど市の肌は白い。幽鬼めいて青白くさえある。
体毛も限りなく薄いほうなのに、陰部を覆うこればかりは、長く伸ばした髪と同じ質と色を
有しているのだった。
(ここから血が流れ出してから、市は段々と女になっていった。
そして、女であるのだから、いつかはここから新たな命を産み落とす)
そしてそれは……おそらく、長政の子だろう。
もし、何かの弾みで長政が戦死するような事態にさえならなければ。
慎ましくあわせていた両腿をそっと開き、足の間に指をやる。
繊毛を掻き分ければ、そこは己でも驚くほどしとどに濡れているのがわかった。
粘つく体液は鼻について酸い。陽光に炙られて腐り果てた、夏の花の匂いに似ていた。
一人遊び4
そっと左胸にたなごころを宛がった。
お気に入りの甲冑と同じ、柔らかな薄紅色をした乳首は白い地肌に良く映えている。
男連中が見たならばふるいつかずにいられぬほどの可憐な風情だが、
市にとってはいまのところ戦闘活動に邪魔な突起物でしかなかった。
さらしの布とこすれるだけで、ちりちりとした痛みが走り、夫とともに戦場に立つ
己の集中力を散漫なものにするのだ。
本当に邪魔だ、と、市は己の胸に手をやったまま思った。
やや子が乳を飲むためには必要なものであるというが、姫君である市は子供を生んでも
きっと優秀な乳母がその一切の養育を引き受けてしまうはず。
母乳なぞ出なくても己の子は育つのだから、乳首だって別になくたっていいのだ。
(必要なのは……ここだけ……)
市は胸にふれていた手をそっと下腹部へ滑らせた。
腕と足同様、胴体は限りなく華奢でありながらも、腰部の周辺にはわずかばかりの
まろやかな肉付きがある。
生理が始まったあたりから生え始めた淫毛は、年を経るにつれて段々と色濃くなっていった。
股間を覆うその黒を見るたびに市は気鬱になる。
自分でも、時折ぞっとせずにおれぬほど市の肌は白い。幽鬼めいて青白くさえある。
体毛も限りなく薄いほうなのに、陰部を覆うこればかりは、長く伸ばした髪と同じ質と色を
有しているのだった。
(ここから血が流れ出してから、市は段々と女になっていった。
そして、女であるのだから、いつかはここから新たな命を産み落とす)
そしてそれは……おそらく、長政の子だろう。
もし、何かの弾みで長政が戦死するような事態にさえならなければ。
慎ましくあわせていた両腿をそっと開き、足の間に指をやる。
繊毛を掻き分ければ、そこは己でも驚くほどしとどに濡れているのがわかった。
粘つく体液は鼻について酸い。陽光に炙られて腐り果てた、夏の花の匂いに似ていた。
一人遊び4