戦国BASARA/エロパロ保管庫

佐助×幸村(♀)10

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bsr_e

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だれでも歓迎! 編集
もう一度問いかけようとした瞬間、忍びとして鍛えられた俺の鼓膜に、微かな音が触れた。
覚えのありすぎるその響きに、はっとして耳だけそちらへそばだてる。
同じものに気づいたんだろう。一呼吸遅れてお館様が視線を上げ、俺の背後の閉じた戸を
見やった。

きおったな、と小さな呟きとともに、実に楽しそうな笑みがその顔に浮かんだ。

はじめは聞こえるか聞こえないかほどだったその音は、あっという間に耳を劈くばかりに
膨れ上がった。館の門を抜け、戸を押し開け、廊下を駆け抜け角を曲がる。あちこちで
侍女のものらしい悲鳴が上がった。
館全体が揺れるほどの、雷鳴みたいなその響きに、時々、壁か柱にぶつかっているらしい
ドスン、ごん、と重い音が混じる。
お館様が脇息から身を起こし、片膝を立てた。ものすごい速さで、館の最奥にあるこの部屋に
近づいてくるその足音を聞きながら、俺もお館様に一礼して入り口へと向き直った。
ほとんど同時に、外れる勢いで引き戸が開け放たれた。

「お館様!真田幸村、お召しにより参上いたしましたああ!」
「旦那!廊下は走らない!」
「よくぞ参った幸村!待ちかねたぞ!」
「おお!申し訳ございませぬお館様ァ!」
「なんの幸村ァ!」
「おやかたさまァあ!」
「ゆきむらあァああ!」

ここで止めてはいけません。へたに横槍入れると、ますます興奮して長くなります。
長年の経験から、じっと我慢の子を決め込む俺をはさんで、熱血師弟の応酬はそれから
十回ばかり続いた。
ようやく満足したらしく、妙にすっきりした顔で旦那が振り返った。俺を見て、いたのか佐助、と
驚いたように目を見開くところを、黙ったまま場所を譲って下座に引く。
ついでに一回、小言代わりに背中をつねっておく。
あーあ、足の裏真っ黒。また草履も履かずに走ってきたんだろう。あとで部下に
廊下掃除させなきゃ。
こちらもすがすがしい顔で、また脇息に寄りかかったお館様を旦那が見上げる。
薄暗い明かりの中で、その顔はいつも以上に輝き、そのくせ奇妙に引きつって見えた。
なんかえらく興奮してるなあ。まあ、お館様の前に出るときはいつでも興奮気味だけど。
しかしこんな時間だってのに眠くないのかね。ほんと、元気な人だ。

参ったなあ。
今はあんたの顔、見たくなかったよ。

ぎらぎら目を輝かせ、はっしと床に手を付いた旦那を、ゆったりと構えたお館様が見下ろす。
「さて、このような時間に呼び立てたは他でもない。幸村よ。この信玄、お前に一つ
命を下す」
「はっ!何なりとお申し付けくだされ!この幸村、お館様の御命とあらば、いかなることでも
粉骨砕身尽くす覚悟!」
「よくぞ申した幸村!」
「お館様ァ!」
「幸村ァ!」
もういいっての。
顔にだけ、いつもどおりの呆れ笑いを浮かべたまま、そっと陰に潜んで頭を垂れる。
部屋を出たりはしませんよ。自分の指令がまだだもん。これでも真田の忍び頭、仕事には
まじめに取り組むほうなんです。
もやつく思いも黒いものも、胸の底にしまってただ、陰に潜む。
陰こそが俺そのものだ。
「しかし、ことは真田家の存続にもかかわる。そのあたり、よく心得て返答せい」
「わかり申した!」
「覚悟はよいな!」
「なんなりと!」
崩していた膝をまた立て、お館様が身を乗り出した。床に拳をついたまま、旦那もぎらぎら
燃える目でお館様を見返す。二人そろうと、なんだかさっき以上に部屋が明るい。
旦那を見つめ、それから何故か一瞬俺を見て、虎の目がくわっと見開かれた。


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