朝になり信玄が目が覚めるとそこには謙信の姿は無かった
(当然といえば当然じゃな…)
信玄の胸にはいささか寂しさが残っていた。たとえ、女であっても自分にとって
生涯の中で良き好敵手である。それには変わりは無い
だが、彼女の女性らしい姿がその思いとは別の感情が湧いてくるのも事実である
(何とも惜しいものじゃの)
信玄はしばらく余韻に浸るようにぼんやりとしていた
(当然といえば当然じゃな…)
信玄の胸にはいささか寂しさが残っていた。たとえ、女であっても自分にとって
生涯の中で良き好敵手である。それには変わりは無い
だが、彼女の女性らしい姿がその思いとは別の感情が湧いてくるのも事実である
(何とも惜しいものじゃの)
信玄はしばらく余韻に浸るようにぼんやりとしていた
「御館様あああああああぁぁぁぁぁ!!!」
それを打ち消すかのように血気盛んな若者の声が聞こえてきた
「なんじゃ、幸村あぁ!!」
信玄は着物を着ると反射的に声のする縁側に出た
そして決まって…
「御館様ああぁぁぁぁぁ!!!」
「幸村あぁ!!」
「御館様ああぁぁぁぁぁ!!!」
「幸村あぁ!!」
それを打ち消すかのように血気盛んな若者の声が聞こえてきた
「なんじゃ、幸村あぁ!!」
信玄は着物を着ると反射的に声のする縁側に出た
そして決まって…
「御館様ああぁぁぁぁぁ!!!」
「幸村あぁ!!」
「御館様ああぁぁぁぁぁ!!!」
「幸村あぁ!!」
…………………。
「やれやれ」
(あんな事があったというのに…旦那は変わらないね)
佐助は屋根から苦笑しつつ彼らを見ていた
「やれやれ」
(あんな事があったというのに…旦那は変わらないね)
佐助は屋根から苦笑しつつ彼らを見ていた
数日後…
「"しょじょう"ですか?」
昼ごろ別の領地で休んでいた謙信に自軍の伝令兵から書状が渡された
どうやら数日前に渡した書状の返事らしい。渡した内容といえば
迷惑をかけた事への簡単な謝罪文である
元はといえばあの事は自分が賭けに乗った思慮のなさきてるのだから
返事の内容は「気にするな。自分にも非があった」というような事だった
あれからというもの謙信の中の空虚感と女性である事を忘れるといった意識と肉体が
分離したような感覚は和らいでいた。理由は本人にも良く分からない
しかし、だからといって信玄に特別な感情は抱いてない。彼は彼女にとって永遠の好敵手である
彼がいるからこそ彼女はいろいろ学び、切磋琢磨出来たのかもしれない。その意味では失うのは
惜しい男である
(それにしてもこの歌は…少し季節はずれでは無いのか?)
謙信は最後の文を見てくすりと笑った
「……………っ」
(謙信様が微笑んでらっしゃる…おのれ、信玄。一体、どんな内容を書いたのだ)
そばにいたかすがは内心穏やかではなかった
「"しょじょう"ですか?」
昼ごろ別の領地で休んでいた謙信に自軍の伝令兵から書状が渡された
どうやら数日前に渡した書状の返事らしい。渡した内容といえば
迷惑をかけた事への簡単な謝罪文である
元はといえばあの事は自分が賭けに乗った思慮のなさきてるのだから
返事の内容は「気にするな。自分にも非があった」というような事だった
あれからというもの謙信の中の空虚感と女性である事を忘れるといった意識と肉体が
分離したような感覚は和らいでいた。理由は本人にも良く分からない
しかし、だからといって信玄に特別な感情は抱いてない。彼は彼女にとって永遠の好敵手である
彼がいるからこそ彼女はいろいろ学び、切磋琢磨出来たのかもしれない。その意味では失うのは
惜しい男である
(それにしてもこの歌は…少し季節はずれでは無いのか?)
謙信は最後の文を見てくすりと笑った
「……………っ」
(謙信様が微笑んでらっしゃる…おのれ、信玄。一体、どんな内容を書いたのだ)
そばにいたかすがは内心穏やかではなかった




