少し開けた場所に出た。「影」は興味を示したのか、少しだけ気配を大きくした。
サク、サクと草を草履で踏みその場をクルリと回り続ける。
今なら相手の姿も捉えられる程、この場所には月光が注がれていた。
「はっきり言っとくが争う気はないぜ…」
コツンと石を蹴る。
サク、サクと草を草履で踏みその場をクルリと回り続ける。
今なら相手の姿も捉えられる程、この場所には月光が注がれていた。
「はっきり言っとくが争う気はないぜ…」
コツンと石を蹴る。
視線をあげるとその先に、闇と光の肌をまとった美女が立っていた。
「貴様…謙信様と何を喋った…?」
端正な顔立ちの裏に見えるのは、嫉妬に近い物。心酔している事が見て取れる。
「別に…酔い醒ましに散歩してただけだ…」
別に彼女を見る必要もない。視線を下に落とし再び石蹴りを始める。
「…」
非凡である事は彼女も薄々気付いていたであろう。この男には余裕とも、そうでないとも取れる空気が漂っている。
「貴様…謙信様と何を喋った…?」
端正な顔立ちの裏に見えるのは、嫉妬に近い物。心酔している事が見て取れる。
「別に…酔い醒ましに散歩してただけだ…」
別に彼女を見る必要もない。視線を下に落とし再び石蹴りを始める。
「…」
非凡である事は彼女も薄々気付いていたであろう。この男には余裕とも、そうでないとも取れる空気が漂っている。
いい加減鼻の中まで寒い。1、2回程鼻をすすると、漸く次の言葉を吐く。
「アイツ、気付いてたぜ?」
「…」
どうやら承知のようだ。金色の長髪が風に揺れる。ここから見れば面にしか見えないような表情でこちらをじっと見つめていた。
「アンタとはお話できねぇか…」
あからさまにわかる落胆の声。彼女の癪に障ったらしい。
「お前と話す事などない!」
殺気殺して敵意充分。
とはいえ、男は両肩に担いだ長刀を使う気配はない。あくまで「散歩」だった。
「そういう言葉は戦場だけで使うもんだ。こんないい所で使うなよ…」
肌寒いとはいえ、澄んだ空気は人を浄化する様だ。今でこそ大人しい獣も、昼になれば活発に動き命の営みを進める事だろう。
むしろ、部外者はこの二人なのだ。
わざわざこんな所にまでそんな空気は持ち込みたくはない。ここは頭を冷やす場所だ。
「アンタもここの空気を吸ってよく考えな…」
後ろを向き、片手を振って帰る。その矢先。
「アイツ、気付いてたぜ?」
「…」
どうやら承知のようだ。金色の長髪が風に揺れる。ここから見れば面にしか見えないような表情でこちらをじっと見つめていた。
「アンタとはお話できねぇか…」
あからさまにわかる落胆の声。彼女の癪に障ったらしい。
「お前と話す事などない!」
殺気殺して敵意充分。
とはいえ、男は両肩に担いだ長刀を使う気配はない。あくまで「散歩」だった。
「そういう言葉は戦場だけで使うもんだ。こんないい所で使うなよ…」
肌寒いとはいえ、澄んだ空気は人を浄化する様だ。今でこそ大人しい獣も、昼になれば活発に動き命の営みを進める事だろう。
むしろ、部外者はこの二人なのだ。
わざわざこんな所にまでそんな空気は持ち込みたくはない。ここは頭を冷やす場所だ。
「アンタもここの空気を吸ってよく考えな…」
後ろを向き、片手を振って帰る。その矢先。
どこかから闇と、気と、風の歪みが感じられた。
続
エロ無し…自分的な慶×かすの出会いです。