佐助が目覚めると、薬が残っているのか頭がひどく重かった。だるい体を起こして辺
りを見回すと、日はすっかり落ちていて辺りは暗くなっている。月明かりがうっすらと茅
屋を照らしていた。体には上掛けがかけられており、これのおかげで体はそんなに冷え
ていなかった。しかし、想定よりも目覚めるのが早いことに佐助は驚いていた。薬の量
がかなり少なかったらしい。かすがなりの優しさかと思って、それならばいっそのこと寝
首を掻いていけばいいのに、と佐助は苦笑した。
柱に寄りかかり、ぼんやりとした頭で幸村にこの事をどう話そうかと佐助は思案した。
結局、全てを洗いざらい話してしまうかもしれない。あの人には、どうしたって逆らえない
のだ。そう自分に言い訳をしながらも、何故か心は楽だった。薬の効果がまだ残ってい
るのか、世界全体がぼやけて見え、虫の鳴く声が月の光と相まって幻想的に聞こえる。
野犬の遠吠えも聞こえず、静かな夜だ。鼻唄でも歌ってしまいそうな雰囲気だった。
ふと、横を見ると何か黒っぽいものが縁側においてある。眠りに落ちる前には無かっ
たものだ。触れてみると、それはぐっしょりと濡れており、その下の床も濡れて黒い染み
が出来ていた。触れた指にもその液体が付く。赤い。不審に思って、手を顔に近づけ
て臭いを嗅いでみると、それは嗅ぎなれた匂いがした。
考えたくなかった光景が頭をよぎり、それは推測から確信に変わった。佐助は再び
手を伸ばし、その黒い塊となってしまった巾着を抱き寄せた。その拍子にちゃりちゃりと
袋から金色の粒が板に落ちる。ぼろぼろと年甲斐もなく泣ければよかったのだろうが、
涙は出てこなかった。言いようの無い空しさがこみ上げ、手ががたがたと震え、それを
抑えるために巾着を強く握り締めた。自分の身勝手さからこんな事になったのだと、強
く自分を責める言葉が浮かんでは消えたが、もう遅かった。全て終わったのだ。
りを見回すと、日はすっかり落ちていて辺りは暗くなっている。月明かりがうっすらと茅
屋を照らしていた。体には上掛けがかけられており、これのおかげで体はそんなに冷え
ていなかった。しかし、想定よりも目覚めるのが早いことに佐助は驚いていた。薬の量
がかなり少なかったらしい。かすがなりの優しさかと思って、それならばいっそのこと寝
首を掻いていけばいいのに、と佐助は苦笑した。
柱に寄りかかり、ぼんやりとした頭で幸村にこの事をどう話そうかと佐助は思案した。
結局、全てを洗いざらい話してしまうかもしれない。あの人には、どうしたって逆らえない
のだ。そう自分に言い訳をしながらも、何故か心は楽だった。薬の効果がまだ残ってい
るのか、世界全体がぼやけて見え、虫の鳴く声が月の光と相まって幻想的に聞こえる。
野犬の遠吠えも聞こえず、静かな夜だ。鼻唄でも歌ってしまいそうな雰囲気だった。
ふと、横を見ると何か黒っぽいものが縁側においてある。眠りに落ちる前には無かっ
たものだ。触れてみると、それはぐっしょりと濡れており、その下の床も濡れて黒い染み
が出来ていた。触れた指にもその液体が付く。赤い。不審に思って、手を顔に近づけ
て臭いを嗅いでみると、それは嗅ぎなれた匂いがした。
考えたくなかった光景が頭をよぎり、それは推測から確信に変わった。佐助は再び
手を伸ばし、その黒い塊となってしまった巾着を抱き寄せた。その拍子にちゃりちゃりと
袋から金色の粒が板に落ちる。ぼろぼろと年甲斐もなく泣ければよかったのだろうが、
涙は出てこなかった。言いようの無い空しさがこみ上げ、手ががたがたと震え、それを
抑えるために巾着を強く握り締めた。自分の身勝手さからこんな事になったのだと、強
く自分を責める言葉が浮かんでは消えたが、もう遅かった。全て終わったのだ。
――あの時、彼女を抱きしめられていたら違ったのだろうか
目の前に広がる闇を見つめながら、佐助は自分の胸に開いた穴の大きさにただただ
茫然としていた。
目の前に広がる闇を見つめながら、佐助は自分の胸に開いた穴の大きさにただただ
茫然としていた。
完




