8月22日11時46分配信 毎日新聞
◇人とつながる場を
経営する塾に不登校児が通うようになったことをきっかけに、93年にフリースペース「べんぽすた」を創設。当初は不登校児を支援する取り組みが中心だった。その後、ニートや引きこもりの相談が次第に増え始めたため、そうした人や家族を支えるNPO法人「仕事工房ポポロ」=岐阜市長良福光=を07年に設立した。
ポポロに通う人は、紙パックを再利用して一筆せんや名刺を作ったり、脂取り紙のデザインやレイアウトなどの「仕事」をする。「働くということをイメージできない人が多いので、まず『稼ぐ』ことを体験してほしい」と狙いを説明する。
家族が悩みを話し合う「家族の会」も月に1度、開いている。ある夫婦は4年前から家族の会に参加していた。最近になって、これまで自宅にこもっていた30代の息子が興味を示し、ポポロに来るようになったという。
「家族の会で、夫婦が話を聞いてもらったことで、家の中の雰囲気が変わったのだろう」と中川さんはみる。それでも、この男性が行動するまでに4年かかった。「彼は23年間引きこもっていた。その間、家族とかかりつけの医者としか話していない。取り組むには時間がかかる。覚悟が必要だ」と話す。
不登校児からニートや引きこもりに移行する人はそれほど多くはないという。進学や就職によって社会に羽ばたく不登校児がいる一方で、大学を中退したり、転退職を繰り返してニートや引きこもりになる人がいる。
「ニートや引きこもりというと『いいかげんなやつ』と思われがちだが、本当は誠実でまじめな人が多い」という。雇用情勢の悪化に低迷する経済……若者を取り巻く厳しい状況を見ていると、社会の閉塞(へいそく)感が、彼らの行動につながっていると感じる。「人ごとではない。自己責任だと責めるだけでいいのか」。そんな思いから活動を続けている。
ポポロに通うある男性は、どうしても人とうまく接することができず、時間を守れない。だが、絵がうまく、鉄道や電気にも詳しい。「彼の能力を生かせる場所があればいいのだが、実際には枠からはじき出される。そんな社会は、私たちにとっても生きづらい。社会の懐が深いかどうかの問題では」と、問いかける。
「引きこもりは孤立している。でも、生きていく限り、人とのつながりは必要だ。つながっていける環境を作らないといけない」。社会の変化を望みつつ、ポポロをそんな場所にしようと日々取り組んでいる。【岡大介】
◇人とつながる場を
経営する塾に不登校児が通うようになったことをきっかけに、93年にフリースペース「べんぽすた」を創設。当初は不登校児を支援する取り組みが中心だった。その後、ニートや引きこもりの相談が次第に増え始めたため、そうした人や家族を支えるNPO法人「仕事工房ポポロ」=岐阜市長良福光=を07年に設立した。
ポポロに通う人は、紙パックを再利用して一筆せんや名刺を作ったり、脂取り紙のデザインやレイアウトなどの「仕事」をする。「働くということをイメージできない人が多いので、まず『稼ぐ』ことを体験してほしい」と狙いを説明する。
家族が悩みを話し合う「家族の会」も月に1度、開いている。ある夫婦は4年前から家族の会に参加していた。最近になって、これまで自宅にこもっていた30代の息子が興味を示し、ポポロに来るようになったという。
「家族の会で、夫婦が話を聞いてもらったことで、家の中の雰囲気が変わったのだろう」と中川さんはみる。それでも、この男性が行動するまでに4年かかった。「彼は23年間引きこもっていた。その間、家族とかかりつけの医者としか話していない。取り組むには時間がかかる。覚悟が必要だ」と話す。
不登校児からニートや引きこもりに移行する人はそれほど多くはないという。進学や就職によって社会に羽ばたく不登校児がいる一方で、大学を中退したり、転退職を繰り返してニートや引きこもりになる人がいる。
「ニートや引きこもりというと『いいかげんなやつ』と思われがちだが、本当は誠実でまじめな人が多い」という。雇用情勢の悪化に低迷する経済……若者を取り巻く厳しい状況を見ていると、社会の閉塞(へいそく)感が、彼らの行動につながっていると感じる。「人ごとではない。自己責任だと責めるだけでいいのか」。そんな思いから活動を続けている。
ポポロに通うある男性は、どうしても人とうまく接することができず、時間を守れない。だが、絵がうまく、鉄道や電気にも詳しい。「彼の能力を生かせる場所があればいいのだが、実際には枠からはじき出される。そんな社会は、私たちにとっても生きづらい。社会の懐が深いかどうかの問題では」と、問いかける。
「引きこもりは孤立している。でも、生きていく限り、人とのつながりは必要だ。つながっていける環境を作らないといけない」。社会の変化を望みつつ、ポポロをそんな場所にしようと日々取り組んでいる。【岡大介】